国内の観光関連は海外からの旅行者(インバウンド)の増加が話題になっていますが、旅行業全体でみると伸び悩んでいます。コロナ禍の影響を受けたと言われている観光関連産業への支援として、全国旅行支援などがありましたが、その後の国内旅行は海外旅行や外国人旅行と比べても差が開いた状況にあります。今回は、旅行業のうち国内旅行の動向について俯瞰してみます。
旅行業は、2023年以降横ばいに推移している
第3次産業活動指数から「旅行業」指数の推移をみますと、コロナ禍において行動制限等の影響を受けた旅行業は大きな影響を受けたことがわかります。経済社会活動の制限が緩和されるにつれ、外国人旅行は急速に回復しましたが、国内旅行は回復の足取りが重いようです。海外旅行は、外国人旅行には及びませんが、順調に回復しています。旅行業においては国内旅行の動向が鍵になりそうです。

日本人の宿泊者数が減少傾向にある
国内旅館・ホテルの延べ宿泊者数(観光庁:宿泊旅行統計調査)をみますと、2025年(速報値)は、外国人の宿泊者数は4年連続の増加となっていますが、日本人の宿泊者数は2年連続の減少となっています。日本人の宿泊者数の減少要因として、インバウンドの増加により需給がひっ迫したため宿泊料金が高騰していると言われています。消費者物価指数(総務省)をみますと、2023年以降、「宿泊料」の上昇傾向が顕著になっていることがわかります。コロナ禍前の2019年と2025年の年平均を比較しますと、37.1%上昇していました。


家計の支出も横ばい
家計調査(総務省、二人以上の世帯)から家計の旅行関連への支出額を確認してみます。物価変動を除いた実質の支出額のうち、宿泊料は2019年以前の水準には回復はしていますが、2023年以降横ばい傾向となっています。パック旅行費は、回復はしていますが2019年以前の水準までは戻らず、主に旅行代理店で契約する国内パック旅行費は長期の下降トレンドに見えます。

まとめ
以上のように、国内旅行が伸び悩んでいる背景を消費側からみてみると、パック旅行への実質支出が長期的に低下傾向にあることが確認できました。宿泊料金の値上がりと共に宿泊者数の減少につながっているようにも見えます。
旅行・観光消費動向調査(観光庁)によりますと、2025年(速報値、四半期の数値を合計して算出)に宿泊を伴う旅行者が「旅行会社等を利用していない」と回答した割合は45.5%を占めています。旅行形態もパック・団体旅行の合計に占める割合は、2019年の12.0%から2025年7.5%に低下しています。国内旅行は、団体旅行から個人旅行へ、パック旅行から個別旅行へと変化しているのではないかと推察されます。
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