1. 相互承認

適合性評価手続の相互承認(Mutual Recognition)とは、相互承認の参加機関が、他の参加機関の適合性評価結果を、自ら実施したものと同等であるとして相互に承認することです。輸出をする際の適合性評価手続に係る企業の負担を軽減し、貿易の促進につながることが期待されます。
相互承認は、その参加機関により、(1)政府間相互承認、(2)認定機関間相互承認、(3)適合性評価機関間相互承認の3種類に分類されます。

(1)政府間相互承認

相手国において行われた自国の強制法規の技術基準への適合性評価の結果が自国において行われたものと同等であるとして政府が相互に認め合い、かつ、受け入れることを意味します。
例:日欧MRA(「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定」)

(2)認定機関間相互承認

政府間相互承認のように相互の適合性評価の結果の受入れを保証するものではなく、認定機関相互の認定行為の技術的同等性を認定機関が確認し合うことを意味し、政府が適合性評価結果を受入れるものではない点で根本的に異なります。
例:ILAC(国際試験所認定協力機構)外部リンク , IAF(国際認定機関フォーラム)外部リンク

(3)適合性評価機関間相互承認

試験・認証の技術的同等性を適合性評価機関が相互に確認し合い、かつ適合性評価結果を受け入れることを意味し、政府がその結果を受け入れるものではありません。
例:IECEE/CBスキーム(IEC:国際電気標準会議、IECEE:IEC電気機器適合性試験認証制度、CB:認証機関))外部リンク

2. 政府間相互承認

1. で説明したとおり、相互承認には3種類ありますが、ここでは(1)政府間相互承認について説明します。

政府間相互承認の取決めを、相互承認協定(MRA: Mutual Recognition Agreement)と呼びます。相互承認協定が締結されることにより、相手国向けの機器の認証(機器が技術上の要件を満たしていることの検査・確認)を自国で実施することが可能になります。適合性評価に伴う手続等の簡素化及びコストの削減が見込まれ、貿易の円滑化につながると期待されています。WTO/貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)外部リンクの第6.3条においても、WTO加盟国は相互承認の合意のための交渉を行うことが奨励されています。

政府間相互承認は、①指定委任型 ②域外指定型 に分類されます。我が国は相手国の制度や認証の状況等を踏まえて、指定委任型または域外指定型の相互承認協定を締結しています。

①指定委任型相互承認

指定委任型相互承認の協定では、安全確保等を目的として製品等に対して設定される技術基準や適合性評価手続が、国の間で異なる場合であっても、輸出国政府が指定した第三者機関(適合性評価機関:CAB :Conformity Assessment Body)が輸入国政府の技術基準及び適合性評価手続に基づいて適合性評価を行った場合、輸入国政府はその評価結果を自国で実施した適合性評価と同等の保証が得られるものとして受け入れます。我が国の相互承認協定のうち、日欧MRA(「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定」)及び日シンガポールMRA(「日・シンガポール新時代経済連携協定」(第6章))等が指定委任型相互承認に該当します。

指定委任型相互承認では、輸出国政府が輸入国政府の関係法令に基づき輸出国内の適合性評価機関の指定・監督を行います。このため、輸出国と輸入国との間の距離が遠い場合、または輸出国にて指定された適合性評価機関の数が多い場合には、適合性評価機関に対する指定・監督などに要する輸入国政府の行政負担が小さくなるメリットがあります。一方で、輸出国政府は輸入国政府の指定・監督業務の代行を行うことになるため、輸出国政府の行政負担が大きくなるデメリットがあります。

②域外指定型相互承認

域外指定型相互承認は、輸出国にある適合性評価機関を輸入国政府が自国の関係法令に基づき直接指定し、輸出国側の適合性評価機関が輸入国政府の技術基準及び適合性評価手続に基づいて行った適合性評価の結果を相互に受け入れる仕組みを指します。我が国の相互承認協定のうち、日フィリピンMRA(「経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国政府との間の協定(第6章:相互承認)」)、日タイMRA(「経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定(第6章:相互承認)」)等が該当します。

域外指定型相互承認は、輸入国政府が輸出国内の適合性評価機関の指定・監督を輸入国内の適合性評価機関に用いる関係法令に基づいて行うので、輸出国政府の行政負担は小さいというメリットがあります。一方、輸入国と輸出国の距離が離れている場合や輸出国内の適合性評価機関が数多く存在する場合、これら適合性評価機関に対する指定・監督などに要する輸入国政府の行政負担が大きくなるというデメリットがあります。

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最終更新日:2019年5月30日