CONTENTS


1.諸外国における貿易救済措置の発動状況
2.日本の貿易政策の状況
①不当廉売関税に係る迂回防止制度の創設について
3.各国の貿易政策の状況
①英国の不公正貿易への対応に係る三か年計画を公表
②EUの新たな鉄鋼輸入措置に係る政治合意について
③EUの中国産管継手に対する迂回認定を決定

4.相談窓口
5.FAQ

 

1.諸外国における貿易救済措置の発動状況

 2026年3月~4月の諸外国における貿易救済措置(AD/CVD/SG)の発動状況をお伝えします。
               
 

2.日本の貿易政策の状況

①不当廉売関税に係る迂回防止制度の創設について1

   令和8年4月1日から不当廉売関税に係る迂回防止制度が創設・施行されました。本制度は、既に発動されている不当廉売関税の課税を回避する結果となり得る供給国、品目、加工工程等の変更に対応するための制度です。
 従来は不当廉売関税が発動された後であった場合においても、供給国の変更、第三国での組立・加工、対象貨物の軽微な変更及び部品等としての輸入後の本邦での組立・加工等により原措置の課税範囲から形式的に外れる取引に対して既存措置を直接及ぼす明確な制度がありませんでした。
 これに対応するため、第三国における組立・加工、原措置対象貨物の軽微な変更、原措置対象貨物の供給者から輸出された部品等を本邦に輸入した後の組立・加工等により原措置の課税を回避していると認められる場合に、当該貨物に対して原措置と同等の不当廉売関税を課すことが可能となりました。
 また、経済活動として合理性を有する取引までを過度に制約することがないよう、関係事業者による除外申請及び還付請求に係る手続も整備されました。
 この手続により、制度の実効性と事業者の予見可能性を両立させつつ、不公正な貿易により損害を受ける国内産業を迅速に保護する枠組みが強化されました。


1.https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/trade-remedy/revision/index.htm

 

3.各国の貿易政策の状況

①英国の不公正貿易への対応に係る三か年計画を公表2

 令和8年4月30日、英国貿易救済庁(TRA)は令和8年4月1日から令和11年3月31日を期間とする三か年計画を公表しました。同計画はダンピング輸入及び補助金付き輸入などの不公正な国際取引から国内企業を保護することを目的とするものです。

 同庁では、国家による市場介入及び補助金が国際市場をゆがめ、WTO加盟国によるダンピング及び補助金調査の開始件数が平成30年から令和6年までの間に倍増したことを踏まえ、貿易救済措置が英国の産業政策及び経済政策において引き続き重要な役割を担うとしています。
 三か年計画は、強固な防御、信頼される機関及び業務の卓越性の3つを戦略目標として掲げています。これらの目標に基づき、調査の迅速化、比例性を踏まえた対応、判断の質及び独立性の維持を図る方針です。また、中小企業を含む英国企業が貿易救済制度を利用しやすくなるよう、簡素な案内、調査全段階における支援及び新たなデジタルサービスの提供を進めるとしています。

2. https://www.gov.uk/government/news/defending-uk-trade-with-greater-pace-and-purpose

②EUの新たな鉄鋼輸入措置に係る政治合意について3.4

 令和8年4月13日、欧州連合理事会議長国及び欧州議会(以下、EU)は世界的な鉄鋼過剰生産がEU市場に及ぼす悪影響に対応するため、新たな鉄鋼輸入措置に係る規則案について暫定的な政治合意に達しました。現行の鉄鋼製品に対するセーフガード措置が令和8年6月30日に失効するため、新措置は令和8年7月1日の発効を目指して正式採択に付される予定です。
  合意内容は無税で輸入できる鉄鋼数量を年間1,830万トンに制限するものであり、令和6年のセーフガード割当数量と比べて約47%少ない水準です。また、割当数量を超える輸入及び制度の対象となる一部の鉄鋼製品については、50%の関税を課すこととされました。これにより、過剰輸入を抑制しつつ、従来からの供給者による管理された市場アクセスを維持する仕組みを整えるものです。
   新措置には鉄鋼の溶解及び鋳造の由来を確認する要件も盛り込まれており、鉄鋼サプライチェーンの透明性を高め、迂回輸入を防止するための措置です。EUは鉄鋼産業を経済、安全保障及び脱炭素化に関わる戦略的産業と位置付けており、新措置を通じて世界的な過剰生産、輸入圧力及び価格下落に対応し、域内鉄鋼産業及び関連雇用を保護する方針です。 

