ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリー(ロボフレ)環境)を実現するため、経済産業省では、2019年度に「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース(TF)」を設置するとともに、2020年度から「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」等の予算事業を進めています。今年度も、以下の取組を通じて、ロボフレ環境を実現していきます。
1.背景と概要
ロボットの未導入分野への導入促進に向けては、ロボットフレンドリーな環境の実現※が不可欠であり、またその実現のためには、ロボットユーザー企業とロボットSIer企業等による連携が重要です。こうした中で、経済産業省では、「施設管理」「食品」「小売」「物流倉庫」の4分野を重点に、ユーザーとロボットSIer企業らが参画するTFでの検討や予算事業等を通じた支援措置を進めています。
※ ロボットフレンドリーな環境の実現とは、ロボット導入にあたって、ユーザー側の業務プロセスや施設環境をロボット導入しやすい環境へと変革することを指します。
2.各分野での取組
(1)施設管理分野
予算事業:革新的ロボット研究開発等基盤構築事業
搬送・清掃・警備などの機能を持つロボットがオフィスビル等の施設内で円滑に活動するための環境を構築します。今年度は、ロボットと館内設備との連携に関して、館内セキュリティとの通信連携、低廉・簡易な方法でのエレベータ連携、マンション館内でのロボット配送を実現するためのスキーム検討等の研究開発を実施します。また、ロボットが走行しやすい物理環境の評価方法をロボフレレベルとして、この評価指標を用いてロボットが円滑に導入できるよう研究開発、複数メーカーでのロボット運用にて想定される課題解決のために、すれ違いなどの方法を標準化するための研究開発を実施します。
ロボットと館内設備との連携標準化
<採択先(1件目)>
綜合警備保障株式会社(幹事会社)、戸田建設株式会社
(委託先等:NECネッツエスアイ株式会社、株式会社クマヒラ、三菱電機ビルソリューションズ株式会社)
<採択先(2件目)>
大和ライフネクスト株式会社
(委託先等:株式会社Octa Robotics、ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社)
<採択先(3件目)>
日鉄興和不動産株式会社
(委託先等:ソフトバンクロボティクス株式会社、株式会社日建設計、株式会社日建ハウジングシステム)
施設の物理環境の標準化
<採択先>
森トラスト株式会社
(委託先等:株式会社Octa Robotics、ソフトバンクロボティクス株式会社、三菱HCキャピタル株式会社、森トラスト・ビルマネジメント株式会社、森トラスト・ホテルズ&リゾーツ株式会社)
複数ロボットの群管理制御の標準化
<採択先>
NECネッツエスアイ株式会社
(委託先等:TIS株式会社)
施設分野では、「一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構」(Robot Friendly Asset Promotion Association: RFA)と連携し、多くの事業者に活用いただくための規格化の取組を進めています。
<参考WEBサイト・ニュースリリース>
- 一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構 WEBサイト
- 政府広報:METI Journal 60秒早わかり解説 ロボット社会実装の切り札“ロボフレ✕施設管理” 成果報告会に参加してみた
- 森トラスト株式会社ニュースリリース
- 大和ライフネクスト株式会社ニュースリリース
(2)食品分野
予算事業:革新的ロボット研究開発等基盤構築事業
食品製造のうち特に惣菜製造分野では、対象物が不定形であること、多品種小ロットであることなどから、ロボット導入に対する技術的・経済的ハードルが高いという課題があります。昨年度までは、不定型な惣菜(ポテトサラダ等)を掴んで盛り付けることができるロボットシステムや量子コンピュータを用いたシフト計算ソフトの開発などの開発やエンハンスを実施してきました。今年度は、昨年度までの各成果を着実に社会実装へつなげるべく、惣菜盛付・弁当盛付・製品移載ロボットシステムの処理能力・精度の更なる向上、普及に向けた量産化対応、対応食材拡大のためのエンドエフェクタ研究開発、中小企業での普及のためのロボットフレンドリーな容器や包装機械・周辺機器、トップシールの包装機械・周辺機器の研究開発、ロボットシステム提供スキームの開発、惣菜製造現場の自動化に資するシミュレーションやシフト計算等の導入促進策、これらの各種標準化検討等を実施します。
<採択先>
一般社団法人日本惣菜協会(幹事会社)、カネカ食品株式会社、株式会社ジャンボリア、株式会社デリモ、トオカツフーズ株式会社、株式会社ヒライ、ブンセン株式会社、株式会社ホームデリカ、マックスバリュ東海株式会社
(委託先等:SMC株式会社、株式会社FAプロダクツ、エプソン販売株式会社、オムロンセンテック株式会社、株式会社グルーヴノーツ、コネクテッドロボティクス株式会社、三機工業株式会社、新エフエイコム株式会社、セイコーエプソン株式会社、株式会社寺岡精工、株式会社ナベル、株式会社FAMS、株式会社FingerVision、株式会社安川電機、リスパック株式会社、株式会社ローゼック)
<参考ニュースリリース>
※ 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業は、一般社団法人 日本ロボット工業会を執行団体としております。
一般社団法人 日本ロボット工業会プレスリリース
一般社団法人 日本ロボット工業会プレスリリース
(3)物流倉庫分野
予算事業:令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業物流施設の自動化に資するロールボックスパレットのモデルケース創出
卸売業・小売業・運輸業などのサプライチェーン上で使用されるカゴ車を対象に、自動化機器を導入・稼働しやすくするロールボックスパレット(カゴ車)の標準的な仕様・使用環境・運用方法等の環境整備のモデルケースを創出する実証事業を行い、事例の横展開や商慣行改革につなげます。
<採択先>
株式会社NX総合研究所
物流施設における協働ロボットの効果的な活用事例の創出
物流施設のピースピッキング工程で協働ロボットを活用するユースケースにおいて、人とロボットの効果的な役割分担を実現することで、業務対象物・業務パターン等への柔軟性と投資効果を高めるような環境整備項目を明確化するための実証実験を実施し、サプライチェーン横断的に自動化機器を導入・稼働しやすい環境の構築につなげます。
三菱HCキャピタル株式会社(幹事会社)、株式会社ビックカメラ、株式会社山善
<参考ニュースリリース>
※ 本事業は、「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」の一部です。
お問合せ先
製造産業局 産業機械課 ロボット政策室
電話:03-3501-1511(内線)3819~3820
最終更新日:2023年9月29日