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寒くなると鍋が食べたくなる?消費と気温の関係

    日に日に朝晩の寒さが厳しくなってきましたね。冷たい風が体にしみる季節となりました。師走の慌ただしさ、帰省や忘年会、そしてお正月の準備。12月は、1年の中でも特に消費が盛り上がる時期です。

    1年間で最も消費が伸びる12月

    サービス業を中心とした産業の活動状況を表す指数である第3次産業活動指数から「飲食料品小売業」指数の原指数を見ると、8年平均にした月の平均を見ても毎年12月にピークを迎えていることがわかります。年末に向けて家庭での食事や年越しの準備が活発になることを背景に、こうした季節性が統計にも表れています。

    このような傾向は、冬の消費の動きを捉える上で重要なポイントです。今回は季節性に焦点を当て、冬になると食べたくなる鍋「つゆ・たれ」(注1)を題材に、消費と気温の関係を見ていきます。

    注1:本記事では、「つゆ・たれ」の支出データを鍋の消費として扱っており、「つゆ・たれ」には各種鍋物のつゆ以外に、おでんの素(液体)、めんつゆ、焼き肉のたれを含みます。また、分析対象を冬季に限定することで、鍋の消費と気温の傾向をより明確に把握できるようにしています。

    図表01
    図表02

    鍋の消費と気温の関係を相関係数で見る

    家計調査(総務省)の日別データ(二人以上の世帯)にて、2024年10月1日~2025年3月31日の食料の消費支出を世帯属性別に確認すると、勤労者世帯は週末にまとめ買いをする傾向が強い一方、勤労者世帯以外では曜日に関係なく買い物を行い、ともに年末に集中する傾向が見られます。つまり、食材の消費は休日の過ごし方といったライフスタイルに左右されていると考えられます。

    こうした要因により、単純に日別データを用いて「つゆ・たれ」の消費支出(鍋の消費)と最低気温(東京都)の推移を比較すると、鍋の消費は気温に関わらず週末や祝日に高まる傾向が見られます。また、相関係数(注2)は-0.21となり、鍋の消費と気温の関係を正しく捉えにくくなります。

    注2: 相関係数とは、2つの変数の関係の強さを表す指標。-1から+1までの値をとり、+1に近いほど強い正の関係、-1に近いほど強い負の関係がある。0は相関なし。

    図表03
    図表04

    週末の偏りを補正

    気温が鍋の消費にどの程度影響しているかを明らかにするため、各データを7日間平均に加工し、買い物が週末に偏る傾向を補正した上で推移を確認します。その結果、年末年始は気温に関係なく、消費は大きく伸びていることが明らかになりました。また、10~12月と1~3月では動き方に違いがあり、特に10~12月は鍋の消費が高まる傾向が見られます。

    図表05

    年末年始を除外、期間を分ける

    年末年始は特別な消費行動がとられていると考えられるため、通常の季節の傾向を正しく捉えることが難しくなります。そこで年末年始(12月24日~1月7日)を除外し、期間を10~12月、1~3月に分けます。このようにして、寒さに反応する鍋の消費の動きと年末による一時的な増加を切り分けて見ることができます。

    これにより、鍋の消費と気温の関係が見えてきました。相関係数は、10~12月は-0.96、1~3月は-0.77となり、一般的に強い相関があるとされる絶対値0.7以上を示し、気温が低いと鍋の消費が高まることがわかります。

    図表06
    図表07

    まとめ

    鍋(つゆ・たれ)の消費は、10~12月、年末年始、1~3月のシーズンで異なる傾向であることがわかりました。一見、相関の確認できない指標同士もデータの癖を読み解いて分析すると、その関係性が見えてくることもあります。季節性は第3次産業活動指数や家計調査を始め、多くの月次統計や日次統計(動態統計)で確認される現象です。特に日次統計を用いた分析を行う際には、その背景にある事象をよく考慮しながら紐解いて深掘りすることで、より一層理解が深まり、本質に迫ることができるのではないでしょうか。

    (本解説に関する注意事項)

    本解説は、公に入手可能で、経済産業省経済解析室が信頼できると判断した情報を用いて作成しています。ただし、使用した情報を全て、個別に検証しているものではないため、これらの情報が全て、完全かつ正確であることを保証するものではありません。

    また、本解説は、統計等の利活用促進を目的に、経済解析室の分析、見解を示したものであり、経済産業省を代表した見解ではありません。

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