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AWS主催、海外の最先端の知見を学ぶ有識者イベントを開催!

イベントレポート

2024/12/4

2024年11月1日(金)に東京都内にて、開発事業者が海外の最先端の知見を学び、開発に生かすことを目的とした、AWS主催の有識者セミナーを開催しました。
当日は、MetaとAnthropicのスペシャリストから、自社の最新AI基盤モデルを活用した開発時の考え方や、技術的なポイントについて解説するセッションを実施しました。また、AWSによる開発者向け支援プログラムにおける取り組みに関するセッションも行いました。
イベントには、GENIAC第2期採択事業者をはじめとする約100名のGENIACコミュニティのメンバーが参加し、各セッション後の質疑応答や終了後の交流会を通じて、知見を共有するとともに親睦を深めました。

■Metaの開発者によるLlamaモデル活用の技術的解説

Meta Platforms, Inc Pytorch/ GenAI at Meta, Hamid Shojanazeri氏

AWSと経済産業省担当者の挨拶に続き、最初に登壇したのは、MetaのAI言語モデル「Llama」開発者であるHamid Shojanazeri氏です。Llamaは「Hugging Face」上で4億回以上ダウンロードされ、2023年だけで10倍の成長を達成。様々なリサーチコミュニティ上でLlamaモデルが開発され、65,000以上のバリエーションが存在しています。

Shojanazeri氏は、まず、現在のLlamaモデルがツーコーディング機能やマルチモダリティを強化した第三世代(3.2)へと進化していること、また、「Llama Guard」モデルもリリースされておりAIの安全性の向上と倫理的リスクの管理が進められていることについても解説しました。
次いで、「Llama3.2」はライトウェイト(軽量)でデバイス対応に優れており、画像やOCR、PDFの読み取りやサマリー作成などの幅広いタスクに対応できること、AWS、Dell、Hugging Faceといった様々なプラットフォームでの利用が可能であり、他のモデルと比較して優れた結果を出していることを説明しました。

「Llama/PyTorch」の活用と学習についてShojanazeri氏は、ジャーニーを開始する際に、明確な目的の理解と設定が重要であると強調。プロンプトエンジニアリングのみで問題を解決できるかを評価する際の基本ステップと、コストのバランスを抑えつつ、目的に従って最適化するためのライトウェイト及びファインチューニング、そして必要に応じた追加学習やデータ拡張のポイントについて、具体的な解説を行いました。
また、新たなタスクに取り組む際にはプロセスを速く進めすぎず、概念を理解しながらモデルの適応やデータの形式にたに対して、慎重に選択と評価を繰り返し、正確な指標に基づいて判断をすることが重要であると話しました。

加えて、Llamaモデルでの開発効率を向上させるオープンソースのツールキット「Llama stack」についても解説しました。Shojanazeri氏は、Llama stackは2種類のAPIを備え、Llamaモデルを使う際のツールやライブラリが統合されており、柔軟性、機能性に優れたLlamaを補完するシステムであることなどを説明しており、「デベロッパー向けとして今後スタンダードとなるツールであり、ぜひ活用を推進して欲しい」と話を締めくくりました。

■Anthropicの開発者が語るClaudeの優位性と将来性

Anthropic, Member of Technical Staff at Anthropic, Jason Kim氏

Anthropicの Jason Kim氏によるセッションでは、Anthropicの最新AIモデル「Claude3.5」について、技術的な機能に焦点を当てた優位性などを解説しました。

Kim氏は Claudeのどのような点が優れているのかについて語っており、「GitHub」上でのプルリクエストを出発点として、AIがコマンドライン、エディティング、ビューイングといった一連のステップを効率的にサポートすることを解説。単に、インプットに対してレスポンスを返す、というだけではなく、より複雑な問題解決に特化したツール機能が強化されていると話しました。特に、問題解決の具体性を重視しており、技術的な成果とプラグマティックなリザルト(実際に役立つ結果)の両方のバランスが評価できる点を強調しました。

Kim氏は、AGのコンテクスト(文脈に応じた対応力)のアップデートがClaudeの進化の大きなポイントの一つであると解説。Claudeが、プルリクエストのディスクリプションからリポジトリの構成を理解し、どのコードが必要なのかを判断し、ツールを使ってエラーを再現した後、テストケースを作成して最終的に問題を解決に導くなど、独自のクリエイティビティに基づいた自律性の高い判断を行うことを説明しました。
また、Claudeの研究と改善の方向性についても言及し、複雑なタスクへの対応や、セルフコレクション(AIが自らのミスを認識し、別の解決策を模索する機能)をさらに強化し、利用分野や利用する対象を広げていきたいとの考えを示しました。

Kim氏は最後に、Claudeのセーフティの重要性や課題、それらの向上について解説。ハルシネーションやインタープリタビリティ(AIの透明性)といった課題に対して、Claudeに人間の脳のような働きができるという仮説があり、特定のフィーチャー(特徴)がオンになることで回答を導き出し、不適切な回答へのリスクを減らす、といった機能を持つことを説明しました。
「安全性は最も重要な要素の一つであり、Anthropicはこの分野に多くのリソースを投じている」とKim氏は話し、今後もさらに多くのユーザーにとって使いやすく、信頼性の高いツールに進化させていく、との展望を示しました。また、より良いAIの未来に繋げるため、今後も多くの人々と研究成果を共有していきたいと参加者に呼びかけ、話を結びました。

■開発を支援するAWSの様々な取り組み

AWS シニアスタートアップ機械学習ソリューションアーキテクト 針原 佳貴氏

イベントの締めくくりとして、AWSより開発支援に関わるサービスやプログラムの概要と、開発者向け支援チームに関するセッションを実施しました。

AWS シニアスタートアップ機械学習ソリューションアーキテクトの針原 佳貴氏は、2023年9月にスタートした、複数のAI企業やAmazonの高性能な基盤モデルを統一APIで提供するフルマネージドサービス「Amazon Bedrock」の概要や、多数のGENIAC採択事業者をサポートするLLM(大規模言語モデル)開発支援プログラム、国内のスタートアップ3社を支援するAWS Generative AI Acceleratorといった取り組みについて説明しました。

AWSシニアワールドワイドスペシャリスト 渡辺 啓太氏

AWSシニアワールドワイドスペシャリスト 渡辺 啓太氏は、AWSがグローバルに展開する「Frameworks」による開発支援の内容について解説しました。渡辺氏は、グローバルなメンバーで構成されるFrameworksチームがアーキテクチャー、POC、デプロイなどに関する技術上の支援の他、新たな基盤上での学習、AWS以外のエコシステムに関するサポートなどを展開していることを説明。具体的な事例とその成果を示しました。
また、オーケストレーションへのサポートにも力を入れており、最適化した支援が可能であることや、開発時に発生しやすい課題を解決に導くための「AWS Health Dashboard」「Amazon SageMaker HyperPod」 などのサービスの展開についても説明しました。

セミナーの後には、交流会を開催しました。和やかな雰囲気の中で有識者と参加者の様々な交流がなされ、有意義な機会となりました。

今後もGENIACでは、AI開発の有識者を招いたセミナーや勉強会の他、採択事業者やユーザー企業、関係者を結びつけるイベントを定期的に開催予定です。今後も、日本におけるAI開発を牽引する採択事業者の幅広い活躍と、GENIACの活動にぜひご注目ください。

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最終更新日:2024年12月4日