3. https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2026/04/13/council-and-european-parliament-strike-deal-to-protect-eu-s-steel-industry-from-global-overcapacity/
4.https://www.europarl.europa.eu/pdfs/news/expert/2026/4/press_release/20260413IPR40607/20260413IPR40607_en.pdf

③EUの中国産管継手に対する迂回認定を決定5

 令和8年3月24日、欧州委員会は中国産のねじ込み式可鍛鋳鉄製・ダクタイル鋳鉄製管継手に対して課されている不当廉売関税について、中国産のねじなし可鍛鋳鉄製管継手の輸入にも適用することを決定しました(令和8年3月25日に官報掲載)。
 本件の原措置は、中国及びタイを原産地とするねじ込み式可鍛鋳鉄製・ダクタイル鋳鉄製管継手に対する不当廉売関税です。現在の措置では、中国産品について原則として57.8%、一部企業について24.6%から41.1%の個別税率が設定されています。その後、欧州委員会はねじ込み式管継手に係る原措置の効果を回避する形で、類似するねじなし管継手の輸入が行われているかどうかを調査しました。
 欧州委員会は、基本規則第13条に基づき原措置の対象であるねじ込み式管継手と類似するねじなし管継手の輸入について、原措置の迂回が認められると判断しました。このため、確定不当廉売関税の適用範囲をTARICコード7307191035及び7307191045に分類される中国産のねじなし可鍛鋳鉄製管継手に拡張しました(ただし、ふたのないねじなし可鍛鋳鉄製丸形接続箱は対象から除外)。
 本決定は、EUが迂回行為に対して原措置の対象範囲を拡張し、既存の貿易救済措置の実効性を確保する運用を継続していることを示すものです。

5. https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202600709

 

4.相談窓口

 経済産業省では、皆様からのアンチダンピング調査に関する個別相談を常時承っております。アンチダンピング措置は、海外からの不要な安値輸出を是正するためWTOルールにおいて認められた制度です。公平な国際競争環境が担保された中で、日本企業の皆様が事業活動を展開できるようにするためにも、アンチダンピングを事業戦略の一つとして捉えていただき、積極的に御活用いただきたいと考えております。
 申請に向けた検討をどのように進めればよいのか、複数の事業者による共同申請はどのようにすればよいのかなど、相談したい事項がございましたら、まずは気兼ねなく経済産業省特殊関税等調査室まで御連絡ください。
 また、「日本企業がアンチダンピング調査の調査対象となった場合」の御相談は、経済産業省国際経済紛争対策室まで御連絡ください。
 
 
<相談窓口:日本企業がアンチダンピングの申請を検討している場合>
 経済産業省 貿易経済安全保障局 貿易管理部 特殊関税等調査室 
TEL:03-3501-1511(内線3256)
E-mail:bzl-qqfcbk★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。
 
<相談窓口:日本企業がアンチダンピング調査の調査対象となった場合>
 経済産業省 通商政策局 国際経済部 国際経済紛争対策室 
TEL:03-3501-1511(内線 3056)
E-mail:bzl-wto-soudan★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。
 

5.FAQ

 以下のURLから、アンチダンピング申請等について、皆様からよく寄せられるご質問及び回答情報をご参照いただけます。ご活用いただけますと幸いです。
  よくある質問

 

最終更新日:2026年5月21日