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日本提案の「トラック隊列走行システム」に関する国際標準が発行されました
ーより安全で効率的な社会を目指して(ISO 4272)ー
2022年9月21日
「隊列走行」とは、複数のトラックが連なり、走行状況を通信によってリアルタイムで共有し、自動で車間距離を保って走行する技術です。この技術の国際的な普及には、走行システム/機能の開発について、共通の方式で取り組むことが必要です。
この度、走行システムに関して、日本提案の国際標準が発行されました。トラック隊列走行システムの活用を通じて、物流の担い手不足解消や物流効率の向上などに繋がることが期待されます。
1.背景
国内物流の大半を支えるトラック輸送における、ドライバー不足や高齢化、燃料費の高騰などは運送事業者が直面する課題となっています。また、トラック隊列走行は、疲労などによる運転ミスにおける交通事故の削減や、空気抵抗の低減や車速変化の減少による燃費向上、下り坂から上り坂に差し掛かる箇所(サグ部)での速度低下を抑制する事による渋滞の緩和、運転負荷軽減による担い手の確保が期待されています。そのような状況を背景に、トラックの隊列走行を実現することを目標として開発が進められ、2018年1月には、新東名高速道路等で初の公道実証実験が行われました。
本標準における「隊列走行」とは、高速道路において、ドライバーの監視のもと、複数のトラックが連なり、走行状況を通信によってリアルタイムで共有し、自動で車間距離を保って、車線維持や車線変更を連携して走行する技術です。
隊列走行の実用化に向けた検討は、欧米を始めとする世界各国においても行われており、国際的に統一された標準の整備は、大変重要と考えられていました。
したがって、日本における車両技術の開発と実証実験から得られた成果をベースに、共通の機能を有したシステムがより広く世界に普及することを目指し、日本から国際標準の提案をしました。

図1 トラック隊列走行 実証実験
2.標準の概要
今回発行された国際標準ISO 4272(トラック隊列走行システム)※1は、隊列の形成/加入/離脱時の機能(隊列運行管理機能)と、隊列走行の機能(隊列走行制御機能)について規定しています。(図2)これらの機能の標準化によって、異なるメーカーの車両が混在していても隊列の加入車情報を共有することが可能となり、加入時においても協調して車速の調整を行うなどした隊列の形成が可能となります。
- 隊列運行管理機能:車両間および隊列走行管制室が情報を共有し、隊列の形成/加入/離脱を行う機能。
- 隊列走行制御機能:車両間で加減速情報等を共有し、協調型車間距離維持システム(CACC※2)をベースに、車間距離維持、車線維持、車線変更などの走行を行う機能。
本標準は、日本が国際議長を務めるISO(国際標準化機構)/TC204(ITS 高度道路交通システム)/WG14(走行制御)に、日本から2019年4月に提案し、2022年9月19日に国際標準として発行されました※3。

図2 トラック隊列走行システム構成図
3.期待される効果
本標準の発行により、各事業者は共通の定義にもとづくトラック隊列走行システム/機能の開発が可能となります。トラック隊列走行システムの運用により、疲労などによる運転ミスにおける交通事故の削減や、空気抵抗の低減や車速変化の減少による燃費向上、サグ部での速度低下を抑制する事による渋滞の緩和、運転負荷軽減による担い手の確保が期待されます。
ISO 4272:2022 Intelligent transport systems - Truck platooning systems (TPS) - Functional and operational requirements
日本語訳
ISO 4272:2022 高度道路交通システム -トラック隊列走行システム(TPS)- 機能および運用要件
※2 CACC (Cooperative Adaptive Cruise Control):協調型車間距離維持支援システム通信で先行車の制御情報を受信し、加減速を自動で行い、車間距離を一定に保つ機能のことです。
関連リンク
担当
産業技術環境局 国際標準課長 渡辺担当者:田中、青山、野口
03-3501-8625(FAX)