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3R政策
■3R政策を知る「国際資源循環」
 我が国からアジア各国への再生資源の急増や、海外に進出している日系企業が適正な廃棄物処理を行う必要性の高まりなどの状況を踏まえ、産業構造審議会廃棄物リサイクル小委員会では、新たに、「国際資源循環ワーキンググループ」を本年5月設置し、特に、我が国との関係が深いアジア域内での適正な資源循環・廃棄物処理・リサイクルを促進するため、
  1. アジア各国からの我が国という適正な資源循環
  2. 我が国からアジア各国という適正な資源循環
  3. アジア現地進出日系企業における適正な廃棄物処理・リサイクルの促進
という観点から、問題点の把握及び対応策の検討について、6月から10月まで5回の審議を行ってきましたが、このほど、その結果を報告書「持続可能なアジア循環型経済社会圏の実現に向けて」に取り纏めました。
その要旨は、次のとおりです。
1. 国際資源循環問題を巡る現状
本章では国際資源循環問題の現状分析を行いました。なお、詳細なデータ等については、添付の参考資料集を参照してください。
第1節「循環資源の越境移動の現状」では、アジア各国における鉄スクラップや古紙等の循環資源輸入量の急増、本年5月の中国による我が国からの廃プラスチック輸入停止措置、国内での製造が終了したブラウン管テレビに用いられるガラスカレットの問題について言及しています。
第2節「アジア各国における循環型経済社会の構築に向けた取組」では、経済成長に伴い廃棄物問題が深刻化しているアジア各国の循環型社会構築に向けた取組状況について説明しています。
第3節「我が国における循環型経済社会の構築に向けた取組」では、我が国国内の政策動向とともに、我が国企業の新たな動きを紹介し ました。我が国企業の新たな動きとしては、「海外拠点に広がる環境配慮活動」「我が国廃棄物処理・リサイクル産業のアジア展開」「国際的なリユース・リサイクル網」「設計・製造段階からの環境配慮の推進」を指摘してい ます。
2. 対応に向けた基本的な方向性と視点
本章では、国際資源循環問題についての、基本的な方向性や視点について整理を行い、長期的な構想として「持続可能なアジア循環型経済社会圏」の構築を目指すことを提言しています。
第1節「国際資源循環問題に係る中心的課題」では、国際資源循環問題においては、①廃棄物等に係る不適正処理を如何にして根絶するか、という課題(汚染性の問題)と、②資源有効利用を如何にして促進するか、という課題(資源性の問題)の両立をいかに図っていくかが問題であり、環境汚染の防止は資源有効利用の前提である、という確固たる方針でもって臨む必要がある、との指摘を行ってい ます。
第2節「基本的な方向性と視点」では、各国内の取組を基本とした対応の重要性や汚染防止のための確実性・信頼性に裏付けされたトレーサビリティの確保の重要性について指摘するとともに、他にも基本的視点として、各国制度間の国際的整合性の確保、企業の取組の促進、複層的な視点での対応・役割の整理、静脈物流の経済性・効率性向上、といった点についても指摘してい ます。
第3節「持続可能なアジア循環型経済社会圏」においては、各国単位の循環型経済社会の構築に向けて取り組みつつ、適正なアジア域内資源循環システムを構築していくという「持続可能なアジア循環型経済社会圏」のコンセプトを整理し ました。
3. 持続可能なアジア循環型経済社会圏構築のための課題
~具体的な考え方・各主体が果たすべき役割~
本章では、持続可能なアジア循環型経済社会圏構築にあたって必要な課題を、各国単位での循環型経済社会構造への転換、適正なアジア域内資源循環システムの構築、という二つの観点から整理し ました。
第1節「各国単位での循環型経済社会構造への転換」では、制度構築や廃棄物処理・リサイクル産業の育成を行っていく上で、我が国とアジア各国との情報交換を密にしていくこと等の重要性を指摘してい ます。また、我が国の対応として、今後も国内における循環型経済社会形成の取組を一層強化していくとの原則の下、産業構造上海外の生産工程に戻した方が高度な有効利用ができる資源については、輸出を促進していくべき、といった点等について言及してい ます。
