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もっと知りたい!化学のコラム みそ汁理論とリスク管理

筆者の友人でいつもからだのことを真面目に考えてるひとがいます。彼はインスタントみそ汁を飲むときには、薄味にしようとお湯を足すのです。
イラスト:シャンプーボトルを捨てる「しょっぱいみそ汁は高血圧になるだろう・・だから薄めて飲んでいるんだ。」
偉いなあと思ったら、ぐぐっと全部飲んじゃいました。読者は笑いますよね。

確かに塩分の取りすぎは体によくない。高血圧予防キャンペーンで「しょっぱいものは大量に摂らない。みそ汁などの味付けは薄味にして」よく言われています。しかし全部飲んじゃうなら薄めても薄めなくても塩分の摂取量はまったく同じ。つまり高血圧になるリスクもまったく同じなのです。

さて塩ももちろん化学物質ですが 化学物質のリスクを管理しようとするときに大事な考え方があります。「暴露量」。これはどれだけ化学物質にさらされているかという考え方です。この場合は飲んだみそ汁の量にあたります。

つまり有害性の程度(この場合は塩分の濃度)だけに惑わされて、それにどれだけさらされるか(この場合は飲んだ量)を忘れていたのがこの友人なのです。
こんな掛け算になっています。

リスク(高血圧)=有害性(みそ汁の塩分濃度)×暴露量(みそ汁の量)

有害性を半分にしても暴露量を2倍にすればリスクは同じ。暴露量も意識しないとリスク管理はできません。ところでこの薄味キャンペーン、こんな誤解を与えることもありますが実際には効果が上がっています。薄味になれていくことで、食生活全般が薄味になりトータル塩分摂取量が下がっているのです。

このことは面白い教訓を含んでいます。理屈としては濃度(薄味)を強調することはトータル摂取量に直接つながらない。しかし相手は人間です。「一日の塩分摂取量は・・・」よりも「薄味にしましょう」という具体的で対応のしやすい指示のほうが分かりやすい。結果的には目的を達成してしまう。

このやり方は健康だけでなく、勉強や仕事でも応用できそうですね。でもくれぐれも本当の目的もお忘れないように。

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