
2025/01/29
2025年1月28日(火)、GENIACの基盤モデル開発事業者と利活用企業およびベンチャーキャピタルとの交流を促進する第3回マッチングイベントを開催しました。当日は、アプリケーション企業・ユーザー企業・ベンチャーキャピタルあわせて30社、関係者約160名が参加し、開発事業者によるプレゼンテーションの後、会場内に設置された開発事業者ごとのブースでは意見交換などの活発な交流が見られました。
本記事では、イベントの内容の概要をご紹介します。
目次
- GENIACは今後ますます拡大展開
- 企業ニーズとのマッチングは生成AIの普及に不可欠
- プレゼンテーション登壇企業の一覧
- マッチングイベントの様子
- 開発事業社へのインタビュー
- イベント参加企業へのインタビュー
- 登壇した開発事業者の発表概要
GENIACは今後ますます拡大展開

第3回マッチングイベントの開催にあたり、経済産業省商務情報政策局 情報処理基盤産業室 室長 渡辺 琢也が、2024年2月から開始されたGENIAC事業の全体像とこれまでの取り組み、今回のマッチングイベントの目的、そしてGENIACの今後の新たな展開について説明しました。
「GENIACは、日本における生成AIの持続的な開発力の確保と社会実装の推進を目的としたプロジェクトです。これまで、生成AIの開発に不可欠な計算資源の提供やデータエコシステムの整備、国内外の開発者や制度担当者との交流を促進するため、複数回の公募やイベントを実施してきました。
今回で3回目となるマッチングイベントでは、計算資源の提供支援等事業の採択事業者と、生成AIの利活用を推進する企業との間で意見交換や協業を促進し、産業界のニーズを取り入れた、実用的で競争力のある国産の生成AIモデルの社会実装を加速することを目指しています。
また、GENIACでは、第3期目となる計算資源の提供支援等事業、第2公募となるデータ・生成AIの利活用にかかる実証調査事業に加え、特定のユースケースに向けた生成AIサービスの開発促進を目的とする懸賞金型の公募も今夏に開始予定です。さらに、グローバル競争力を強化するため、海外市場への展開の支援や人材育成を視野に入れた、コミュニティ活動のさらなる拡大も促進していきます」(渡辺)
企業ニーズとのマッチングは生成AIの普及に不可欠

GENIACの運営事務局を務めるBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)で全体統括を担当する岩井 諒介が、GENIACコミュニティの目的や生成AI利活用における日米の現状、今回のマッチングイベントの意義と進行方針について説明しました。
「GENIACは、日本の生成AI技術の発展と社会実装を推進するための産官学連携コミュニティです。開発企業・アプリ企業・ユーザー企業・VCなどをつなぎ、生成AIの活用を加速させることを目的としています。
マッチングイベントでは、開発事業者が提供する生成AIモデルをアプリ企業やユーザー企業が活用する機会を提供し、業務への具体的な実装につなげることを目指しています。日本における生成AIの利活用は、世界と比較して遅れを取っており、特に経営層よりも現場レベルでの活用が進んでいないことが課題とされています。
そのため、企業のコア業務(製造・設計など)における生成AI導入を促進し、優れた活用事例を広めることは、日本の生成AIの普及と生産性向上に不可欠です。開発企業・アプリケーション企業・ユーザー企業が連携し、技術とニーズをマッチングさせるこの機会をぜひ活用してください」(岩井)
マッチングイベントで登壇した開発事業者一覧
本イベントには下記の17開発事業者が登壇し、プレゼンテーションを行いました。c プレゼンテーションの詳細については、下記リンクより内容をご確認ください。
- 株式会社データグリッド
- フューチャー株式会社
- NABLAS株式会社
- 株式会社リコー
- 株式会社オルツ
- ストックマーク株式会社
- 株式会社AldeaLab
- AiHUB株式会社
- 株式会社Kotoba Technologies Japan
- カラクリ株式会社
- 株式会社ABEJA
- 株式会社Preferred Elements / 株式会社Preferred Networks
- 国立研究開発法人海洋研究開発機構
- 株式会社ヒューマノーム研究所
- 株式会社EQUES
- SyntheticGestalt株式会社
- 株式会社Deepreneur
開発事業者とユーザー企業が活発に意見を交換





