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第31回アジア輸出管理セミナーが開催されました
2025年2月28日
2月18日(火曜日)から20日(木曜日)の3日間、東京でアジア輸出管理セミナーが開催されました(主催:一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)、共催:経済産業省及び外務省)。31回目の開催となった本セミナーには、約30の国・地域及び国際機関等から約170名が参加しました。
1.本セミナーの背景及び概要
アジア輸出管理セミナーは、アジア各国・地域における輸出管理制度の導入促進、運用強化を通して、国際的な不拡散への取組の強化に資することを目的としています。アジアを含め世界各国・地域の政府機関、国際機関等の専門家が一堂に集まり、輸出管理の最新情報や実務面のベストプラクティスなどの意見交換、情報共有を実施し、輸出管理の重要性に対する共通認識の醸成を支援します。
2.セミナー開催概要
(1)セミナーの主な内容
開会挨拶
古賀経済産業副大臣から開会の挨拶として、1990年代以降アジア各国の輸出管理制度の整備は着実に進展しているが、国際情勢の変化により安全保障上の課題は今もなお継続していること、先端半導体や人工知能、量子など先端技術の急速な進歩が軍事分野に変革をもたらす可能性を指摘し、我が国も安全保障輸出管理制度の見直しを進めていることを発言しました。
また、アジア地域は先端的な電子部品を含む安全保障上重要な貨物や技術の生産・流通拠点としてグローバルサプライチェーンの中核を担っており、アジア各国が安全保障輸出管理の制度導入を促進し、実効性を高めるために行動することが、アジア地域と世界全体の安全保障にとって重要であることを強調し、我が国はアジア各国の審査官への研修や産業界への働きかけなど実務面の協力を進めるとともに、輸出管理制度が整備されている国との間での手続きの簡素化を進めていることを紹介しました。
輸出管理制度の最新動向
日本、EU、英国、カナダより、近年の技術発展、国際情勢の変化に対応するため、エマージング技術の輸出管理やキャッチオール制度の改正、経済安全保障に関する取組、安全保障と自由な経済活動のバランスの重要性などについて説明がありました。また、産業界への関与の強化やアカデミアへのアウトリーチなど、輸出管理を巡る様々な課題に対する各国の取組について意見が交わされました。
アジア各国・地域の輸出管理制度
タイ、シンガポール、バングラデシュ、香港、ラオス、カンボジア、中国、ベトナム及びパキスタンから最新の輸出管理制度について紹介がありました。国連安保理決議第1540号を履行するための取組、輸出管理制度の整備や運用強化などについて説明がありました。また、輸出管理当局の体制や審査の取組に加え、技術移転管理、エマージング技術の輸出管理、拡散金融対策など輸出管理の新しい課題についても意見交換が行われました。
懸念主体による調達活動
不拡散問題の専門家より、懸念主体による調達活動をテーマとする発表が行われました。各専門家から、(1)懸念主体による技術情報の調達活動が多様化しており、輸出管理当局間の連携強化が重要、また、大学や企業における技術流出対策強化が課題であること、(2)国連安保理決議第1874号に基づく報告書をベースに、国連制裁対象国による不正調達の実態、調達ネットワークの具体的な事例について説明がありました。
テーマ別セッション(無形技術移転)
日本、オーストラリア、マレーシア、ノルウェーより、大学や研究機関における無形技術移転の管理に向けた取組として、みなし輸出規制などの制度改正、違反事例に関するケーススタディ、輸出管理当局によるアウトリーチ活動について説明がありました。
テーマ別セッション(輸出審査)
日本、ドイツ、オランダ、英国、インド、シンガポールより、各国の輸出許可制度、審査方針、輸出審査手続、省庁間協力、ベストプラクティスの取組について説明がありました。
テーマ別セッション(法執行と遵守)
フィリピン、韓国、カナダ、オーストラリアより、法制度の執行やコンプライアンスに関する取組として、罰則規定や罰則軽減措置、産業界へのアウトリーチ、執行に関するケーススタディ、省庁間執行協力などについて説明がありました。
国際機関及び国際輸出管理レジームの発表
国連軍縮部、国連政治・平和構築局、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC)及びシンクタンクより、各機関の最新の取組について説明がありました。また、原子力供給国グループ(NSG)、オーストラリア・グループ(AG)、ワッセナー・アレンジメント(WA)の各国際輸出管理レジームの議長や事務局長から、技術の進展を踏まえた輸出管理レジームの取組について説明がありました。
(2)今回の成果
第31回を迎えたセミナーには、アジアや欧米などの多数の国・地域、国際機関や国際輸出管理レジームなどから、約170名の輸出管理関係者が参加しました。今回も、輸出管理に係る課題、それに対する各国の取組、効果的な輸出管理の実施方法等について、ベストプラクティスの共有等、活発な意見交換が行われ、これらを通して参加者間のネットワーク強化が促進されました。今後も本セミナーを含め、アジア各国・地域に対するアウトリーチ活動を実施し、輸出管理制度の構築や実効性の向上を支援する取組を継続していきます。
担当
貿易経済安全保障局 貿易管理部 安全保障貿易国際室長 荒木
担当者:相部、遠藤、佐藤
電話:03-3501-1511(内線 3271~4)
メール:bzl-anpo-kokusai★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。