「資源効率・循環経済に係わる世界の動向」
●G7での動向
<G7・エルマウサミット(2015年6月)>
「持続可能な資源管理と循環型社会を促進するためのより広範な戦略の一部として、資源効率性を向上させるための野心的な行動をとる」との宣言。また、資源効率性のためのG7アライアンス設立合意。
(首脳宣言抜粋)天然資源の保護と効率的な利用は,持続可能な開発に不可欠である。我々は,産業の競争力,経済成長と雇用,並びに環境,気候及び惑星の保護のために極めて重要と考える資源効率性の向上に努める。我々は引き続き,「神戸3R行動計画」及びその他の既存のイニシアティブに基づき,持続可能な資源管理と循環型社会を促進するためのより広範な戦略の一部として,資源効率性を向上させるための野心的な行動をとる。我々は,自発的に知識を共有し情報ネットワークを創出するためのフォーラムとして,資源効率性のためのG7アライアンスを設立する。附属書に記載されたとおり,アライアンスは,資源効率性によって提供される機会を進め,ベスト・プラクティスを促進し,イノベーションを強化するため,産業界,中小企業,その他関連するステークホルダーと協力する。我々は,革新的な官民連携を通じた協力を含め,資源効率性に関して開発途上国と協力する利点を認識する。我々は,国連環境計画(UNEP)国際資源パネルに対して,資源効率性のための最も有望な可能性潜在力と解決策を強調した統合報告書を準備することを求める。我々はさらに,OECD
に対して,統合報告書を補完する政策指針を作成することを招請する。
首脳宣言全文(仮訳)
<G7・伊勢志摩サミット(2016年5月)>
○伊勢志摩サミット(2016年5月 伊勢志摩)
イノベーション,競争力,経済成長及び雇用創出を促進することも目標として,資源効率性を改善するために企業及びその他のステークホルダーと共に取り組む。
(首脳宣言抜粋)資源の持続可能な管理及び効率的な利用の達成は,2030
アジェンダにおいて取り上げられており,また,環境,気候及び惑星の保護のために不可欠である。持続可能な物質管理及び循環型社会の重要性に留意し,我々は,「富山物質循環フレームワーク」を支持する。この新たな枠組みは,資源効率性及び
3R(リデュース,リユース,リサイクル)に関する我々の取組を深めるための共通のビジョン及び将来の行動のための指針を提供する。我々は,引き続き「資源効率性のための
G7アライアンス」を通じて協力する。我々は,また,イノベーション,競争力,経済成長及び雇用創出を促進することも目標として,資源効率性を改善するために企業及びその他のステークホルダーと共に取り組む。我々は,全ての国に対し,我々のこれらの取組に参加することを奨励する。我々は,資源効率性及び
3R
に関する我々の取組が,陸域を発生源とする海洋ごみ,特にプラスチックの発生抑制及び削減に寄与することも認識しつつ,海洋ごみに対処するとの我々のコミットメントを再確認する。さらに,我々は,科学的知見に基づく海洋資源の管理,保全及び持続可能な利用のため,国際的な海洋の観測及び評価を強化するための科学的取組を支持する。
首脳宣言全文(仮訳)
○エネルギー大臣会合(
2016年5月 北九州市)
.我々は、エネルギー効率と資源効率の、強い相互関係性及び同時に改善することの重要性を強調する。
共同声明全文
○環境大臣会合(2016年5月 富山市)
富山物質循環フレームワークを採択。
全文
<G7資源効率アライアンスワークショップ(2016年12月東京)>
G7資源効率アライアンスに基づき、国際資源循環をテーマとしたG7ワークショップを2016年12月に東京で開催
(議長サマリー)
○国際資源循環の意義
Ø
国際的に使用されなければ埋め立て処分されていた可能性のある資源を、需要のある国で有効利用可能
Ø
適正な処理技術と廃棄物管理システムを有する国に資源を国際移動することで、環境負荷を低減
Ø
複数国からの回収による再生資源量の確保により、リサイクル/リマニュファクチャリング関連ビジネスを創出する機会が発生
○国際資源循環の課題
Ø
国毎の廃棄物処理およびリサイクルに関るシステムの相違
Ø
適正な汚染管理
Ø
再生資源輸送時におけるエネルギー消費の低減
○更なる協力分野
1)
ビジネスの促進活動
資源効率の達成は、経済成長やイノベーション、雇用の促進等も促す形で達成されることが重要である。また、ビジネスセクターの取り組みを促進するため、システムを改善する方法について協議することも求められる。
2)
輸送時のエネルギー消費の削減
軽量化などの技術的アプローチをとること、および、材料とエネルギー効率の相互接続によって、資源効率を改善する新しいビジネスモデルやシステムをサポートすることが重要。