マッチングタイムでは、各開発事業者のブースで開発中のAIモデルや提供サービスのデモンストレーションを実施し、アプリケーション開発企業やユーザー企業の担当者から様々な質問が寄せられました。また、具体的な商談に進むケースも多く見られました。
開発事業者へのインタビュー
第3回のマッチングイベントに参加した開発事業者のうち、計算資源の提供支援等事業 第2期から参加したカラクリ株式会社と株式会社データグリッドのコメントを紹介します。
カラクリ株式会社のコメント

カスタマーサポート領域に特化したAI技術の活用を推進するカラクリの中山 智文氏は、開発のきっかけについて、「代表の小田(志門)がコールセンターの経営を経験し、AIによる業務効率化の必要性を強く感じたことが、事業の発端となっています。社会課題としても重要ですが、個人的には、私の妻がカスタマーサポート業務を経験した際に、過酷な労働環境を目の当たりにしたことも、大きな動機となりました」と話します。
初参加となるマッチングイベントの手応えについては、「予想以上にイベントの規模が大きく、多くの企業が参加していたのが印象的でした。単なるネットワーキングではなく、『導入を検討したい』と具体的な商談に発展しそうな企業も複数あり、私たちのプロダクトと現場のニーズが合致していることを実感しました。また、参加者の多くが技術者であり、AIのモデルやその仕組みに深い関心を持たれていたのも特徴的です。『なぜこの精度が出るのか?』といった技術的な質問が多く、カラクリの技術力を理解してもらえる良い機会となりました」とコメントしました。
また、イベントで多く寄せられた質問やカラクリの今後の方向性、さらに次回のイベントへ向けた期待について中山氏は次のように話します。「今回のイベントでは、音声対応に関する質問が特に多く寄せられました。現状ではカラクリとしてこの領域に取り組めていませんが、重要な課題として認識しており、今後は音声AIの開発も検討していきます。また、生成AIを活用したデータ整備や、より高度な会話AIの開発にも引き続き取り組み、完成度の高いソリューションの提供を目指しています。今回のイベントでは、参加企業同士の情報共有が十分に行えなかったと感じたため、他社の課題や技術動向を知るための場があると、より実践的な学びが得られるのではないかと考えています」
株式会社データグリッドのコメント

京都大学発の生成AIスタートアップであるデータグリッドは、2017年の創業以来一貫して動画・画像生成AIの研究開発に取り組み、最近では製造業向けの画像データ生成基盤「Anomaly Generator」に開発成果の組み込みを進めています。技術の責任者である斎藤 優氏は、製造業向け生成AIプロダクトのきっかけについて、「2021年に開始した住友電工様との製造現場での不良判定AIに関する共同技術開発が発端です。日本の製造業は優秀で、ほとんど不良品が発生しません。しかし、それゆえに不良品の状態を学習させるための画像が不足していました。この課題は製造業全体に共通しており、医薬品や食品製造の分野にも応用できると考えています」と話します。
計算資源の提供支援等事業 第2期で採択され、今回のマッチングイベントに初参加となる斎藤氏は、イベントの手応えについてこう話します。「製造業に特化したAI活用をアピールできる場として、大変有意義に感じました。マッチングタイムでは、電気機器メーカーの外観検査部門の方が即導入を希望され、総合商社の方からは共同事業開発の可能性を検討したいというお話がありました。また、まったく想定していなかったのですが、ECサービスの担当者と物流の最適化や生成AI活用の可能性について議論できたことも大変刺激になりました」
また、イベントでの反省点と今後への期待について、斎藤氏からは次のようなコメントがありました。「これはスタートアップならではの課題ですが、今回のブース対応は私一人だったため、多くのお問い合わせに同時対応するのが難しかったことが反省点です。10社ほどの担当者とお話しましたが、詳細な議論をするには時間が足りなかったというのが率直な感想です。画像・動画生成AIを扱う他の開発事業者と直接お会いできる貴重な機会でもありますので、今後は開発企業やユーザー企業同士の情報共有を進めることで、新たな活用事例が見えてくるのではないかと期待しています」
イベント参加企業へのインタビュー
第3回のマッチングイベントに参加したユーザー企業から、日本航空株式会社(JAL)と横河デジタル株式会社のコメントを紹介します。
日本航空株式会社(JAL)のコメント

