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「令和7年版通商白書」及び「通商戦略2025」を取りまとめました

2025年6月27日

経済産業省は、「令和7年版通商白書」を取りまとめ、本日、閣議配布しました。通商白書は、国際経済の動向や通商に影響する諸外国の政策の分析を通じて、我が国の通商政策の形成に貢献するとともに、国民の皆様に対して通商政策を基礎づける考え方や方向性を示す重要な白書であり、今回で77回目の発行です。また、現下の国際情勢を踏まえた、我が国が進めるべき通商政策についても、産業構造審議会通商・貿易分科会における議論を経て「通商戦略2025」として取りまとめ、本白書にその目標と方向性を示しています。

1.令和7年版通商白書のポイント

令和7年版通商白書では、主に以下の分析を行っています。

  1. 米国関税ショックと不確実性の高まりが世界経済見通しを悪化させているが、その背景には米国の経常収支と財政収支の「双子の赤字」の拡大があり、根底には国内格差の拡大、保護主義への米国内の支持、中国の過少消費といった構造問題がある。
  2. 中国が過去30年間に産業基盤を発展させ、次々と輸出品目を創出してきた結果、規模の経済の悪影響やデフレ輸出の問題が起きている。また、アセアン諸国・韓国・インドといったアジア周辺国の対中依存が高まっている。
  3. デジタルトランスフォーメーション(DX)・グリーントランスフォーメーション(GX)・サプライチェーン強靭化などの課題への対応と産業発展を同時に目指す新たな産業政策を推進する一方で、市場歪曲的措置や依存関係の武器化といった一部の産業政策がもたらす負の外部性への国際的な対処を進めていく必要がある。
  4. 我が国の財の輸出数量が減少しており、高付加価値化を通じた新たな輸出産品・輸出企業・輸出先の開拓や、デジタルを始めとするサービス付加価値の強化が必要である。また、グローバルサウス諸国との共創やコンテンツ産業の海外展開を支援することが重要である。

2.通商戦略2025のポイント

令和7年版通商白書で行った分析を踏まえ、我が国が進めていくべき通商戦略の目標と方向性を以下のように示しています。

【目標】国際情勢の変化を踏まえ、国際経済秩序の揺らぎへの対応、保護主義が進む中での自律性・不可欠性の確保といった要請に応えつつ、グローバルサウスを巡る競争の激化、DX・GXの進展の中で、輸出・海外投資を通じて、海外市場を開拓し、日本の付加価値を最大化していくための取組が求められる。
※海外投資については、日本が国内に保持すべき高付加価値機能の海外流出を避けつつ、海外のイノベーションを取り込む、あるいは、自律性の確保の観点から、サプライチェーンの多元化を進めるといった形で行われることが重要である。

【方向性】厳しい国際環境を生き抜くための我が国の通商政策の当面の方向性は、大きく以下の3点にまとめられる。
  1. 国際経済秩序の揺らぎへの対応として、国際社会の信頼できるパートナーであり続けるという姿勢を明確にしながら、各国とウィンウィンの関係を積み上げつつ、国際経済秩序の再構築に取り組むなど多層的な経済外交を展開する。
  2. いかなる秩序においても、DX・GXなど世界の課題解決を通じた付加価値の最大化、海外活力の取り込みに向け、国内投資の増強などを踏まえた輸出市場の確保・多角化や、対外投資を通じたグローバルサウスや同志国との共創による日本企業の高付加価値化を支援する。
  3. 保護主義の台頭や過剰供給・過剰依存による脅威の顕在化の中で、サプライチェーンの強靱化、資源の安定供給など自律性の強化、技術等に関する不可欠性の確保に向け、同志国との政策協調や国内制度整備、経済安保確保に向けた海外事業展開など、内外一体の取組を推進する。

3.令和7年版通商白書の目次

第I部 国際経済秩序の転換期に増幅する不確実性

第1章 脆弱な世界経済と関税ショック
第2章 増幅する不確実性
第3章 不確実性がもたらす経済的影響
第4章 地政学的距離の世界貿易への影響
第5章 各国・地域経済の動向

第II部 包摂性、規模の経済と非対称依存、サービス付加価値

第1章 国際経済秩序が直面する構造変化
第2章 中国の産業発展が揺るがす貿易投資 
第3章 我が国の対外貿易投資構造の変容

第III部 戦略・施策

第1章 通商戦略の方向性
第2章 2024年度の取組

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