長く暑い夏が終わり、本格的な秋になりました。
秋といえば、芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋など様々な言葉で表現されますが、皆さんは何を思い浮かべますか?
今回は、行楽の秋という視点からテーマパークの動向を取り上げたいと思います。第3次産業活動指数(以下、「3次指数」)には娯楽業指数、細かい分類では「公園、遊園地・テーマパーク」に関係する指数があります。2020年には新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、大きな打撃を受けた「公園、遊園地・テーマパーク」の状況を見てみましょう。
コロナ以前に回復
2020年の3次指数(総合)は、感染症拡大の影響で前年比マイナス7.3%と落ち込み、内訳の娯楽業は同マイナス33.5%と大幅な低下がみられます。娯楽業は、コロナ渦でも無観客でもネット販売が売上を押し上げた「競輪・競馬等の競走場,競技団」を除くすべての業種が低下しています。特に、感染拡大防止のため入場制限により入場者数が激減した「公園、遊園地・テーマパーク」では同マイナス44.8%と大幅な低下となりました。
その後、緊急事態宣言やまん延防止等特別措置等の経済社会活動の制限が徐々に緩和されてきたことや、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」へと移行したことで、2021年以降は売上が徐々に回復し、2023年には娯楽業、「公園、遊園地・テーマパーク」ともにコロナ以前の水準にあと一歩というところまで回復していました。

入場者数と密接する売上
遊園地やテーマパークの売上は何によるものでしょうか?大半を占めるのは、入場料と売店等での購入額です。
特定サービス産業動態統計調査からコロナ禍の入場者数、売上高の推移をみると、入場者数の増減に大きく左右されていることが分かります。下のグラフのように、2020年・2021年に入場者数が落ち込むと比例するように売上高も減少し、2022年以降入場者数が回復すると売上高も増加していますが、売上高を入場者数で割った1人当たり売上高(売上単価)も、過去にひと言解説でテーマパークの動向を取り上げた際(注1、注2)よりもさらに上昇しており、売上高の増加に貢献していることが分かります。直近の2024年の売上高を見ると、物価や人件費の上昇の影響を受けたチケット代の値上げやインバウンド需要の回復などもあり、コロナ以前の売上高を大きく上回っています。
注1 ひと言解説「人数より、一人あたり入場料等の上昇がテーマパークの売上増の原動力;遊園地・テーマパークの売上の動向」(2018年10月)
注2 ひと言解説「緊急事態宣言の解除で大幅に回復する遊園地・テーマパーク」(2021年10月)


今回は、コロナ以前の盛り上がりを見せる公園、遊園地・テーマパーク業について分析してみました。チケットのオンライン化や新しいテーマパーク・アトラクションの登場など、進化が止まらない公園、遊園地・テーマパーク業。
これからはハロウィンイベント、クリスマスイベントなども開催されると思いますので、公園、遊園地・テーマパークに足を運びつつ、日本の経済情勢を考えてみてはいかがでしょうか。
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