日本航空(JAL)では、規程やマニュアルなどの社内情報を読み込んだAIに対し、社員が問合せ、AIから回答を得られる仕組みを構築している。「ただし、AIによる図表の読み取りが苦手であったり、求められる回答精度に達するためファイルの修正が必要になるなど、新たな課題も生じており、仕組みの改善や新しいソリューションの導入を検討しているところです。」と、デジタルテクノロジー本部でAI導入を担当する安達 太一氏は話します。
こうした課題を解決する技術の情報を得るため、マッチングイベントに参加した安達氏と山脇 学氏。これまで日本のAI開発企業の取り組みを直接聞く機会はほとんどなかったといいます。「開発事業者が予想以上に多かったのですが、イベントの進行がスピーディーだったため短時間で多くの企業と話せたのが良かったです。また、商談として成立するような具体的な対話ができたことも大きな成果でした」(山脇氏)
イベント全体の感想と今後の要望について、安達氏は次のように述べています。「技術者と直接話せる機会があり、情報収集にとても有益だったと感じています。一方で、商談の待ち時間が長いため、より効率的に多くの企業と話せる仕組みがあれば、より有意義なマッチングが可能になるのではないかと思いました。」
横河デジタル株式会社のコメント

横河デジタルは、横河電機の100%子会社として2022年に設立され、主に製造業向けにOT(制御・運用技術)戦略やDX推進のコンサルティング事業を展開しています。「企業の本社IT部門と工場などのOT部門が分離していることがDX推進の障壁となっているため、全体を見渡したコンサルティングを提供しています」と話すのは、YOKOGAWAグループ内のAI活用を統括するエンタープライズAI推進室の小渕 恵一郎氏。
今回で2回目の参加となるマッチングイベントで、同社が特に注目しているのが、Kotoba Technologies Japanが提供する音声基盤モデルです。 「YOKOGAWAグループでは長年グローバル展開を進めており、すでに私たちの部署の40%が日本語話者ではありません。そのため、同時通訳によるコミュニケーション強化に期待しています。現在はオンライン会議でライブトランスクリプション機能を利用していますが、会話の中で専門用語も飛び交うため、AIによる翻訳精度の向上を求めています」(小渕氏)
また、製薬・化学分野に特化した基盤モデルにも関心を寄せ、マッチングタイムでは関連する事業者すべてと対話したという同推進室の大原 健一氏。 「前回よりもイベントの規模が拡大し、製造業向けにアプローチするAI開発事業者が増えた印象でした。例えば、製薬では研究室レベルから製造ラインへ移行する際に様々な課題が生じますが、YOKOGAWAグループの主要な顧客層であるため、AIによる課題解決には大いに関心があります。今後は、ユーザー企業同士の意見交換の場が設けられると面白い展開になるかもしれません」
さらに、国立研究開発法人海洋研究開発機構が発表した気候関連リスク評価モデルなど、興味を惹かれる発表も多かったといいます。 「自然災害が発生すると、工場では在庫を大量に抱えてしまうなどのリスクが生じます。これは、製造業の経営層にとって関心の高いテーマだと感じました。横河デジタルでは『AIファースト・マニュファクチャリング』の実現を目指しており、まず私たち自身がAIを試し、業務の効率化を確認できたものをお客様に提供していきたいと考えています」(小渕氏)
登壇した開発事業者の発表概要
AI基盤モデルのプレゼンテーションに登壇した開発事業者の発表の概要を紹介します。
株式会社データグリッド

データグリッドは、2017年に創業した京大発のAIスタートアップで、動画・画像生成AIの研究開発に取り組んできました。GENIAC事業では、ユーザーの意図どおりのデータを生成できるVision系基盤モデルの開発を目指しており、動画コンテンツ内の特定要素の変更や、製造業向けの外観検査データの生成などへの応用が可能です。さらに、ディープフェイク検知モデルの開発も同時に進めており、将来的にはVision系AIプラットフォームを構築し、幅広い業界への展開を予定しています。
フューチャー株式会社

フューチャーは、経営戦略から業務改革、システム開発までを一貫して支援するITコンサルティング企業です。現在、日本語とソフトウェア開発に強い基盤モデルの構築を進めていて、実用的な開発を意識した評価データセットを新たに開発することで、日本語の設計書からのコード生成や、高度な領域でのソフトウェア開発を実現します。すでに一部のタスクではLlamaを超える性能を発揮しており、ソフトウェア開発の効率化や社内データの活用に課題を抱える企業への支援が可能です。
NABLAS株式会社