第2節「適正なアジア域内資源循環システムの構築に向けて」では、適正な資源循環システムの条件として、確実性・信頼性に裏付けされたトレーサビリティの確保等の点を指摘し、さらに、各国当局による水際の監視強化を行う一方で、製造事業者等による高度な資源循環ネットワークや、トレーサビリティの確保によって汚染性の管理がされた循環資源の取引、あるいは処理等によって汚染性が除去された循環資源の取引については、各国国内の循環システムに悪影響を与えない限りにおいて、輸出入を促進していくべきとしてい ます。
4. 我が国における今後の総合的な施策展開の方向性
本章では、持続可能なアジア循環型経済社会圏構築にあたって、我が国として今後行っていくべき総合的な施策展開の方向性について整理を行いました。
第1節「政策対話の実施」では、アジア各国との政策対話(グリーンエイドプラン(GAP)政策対話を含む)を行い、トレーサビリティシステムについても両国間で検討し、検討や理解が進んだ段階で将来的には循環資源越境移動に関する二国間協定や地域レベルの協定も将来的に視野に入れて検討することとしてい ます。
第2節「情報の共有化」では、政策対話等を通じて各国ルール、廃棄物処理・リサイクル業者に関する情報の共有化を行うことや、域内資源循環の流れの実態把握のため統計の整備等を検討していくこととしてい ます。
第3節「アジア各国における循環型経済社会の構築に向けた支援」では、技術協力として制度構築支援やソフト面のキャパシティビルディングを行うことや、人材育成・交流、環境教育として、人材育成事業や3Rイニシアチブ閣僚会合時の国際シンポジウムの開催、金融面での支援として国際協力銀行の投資金融等の積極的な活用を検討していくこととしてい ます。
第4節「アジア域内における資源循環ネットワークの構築に向けた施策」では、トレーサビリティを確保した資源循環ネットワークの構築に関して、トレーサビリティ確保のための具体的手法等について検討を進めていくことや、リサイクルポート等の施策を進めることで静脈物流システムの構築を図っていくこと、欧州をはじめとする各国法制度の整合性や透明性の確保のため協調していくことを含め、OECDやG8等の国際機関等との連携を進めていくことを検討していくこととしてい ます。

※資料はすべてPDFファイルです

● 「持続可能なアジア循環型経済社会圏の実現に向けて」(本文
<参考資料集>
  1. 日系企業による海外への事業展開状況
  2. アジア域内貿易量の増大
  3. 各種法制度における「資源」の定義
  4. 産業構造審議会における過去の検討
  5. アジアに展開している日系企業にとって現地での処理・リサイクルが困難な循環資源
  6. タイ・マレーシアの廃棄物処理業者の取扱い状況
  7. 日本が輸入しているバーゼル条約対象品目
  8. 廃棄物等の輸出入手続
  9. バーゼル条約運用を取り巻く実態
  10. 各国の資源生産・需要の推移
  11. 各国の循環資源の輸入状況
  12. 循環資源の日本からの輸出量の推移
  13. 循環資源の輸出事例
  14. 日本が輸出しているバーゼル条約対象品目
  15. 中国における不適正処理に関する報告事例
  16. 日本企業による違法な輸出事例
  17. 各国の中古製品・循環資源に係る輸入規制
  18. ブラウン管ガラスの再商品化の現状と課題
  19. 循環資源の輸出と国内の循環資源市場の関係
  20. アジア各国におけるリサイクルに係る状況
  21. アジアに展開している日系企業が抱える廃棄物処理・リサイクル上の課題
  22. 日系企業による国際的な資源循環の例
  23. グリーンエイドプラン(GAP)の状況
  24. 国際協力銀行および日本政策投資銀行のアジア諸国環境保全活動支援策
  25. アジアへの事業展開を考えている環境関連事業者が抱える課題
  26. 「持続可能な開発のための教育の10年」に関する動き
  27. APECリサイクルプロジェクトの概要
最終更新日:2005.01.21
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