1.TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
(1)TCFDとは
- 2015年、G20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)により民間主導の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD;Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」が設置されました。
- 現在、TCFDはMichael Bloomberg氏を議長とする31名のメンバー(うち、日本より1名)により構成されています。

(2)TCFDの活動内容
(3)TCFD開示
- TCFD提言に沿った情報開示は、一般にTCFD開示と呼ばれています。TCFD開示では、以下の4項目を開示推奨項目としています。
ガバナンス | 気候関連リスク・機会についての組織のガバナンス |
---|---|
戦略 | 気候関連リスク・機会がもたらす事業・戦略、財務計画への実際の/潜在的影響(2度シナリオ等に照らした分析を含む) |
リスク管理 | 気候関連リスクの識別・評価・管理方法 |
指標と目標 | 気候関連リスク・機会を評価・管理する際の指標とその目標 |
(4)TCFDへの賛同
TCFDは2023年10月をもって解散しており、今後新たに賛同手続きを行うことはできません。(TCFDコンソーシアムへの新規入会は可能です。)
- 「TCFDへの賛同」とは、TCFDによる提言内容を組織として支持することを表明するものです。実際に情報開示を行う立場にある事業会社のほか、企業の情報開示をサポートする立場として金融機関・業界団体・格付機関・証券取引所・政府など、多様な組織が賛同を表明しております。
- TCFDに賛同している機関は、TCFD公式ウェブサイト「Supporters
」よりご覧いただけます。組織名のほか、業種/所在地/賛同月が公表されています。なお、日本の団体については経済産業省「日本のTCFD賛同企業・機関」にも随時掲載しております。
- TCFD公式ウェブサイト Terms of Use
(英語)
- TCFDコンソーシアム公式ウェブサイト TCFDとは
2.TCFDに関する日本の取組
(1)TCFD研究会の開催
- TCFD提言の公表を受けて、経済産業省では、2018年8月よりグリーンファイナンスと企業の情報開示の在り方に関する「TCFD研究会」を開催しました。
- 研究会の成果として、同年12月に「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」の初版を作成・公表いたしました。TCFDガイダンスの改訂作業は、後述の「TCFDコンソーシアム」に引き継がれております。
(2)TCFDコンソーシアム
(a)概要
- TCFD研究会での議論を踏まえて、一橋大学大学院・伊藤邦雄特任教授(当時)をはじめとする計5名の発起人の呼びかけにより、2019年5月27日に「TCFDコンソーシアム」が設立されました。
- TCFDコンソーシアムでは、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための取組について、議論を行うことを目的としています。
- 経済産業省・金融庁・環境省は、設立当初より、オブザーバーとしてTCFDコンソーシアムに参加しています。
TCFDコンソーシアムは、民間主導の団体です。入会をご希望の場合は、TCFDコンソーシアムHPより、入会手続きを実施ください。
※TCFDへの賛同表明と、TCFDコンソーシアムへの入会は、別々の手続きが必要です。
※TCFDへの賛同表明と、TCFDコンソーシアムへの入会は、別々の手続きが必要です。
(b)TCFDコンソーシアムの活動指針に関する宣言
- 私達は、気候変動問題は世界共通の課題であると認識し、その解決のためにはイノベーションを起こすとともに、その成果を社会の隅々にまで普及していくことが不可欠だと考えます。
- 私達は、気候変動対策におけるビジネスの役割の大きさを認識し、気候変動に伴うリスクを適切に管理するとともに、積極的にイノベーションに取り組み、それを開示していきます。また、その情報を活用し、イノベーションに取り組む企業に資金を供給し、「環境と成長の好循環」を実現していきます。
- 私達は、効果的な情報開示の在り方や開示された情報の活用の仕方について、本コンソーシアムにおいて積極的な対話を行い、相互の理解を深め、国際的にも発信していきます。
(c)活動の成果
- 最新の情報については、TCFDコンソーシアム公式ウェブサイト
をご参照ください。
TCFDガイダンス3.0(TCFDガイダンスの改訂)
- TCFDガイダンス3.0では、事業会社がTCFD開示を行うにあたっての、解説や参考となる事例を紹介しています。(最新動向を盛り込んだ事例集については、別途発表予定です。)
- TCFDガイダンス3.0の改定では第4章「補論」を新規追加し、最新動向として重要なもの、コラム的なものについて取りまとめました。
- また、国土交通省により「不動産分野における『気候関連財務情報開示タスクフォースの提言』対応のためのガイダンス(不動産分野TCFD対応ガイダンス)」が策定されています。
グリーン投資ガイダンス2.0
- グリーン投資ガイダンス2.0では、投資家等が開示情報を読み解く際の視点について解説しています。
- 加えて、投資家等の視点に対する企業側の理解が深まり、さらなる開示につながることを期待しています。
- TCFDコンソーシアム グリーン投資の促進に向けた気候関連情報活用ガイダンス2.0(グリーン投資ガイダンス2.0)
移行計画ガイドブック
- 移行計画ガイドブックでは、近年様々なフレームワークに盛り込まれている「移行計画」の基本概念・構成要素・策定のあり方等について現状の認識を取りまとめています。
- 事例集も取りまとめており、移行計画を策定する企業と開示情報を読み解く投資家双方の参考となることを目指しています。
- TCFDコンソーシアム 移行計画ガイドブック
(3)国際会議の開催
- 経済産業省では、2019年より国際会議を主催しています。
- 2019年10月8日
- 【TCFDサミット2019】世界の先進的な取組を行っている産業界・金融界のリーダーが集結し、TCFDの課題や今後の方向性をすることを目的として、世界初となるTCFDサミットを開催しました。
- 2020年10月9日
- 【TCFDサミット2020】「環境と成長の好循環」の加速に向けて、TCFD提言を実務に定着させるための国際的な議論を日本がリードしていくことを目的として、オンラインにて開催しました。
- 2021年10月5日
- 【TCFDサミット2021】産業界・金融界のリーダーが適切な投資判断の基盤となる開示の拡充を促すべく、更なるTCFD提言の活用に向けて議論しました。
- 2022年10月5日
- 【TCFDサミット2022】国際的な開示ルール化への対応や機会への評価等の多様なトピックについて議論するべく、対面・オンラインの双方を駆使したハイブリッド形式で開催しました。
- 2023年10月2日
- 【GGX×TCFDサミット】世界のグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現について議論する「国際GX会合(GGX)」とTCFDサミットを統合して開催しました。
- 2024年10月15日
- 【GGX Financeサミット】トランジション・ファイナンスや産業の脱炭素化等に関する更なる議論の発展に向け、官・民・金の相互連携を推進し国際的なルールメイクをリードするべく開催しました。
お問合せ先
経済産業省 GXグループ 環境金融室住所:東京都千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1770
MAIL:bzl-kankyo-kinyu@meti.go.jp
最終更新日:2025年1月30日