フード・ビジネス・インデックス(Food Business Index、以下FBIという。)とは、生活に身近な飲食料品に関連する「食料品工業」、「食料品流通業」、「飲食店,飲食サービス業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標です。今回は、2024年上期分の数値をまとめた「飲食関連産業の動向(2024年上期)」スライド資料より抜粋してFBIの動きをご紹介します。

2024年上期フード・ビジネス・インデックスの動き
下のグラフは、FBIの四半期毎の推移を表したものです。
2023年の動きを振り返ってみると、新型コロナの5類移行などにより「飲食店,飲食サービス業」が回復、フード・ビジネス全体も2年連続の上昇となりました。
2024年の第1四半期は前期比0.7%の上昇で、指数値94.9となりましたが、続く第2四半期は前期比0.5%の低下で、指数値94.4となりました。

FBIを構成する3業種をみると、「食料品工業」は第1四半期に前期比0.0%と横ばいでしたが、第2四半期は同0.3%の低下でした。「食料品流通業」は、第1四半期に同0.9%とわずかに上昇しましたが、第2四半期は同0.8%の低下でした。「飲食店,飲食サービス業」は、第1四半期に同0.1%とわずかに上昇で、第2四半期は同0.2%の低下となりました。

FBIの伸び率に対する3業種の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比0.7%に対し、最も影響が大きかったのは「食料品流通業」で、0.4%ポイントの上昇寄与でしたが、第2四半期は、FBIの同マイナス0.5%に対し、同マイナス0.4%ポイント、他の系列もそれぞれマイナス0.1%ポイントと、低下寄与となりました。

「飲食料品小売業」が食料品流通業、ひいてはFBI全体の動きに寄与
次に、2024年上期のFBI上昇及び低下に最も大きく影響した「食料品流通業」の内訳の動きをみていきます。
2024年上期の「食料品流通業」は、第1四半期に前期比0.9%の上昇、第2四半期に同0.8%の低下となりました。

内訳をみると、「飲食料品小売業」は、第1四半期に上昇したあと、第2四半期は低下となり、引き続き低下傾向で推移しました。「飲食料品卸売業」は、第1四半期の前期比0.3%から第2四半期には同1.2%に伸び幅を拡大し、引き続き上昇傾向で推移しました。「各種商品小売業(飲食関連)」は、第1四半期に上昇したものの、第2四半期は低下となり、コロナ禍前の9割ほどの水準に留まっている状況です。
「食料品流通業」の伸び率に対する、内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、上期を通して「飲食料品小売業」の寄与が最も大きく、第1四半期は、「食料品流通業」の前期比0.9%に対し、0.7%ポイントと大きく上昇に寄与、第2四半期は、同マイナス0.8%に対しマイナス1.2%ポイントと大きく低下に寄与しました。全体に小幅な動きとは言え、「飲食料品小売業」の動向が「食料品流通業」の動きとなり、それが2024年上期のFBI全体の動きにも影響する形となりました。

「飲食店,飲食サービス業」は回復傾向が一服
最後に、2022年と2023年にFBIの上昇に大きく寄与した「飲食店,飲食サービス業」をみてみます。
2024年第1四半期は前期比で0.1%上昇、第2四半期は同0.2%低下し、2024年上期を全体として見ると、ほぼ横ばいで推移しました。
内訳の動きをみてみますと、テイクアウトの比率が大きい「ファーストフード店」は、2020年のコロナショック後すぐ回復し、以降、高い水準で推移しておりましたが、2024年上期は、伸びに加速が見られる形となりました。
「喫茶店」や「食堂,レストラン,専門店」も、コロナ禍前の9割以上の水準まで回復が続いている中、「パブレストラン,居酒屋」は、回復傾向は維持しているものの、利用客数の回復の遅れなどから、コロナ禍前の7割程度の水準にとどまっています。

2024年上期のまとめ
以上、2024年上期のFBIの動きを見てまいりましたが、今期は、全体に小幅な動きのなか、「食料品流通業」の内訳系列の「飲食料品小売業」の動きが大きく影響した結果となりました。2022年と2023年にFBIの回復をけん引した「飲食店,飲食サービス業」は、回復が一服、コロナ禍前から緩やかな低下傾向にあった「食料品工業」と共に、ほぼ横ばいの推移となりました。しかし、2024年の訪日外客数が過去最大となり、2024年下期も引き続きインバウンド需要が期待できる状況です。引き続き、フード・ビジネスの動向を注視し、またご紹介していきたいと思います。
この他にも、今回ご紹介しきれなかったフード・ビジネスの動きについて「飲食関連産業の動向(2024年上期)」スライド資料に掲載していますので、是非御覧ください。
- ミニ経済分析「FBI 2024年上期」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20241226minikeizai.html