東大発ベンチャーのNABLASでは、日本語のテキスト・画像・複数画像・動画に対応した汎用的な大規模視覚言語モデル「NABLA-VL」と、「日本っぽい」/「流行りの」食品に特化したモデル「NABLA-VL.food」を開発しています。GENIAC事業では、データ収集企業と連携して7つのタスクからなる6,800枚で構成される「日本の流行食」に関する学習データセットを構築したのち、NABLA-VLのファインチューニングを行うことでNABLA-VL.foodを開発します。2024年10月には8Bモデルの学習を完了し、現在は15B規模のモデル開発を進めています。2025年4月には、さらに大規模なMoEモデルの構築を目指しています。
株式会社リコー

リコーでは、企業内の知識を活用できるプライベートマルチモーダルモデル(LMM)の開発を進めています。図表を含む社内文書から情報を抽出し、オンプレミス環境でも運用可能な適正サイズのモデル構築を目指しています。すでに、オープンソースのモデルを基にしたLMMの基本構造が確立されており、実用性を重視したデータセットの作成にも着手しました。今後は、事業に賛同する企業の実データを活用し、プライベート大規模言語モデル(LLM)の実用化をさらに推進していきます。
株式会社オルツ

AI技術によるDX支援ソリューション事業を展開するオルツでは、デジタル上で個人の代替を可能にし、人間の価値を最大化する「パーソナルAI」の実現を目指しています。GENIAC事業では、70B規模の大規模言語モデル(LLM)と事前学習用データの構築に取り組んでおり、少量のデータから個性化モデルを効率的に作成できるパーソナライゼーション技術の開発を進めています。また、社員のAIクローンを活用した新たな労働形態の実験も行い、労働力の補完に貢献するAIの社会実装を推進しています。
ストックマーク株式会社

ストックマークは、GENIAC事業において国内最大級のドキュメント読解基盤モデルを独自開発し、ビジネスにおける課題であるハルシネーションの抑止と回答精度の向上に取り組んでいます。図表を含むリッチな資料のデータを構造化し、RAGに組み込むことで、フローチャートなど複雑な文書の概念を理解し、社内チャットボットなどの生成AIによるQA精度を向上させるといったユースケースを想定しています。さらに、業界特有のフォーマットなどより専門性が高く複雑なレイアウトの資料正確に解析できる、企業向けに特化したカスタマイズモデルの開発も進めています。
株式会社AldeaLab

筑波大学AI研究室発のスタートアップであるAldeaLabは、国内シェアNo.1の画像生成AIアプリ「AI PICASSO」の開発や、AIコンサルティング事業を展開しています。また、「社内Chat AI」や「AI議事録取れる君」など、業務効率化に貢献するプロダクトの提供も手掛けています。GENIAC事業では、著作権クリアなデータを活用した基盤モデルの研究を進めており、世界初のアニメに特化した動画生成AIの開発に挑戦し、日本のアニメ業界におけるDX推進を目指しています。
AiHUB株式会社

AiHUBは、画像生成AIコミュニティやOSS開発者が集まり、2023年に設立された企業です。研究開発から事業開発までを垂直統合的に進めると同時に、他社と協力しながらAI技術を活用したバーチャルヒューマン事業やアニメ制作補助ツールの開発を展開しています。GENIACで採択されたアニメ特化型の基盤モデル開発事業では、共通の基盤モデルをベースに、各アニメ制作会社が所有するデータを追加学習し、事業者ごとの専用モデルを構築。さらに、アニメ制作の効率化を支援するツールの開発も進めています。
株式会社Kotoba Technologies Japan

Kotoba Technologies Japanは、音声生成AIの研究開発に特化したスタートアップです。開発中の音声基盤モデルでは、超高速な音声書き起こし、音声チャットボット、英語と日本語のリアルタイム同時通訳など、音声コミュニケーションを支援する技術を提供可能です。また、高精度な音声合成技術により、流暢な日本語の読み上げや声真似(ボイスクローニング)にも対応しています。すでに50万人以上のデベロッパーに活用されており、日本語音声を活用したバーチャルヒューマン事業などの展開も進めています。
カラクリ株式会社

日本のカスタマーサポートに特化したAI SaaSの開発・提供を行うカラクリでは、GENIAC事業において、ハルシネーションを抑制し、高い日本語能力を備えた高品質なAIエージェントモデルの開発に取り組んでいます。また、コンピュータ上の画面を認識するAIの開発や、AWS Trainiumを活用したコスト効率の高い学習環境の構築を進め、世界最高水準のサポートAIの実現を目指しています。これにより、カスタマーサポート業界に関わる人々を支援し、業界全体のエンパワーメントを推進していきます。
株式会社ABEJA

