炭素国境調整措置

欧州炭素国境調整措置

EUは、域外諸国からのセメント、アルミ、肥料、電力、水素、鉄鋼の輸入について、製品当たり炭素排出量に基づく証書の購入(=輸入課金)を求める炭素国境調整措置(CBAMの導入を決定しました。

2023101日から、製品単位あたり排出量や原産国で支払われた炭素価格等の情報を報告する義務が開始されています。実際の課金は、EU-ETSにおける無償割当廃止のスピードに併せて、2026年から2034年にかけて段階的に導入されていきます。

ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドライン

日本国内のねじ・ボルト等業界において、EUーCBAM対応による炭素排出量の報告が求められることが想定されるとして、令和5年度経済産業省委託事業において、「ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドライン」をとりまとめたところです。令和6年度経済産業省委託事業において、本ガイドラインを改訂したことに加え、ねじ・ボルト等を中心としたサプライチェーンにおける算定の簡略化並びにデータ入力負荷の低減を目的とした「CBAM共通フォーマット」を策定しましたので、公表します。

日本国内のねじ・ボルト等製造メーカーは中小企業比率が高く、商流も複雑である等の業界状況を加味し、ねじ・ボルト等の製品当たりの炭素排出量の算定モデルルールを策定し、国内ねじ・ボルト等製造メーカーのEU-CBAM対応を円滑にするものとして本ガイドライン及び本共通フォーマットを整理しています。

なお、必ずしもこれらを使用する必要は無く、あくまで算定手法のサポート及び一例としてご参照ください。本ガイドライン及び本共通フォーマットの策定以降、欧州委員会から示されている「域外事業者に対するCBAM実施ガイダンス」が更新される可能性があり、その内容次第で算定手法等が変更になる可能性があります。また、2025年2月に欧州委員会が公表した「CBAM簡素化法案」に関する内容は含まれておりません。

簡素化法案(2025年2月発表)

2025年2月、クリーン産業ディール(同日発表)にて強調される「政策目標を損なうことなく行政負担を軽減する」という目的のため、同ディールとともにCBAMの簡素化・実効性強化を行うCBAM規則の改正提案がありました。以下にポイントを示します。

  1. 中小企業の免除
    • 義務免除となる閾値は、99%の排出をカバーするように設定。(CBAM製品50トンの輸入)
    • アルミ・鉄鋼製品の一部は主に前駆体の体化排出量によって決定される。EU-ETSの対象外である生産過程の体化排出量はバウンダリーから除外されるべき。
  2. 検証
    • 検証はデフォルト値ではなく、実測値で提出する場合に行われる。
  3. 第三国炭素価格の控除
    • 申告する体化排出量における第三国炭素価格が決定できない場合、第三国毎の年間平均控除炭素価格[EUR/t-CO2e]を利用することができる。2027年から、欧州委員会が「信頼でき、公的に入手可能な情報から得られるデータ」及び「第三国から提供されるデータ」を基にリベートを除いて保守的に設定。
    • 第三国炭素価格は輸入製品の原産国以外の第三国で支払われる場合も含む。

  4. 報告手続き
    • 2027年2月からCBAM証書販売開始。
    • 前年度のCBAM関連情報の申告期限が5月末から8月末に変更。
    • 超過CBAM証書購入分に対する買戻しの制限が1/3から変更。
    • 毎四半期末に体化排出量の80%のCBAM証書を保持する義務を50%に緩和し、この際EU-ETS無償割当の調整を考慮に入れる(例外として2026年分の購入については、2027年に行う。)

ジェトロによる情報発信及び貿易相談

ジェトロではCBAMに関する情報発信をしているほか、貿易相談を受け付けています。

欧州委員会による情報発信

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お問合せ先

経済産業省 GXグループ 地球環境対策室
電話 03-3501-1511(内線3524)

製造産業局 産業機械課(ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドラインについて
電話 03-3501-1511(内線3821)

最終更新日:2025年3月31日