3) 途上国における適切なリサイクルシステムの構築
有害廃棄物の輸出入管理や、適切かつ持続可能な資源リサイクルシステム、および途上国のキャパシティビルディングを含むクリーンテクノロジーの導入を支援するために、G20などの国々に資源効率への参加を促す。
○EUの動向
<CEパッケージ(2015年12月)>
■Circular
Economy(CE)とは
CE (Circular Economy)とは、貴重な資源の有効利用と再使用・再生利用等の一層の推進による資源の損失の防止、資源の再生利用等の方向性に基づいた新しいビジネスモデルの構築、雇用の創出と経済成長、環境配慮型の製品設計と産業振興の相互協力を通じた廃棄物ゼロの実現、温室効果ガスと環境への負の影響の削減等を包含する考え方。
■Circular
Economy Package (CEP)について
欧州委員会がCircular Economy(CE)に向けた移行を促すためのCircular Economy Package
(CEP)を2015年12月2日に発表。CEは国際競争力を強化し、持続可能な経済成長を促進し、新たな雇用を生もうとするものとし、CEPは行動計画(コミュニケーションペーパー)及び廃棄物法令の改正案で構成。
●EUのCEに向けた行動計画の概要
Ø
生産
・製品デザイン
エコデザイン指令の下、様々な製品特性を考慮しつつ、CEに関する製品の要件、修理可能性、耐久性、リサイクル可能性等に関して考慮し、エコデザイン指令作業計画(2015-2017年)を実施。【2015年12月】
PCやTV液晶製品についても近い将来に実施規則を提案。【2015年末-2016年初】
・製品プロセス
廃棄物と資源循環の廃棄物管理のベストプラクティス、産業界の資源効率手法に関するガイダンス作成、鉱物資源に関するベストプラクティスの促進を実施。【2018年】
Ø
消費
・修理・補修部品に関してエコデザイン指令の作業を検討。
【2018年】
・エネルギーラベルにおける耐久性の情報についても検討。
・廃棄物法令改正に、リユース活動の指針を規定。
・製品保証の制度の試行及び不正な環境配慮製品(Green
Claim製品)への対策。【2016年】
・グリーン購入政府調達の新基準でCEの観点を入れ、促進支援。EUにおいて模範を示す。【2016年以降】
Ø
廃棄物管理
・行動計画と同時に、廃棄物法令改正案を提案・採択。【2015年12月以降】
Ø
二次原料リサイクル・水資源リユースの市場の促進:廃棄物から資源に
・二次原料の品質基準開発のための作業を必要に応じて実施、ルール改善を提案。【2016年】
・有機堆肥、廃棄物堆肥の認知を高めるなど、肥料規則を改正。【2016年前半、2017年】
・水のリユース促進のための一連の行動を実施。【2016年‐2017年】
・化学物質製品の懸念を改善するため、化学物質、化学製品、廃棄物法令を連関させる。また原料情報システムの開発を行い、EUワイドで研究を実施。【2017年】
Ø
優先分野
プラスチック、食品廃棄物、希少原料、建築・解体及びバイオマス・バイオ由来資源の5分野について優先分野として各種取組を実施。
Ø
イノベーション、投資及び業種横断的施策
・「Horizon 2020」作業計画(2016-17) 6.5億ユーロ以上の資金支援・連動。【2015年10月】
・潜在的な規制上の障害に取り組むためのパイロット試験を実施。【2016年】
・ステークホルダーとの連携を行い、資金支援スキームでアウトリーチ活動を展開。【2015年以降】
Ø
進捗モニタリング
・欧州環境局・加盟国と連携し、既存データに基づいた効果把握、モニタリング枠組みを開発。【2017年】
●廃棄物法令の改正案
Ø
EU
共通の目標:2030年までに自治体廃棄物のリサイクル率65%を達成。
Ø
EU
共通の目標:2030年までに容器包装廃棄物のリサイクル率75%を達成。
Ø
強制力のある目標:2030年までにすべての廃棄物の埋立率を最大10%に削減。
Ø
分別回収された廃棄物の埋立禁止。
Ø
埋立を減らすための経済的なインセンティブの開発。
Ø
EU全体に適用される統一的なリサイクル率算出方法と定義の簡素化及び改善。
Ø
リユースの促進及びIndustrial
Symbiosisの促進のための具体的施策。
Ø
よりグリーンな製品の市場投入を促進し、リカバリ・リサイクルスキームを支援するための生産者への経済的インセンティブ。
CEP
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