ABEJAは、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなる「ABEJA Platform」の開発・導入・運用を行っております。GENIACで採択されたプロジェクトでは、低コストで個別モデルを開発するための基盤モデルを独自に構築し、高精度のRAGとエージェント技術を活用してコストパフォーマンスの向上を実現しました。第2公募では、企業の特定タスク向けモデルの構築や、小型で高性能なモデルの最適化に取り組んでいきます。
株式会社Preferred Elements / 【共同提案者】株式会社Preferred Networks

Preferred Networks(PFNグループ)では、AI技術のバリューチェーンを垂直統合し、ソフトウェアとハードウェアの融合による産業応用を推進しています。GENIACの支援のもと、フルスクラッチで開発した純国産のマルチモーダル基盤モデル「PLaMo」は日本語ベンチマークで高精度を達成し、エッジデバイス向けに最適化した小規模言語モデル「PLaMo Lite」を2024年8月から商用提供しています。また、同年12月にはフラッグシップモデルとして「PLaMo Prime」の商用提供も開始しました。第2期では、推論コストを1/10に抑えつつ、日本語処理における最高性能を実現するモデルの開発を目指しています。
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、海洋・地球・生命に関する統合的な理解を深め、社会課題の解決を目指す国の研究開発機関です。海洋探査やスーパーコンピュータを活用した温暖化予測を行うほか、近年では、TCFDレポートをはじめとする気候リスクの評価や対策立案を支援する生成AIの開発を推進しています。GENIAC事業では、100年間の温暖化予測データを活用したAIモデルを構築し、企業の気候関連リスク評価や戦略策定を支援する技術開発に取り組んでいます。
株式会社ヒューマノーム研究所

ヒューマノーム研究所では、AI技術を活用して人々の生活の向上を目指し、創薬分野における遺伝子解析向けの生成AI開発に取り組んでいます。GENIAC事業では、実験結果の解釈を支援するモデルを構築し、研究開発や新規事業開発におけるデータ解釈の課題を解決。仮説検証、文献調査、実験結果の分析までを支援するAIエージェントを開発しています。将来的には、製薬会社やがんセンターなどと連携し、より幅広い領域で活用できるAI開発を推進していきます。
株式会社EQUES

東大発のスタートアップであるEQUESでは、製薬業界の品質保証業務をAIで効率化するSaaS事業を展開しています。現在、製薬業界で重要な変更申請書の自動生成ツールを開発・提供しており、GENIACプロジェクトでは機密データを安全に扱えるドメイン特化型LLMの開発を進め、専門知識を強化したAIの構築を目指しています。また、製薬業界に限らず、書類のレビューや生成を支援するLLMの実用化と、評価用データセットの開発にも取り組んでいます。
SyntheticGestalt株式会社

SyntheticGestaltは、医薬品・化粧品・農薬・新素材の発展に欠かせない分子情報に特化したAIを開発する企業です。データが少なく複雑な分子領域において、AIによる機能予測を容易かつ正確にすることを目指し、世界最大規模の分子情報特化基盤モデル「SG4D10B」を構築しました。すでに100億件のデータと100以上のタスクを学習し、活性・毒性・細胞透過性など23種類の予測において高精度を実現しています。今後は創薬をはじめ、大規模スクリーニングなど幅広い用途で活用可能な技術を提供していきます。
株式会社Deepreneur

Deepreneurは、ユビタスと共同で、日・中・韓の東アジア言語に強い観光・産業向け大規模言語モデル(LLM)「405B」の開発を進めています。現在、Llama 3.1をベースに、日本語データの整備やベンチマーク評価に取り組み、適切な知識の学習と推論精度の向上を目指しています。また、観光業向けLLMを基盤とし、さらに幅広い分野への応用が可能な技術の蓄積を進めています。今後も、モデルの知識強化や性能評価に注力し、多様な業界のニーズに対応できるAIの開発を推進していきます。














第3回マッチングイベントは、多くのAI開発事業者、アプリケーション企業、ユーザー企業、VCが参加し、盛況のうちに終了しました。参加者からは、基盤モデルの技術的な内容から具体的な商談まで、スピーディーに対話できる点を評価する声が多く寄せられました。生成AIの社会実装を加速させるGENIACの今後の活動にご期待ください。
GENIACトップへ最終更新日:2025年4月7日