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2022年のグローバル出荷指数は、前年比1.2%と2年連続の上昇。海外拠点からの出荷は2015年基準での最高値を更新。

    経済解析室では、製造業のグローバル展開を踏まえ、国内及び海外現地法人の国内外の拠点全体での出荷の動向を一元的に捉える観点から、国内拠点からの出荷(国内出荷)と海外現地法人の出荷(海外出荷)の動きを比較可能な形で指標化し、合算した「グローバル出荷指数」を試算し、公表しています。この度、2022年の数値がまとまりましたので、概略をご紹介していきます。

    図表01

    グローバル出荷指数は、海外出荷指数が2015年基準での最高値を更新し、2022年は前年比1.2%と2年連続の上昇

    まず、日系製造業の国内拠点からの出荷と日系企業の海外拠点からの出荷を合算したグローバル出荷指数は、2022年は指数値97.9、前年比1.2%と2年連続の上昇となりました。日系製造業の国内外合わせた活動は、2018年に指数値104.4と2015年基準での最高値を記録しましたが、それ以降は、2019年の世界経済の減速に続き、2020 年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により右肩下がりの傾向で推移していました。しかし、2021年は引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響はあるものの、前年の大幅な低下の反動により3年ぶりに上昇に転じ、2022年も引き続き上昇となりました。

    グローバル出荷の内訳をみると、海外出荷指数は、指数値107.8となりましたが、これは感染症拡大前の2019年の指数値105.8だけでなく、2015年基準での最高値であった2018年の指数値107.5をわずかではありますが更新する結果となりました。前年比では4.4%と2年連続の上昇となりました。

    また、国内出荷指数は、指数値93.4、前年比マイナス0.3%と2年ぶりの低下となりました。このうち、輸出向けは同2.9%と2年連続の上昇だったのに対し、国内向けは同マイナス1.3%と2年ぶりの低下となりました(上表参照)。

    2022年は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響や部材供給不足の影響などもありましたが、年後半にはこうした影響の緩和が進んだことなどにより、海外出荷指数や国内出荷指数のうち輸出向けが上昇となりました。

    図表02

    海外出荷は、化学工業、輸送機械工業等が上昇

    2022年の海外出荷指数の動きを業種別にみると、化学工業は指数値129.3で前年比7.6%と2013年の現行基準指数作成以来連続の上昇、輸送機械工業は指数値107.3で前年比7.2%と2年連続の上昇、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値124.5で前年比6.7%と2年連続の上昇となりました。一方、電気機械工業は指数値106.4で前年比マイナス0.7%と2年ぶりの低下となりました。

    このように2022年は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大や部材供給不足の影響の緩和が進んだことなどもあり、主力の輸送機械工業や化学工業を中心に上昇となりました。他方、海外経済の減速を受けて、2022年第Ⅳ期の海外出荷指数は前期比マイナスとなったことから、この先どのような動きとなるのか、注視したいと考えます。

    図表03

    北米、中国などの現地法人からの出荷が上昇

    海外現地法人(製造業)の出荷を当該拠点が立地する地域別に指数化した地域別海外出荷指数をみると、北米指数は前年比13.3%と2年連続の上昇、中国(含香港)指数は同6.6%と3年連続の上昇となりました。一方、ASEAN4(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)指数は同マイナス8.7%と2年ぶりの低下となりました。

    図表04

    国内出荷は、化学工業、輸送機械等の業種で低下

    2022年の国内出荷指数の動きを業種別にみると、化学工業は指数値96.2で前年比マイナス1.9%と2年ぶりの低下、輸送機械工業は指数値85.3で前年比マイナス1.4%と4年連続の低下、電気機械工業は指数値97.3で前年比マイナス1.0%と2年ぶりの低下、それ以外の業種計も低下となりました。一方、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値114.4で前年比6.4%と2年連続の上昇となりました。

    2022年の国内出荷は、部材供給不足などの影響や年前半の中国でのロックダウンの影響などを受けて、輸送機械工業を中心に伸び悩んだ結果となりました。

    図表05

    国内ビジネスの回復の動きは弱いものの、海外ビジネスは順調に回復

    グローバル化が進む中、国内出荷のうち、供給も需要も日本国内で完結しているビジネスを「国内ビジネス」と定義し、これに対し供給・需要の少なくともどちらかが海外という意味で、海外出荷と輸出向け出荷を「海外ビジネス」と定義し、その動きを見てみます。

    図表06

    2022年は、「国内ビジネス」指数は前年比マイナス1.3%と2年ぶりの低下となりました。2022年の指数値は90.6と、感染症拡大前の2019年の指数値99.9を大きく下回っており、感染症拡大前の水準への回復はまだ遠い状況です。

    「海外ビジネス指数」は、前年比3.8%と2年連続の上昇となりました。内訳の輸出向け出荷指数、海外現地法人からの出荷である海外出荷指数はともに前年比2年連続の上昇と、「海外ビジネス」は新型コロナウイルス感染症拡大の影響から順調に回復しています。

    図表07

    出荷海外比率、海外市場比率は前年より上昇、逆輸入比率は前年より低下

    グローバル出荷指数を用いて、「出荷海外比率」、「海外市場比率」、「逆輸入比率」の3つの指標も試算しています。これら3つの指標は、「グローバル化比率」と呼び、製造業のグローバル化の指標としております。

    図表08

    このうち、グローバル出荷全体に占める海外現地法人(製造業)の出荷の比率である「出荷海外比率」は2年連続で上昇し、2022年の比率は34.5%と最高値(2015年基準)を更新しました。

    また、グローバル出荷全体のうち、日本市場以外の海外市場向けに出荷されたものの比率である「海外市場比率」も2年連続で上昇し、47.0%と最高値(2015年基準)を更新しました。一方、日本の輸入に占める海外現地法人から日本向けに出荷されたものの割合を示す「逆輸入比率」は3年連続の低下となり、23.1%と最低値(2015年基準)を更新しました。

    図表09

    以上のように、2022年の製造業のグローバル出荷は、国内出荷は低下したものの、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大や部材供給不足の影響の緩和による海外出荷の上昇により、前年比1.2%と2年連続の上昇となりました。

    今後も世界経済の景気動向や世界的な部材供給不足の影響などの動向を注意深くみていきたいと考えます。

    ミニ経済分析「グローバル出荷指数 2022年(2015年基準)」のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20230613minikeizai.html
    グローバル出荷指数のページ
    https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-gb.html

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