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■EUの取り組み事例
■製品別にみた各国の取り組み
●使用済み自動車リサイクル
EU使用済み自動車(ELV)指令
ドイツ
 ドイツでは、98年4月1日に廃車リサイクル令が施行された。廃車リサイクル令では廃車の無償引取りなどは規定しておらず、関連業界による自主規制をベースとしたリサイクルが実施されていた。2000年のEU指令を受け国内の法制化をするため、環境関連法規のほかに商法関連法規の改正を含めた「廃車処理に関する法律(廃車法)」として2002年7月1日付けで施行された。

1. リサイクルシステム
 ドイツにおける使用済み自動車リサイクルシステムは下図のとおりである。




2. リサイクル目標
 ・2006年1月以降、リカバリー率85%(うちサーマルリサイクル以外で80%)
 ・2015年1月以降、リカバリー率95%(うちサーマルリサイクル以外で85%)

3. 関係者の役割
(1) 製造業者・輸入業者
・使用済み自動車の無償引取り、処理、リサイクルに必要となる費用を負担
・政令施行前に販売された車輌のうち車齢12年以内の乗用車については製造業者・輸入業者による無償引取が必要なため、引き取りと処理に必要となる費用を補填することを目的として、自動車メーカーと輸入業者は引当金として資金を確保する。
・引き取り、処理、リサイクルの実施方法は製造業者に任されるが、国内の全ての消費者ができるだけ近いところで引渡しできるようなシステムを構築する。
・製造業者は有害物質の使用を制限すると共に、解体しやすい車輌の設計、リサイクル製品、材料の利用を促進する。
・2003年7月1日以降、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムを含む材料や部品を流通させない。
・リサイクル率達成度などの情報を公開する。
(2) 認定引取所
・操業日誌の記録
・認定解体事業者への引渡し
・不透過性、耐酸性の敷地に、屋根がない場合は油水分離器を通して排水処理を実施
・液抜き・解体は行わない
(3) 認定解体事業者
・認定シュレッダー業者への車体スクラップ(廃車ガラ)の引渡し
・解体証明書の返却
・操業日誌の記録(ELV取扱い場所の大きさと区分)
・不透過性、耐酸性の敷地の整備
・油水分離器を通して排水などの適正な処理を行う
(4) シュレッダー業者
・車体スクラップを破砕、分別し再利用できないものを処分ないし、他の業者へ引渡し
・操業日誌の記録
(5) 専門鑑定人・地域自動車修理組合
・専門鑑定人は、廃車自動車政令に基づき、引取所、解体業者が政令の基準を満たしているか鑑定し認定する。
・地域自動車修理組合は、引取所が修理工場の場合に認定する。
・専門鑑定人は産業条例第36条で公的に任命される。
(6) 登録事務所
・解体証明書発行を条件に、抹消登録手続きを実施する。
一次使用停止車が1年を経過しても再登録の手続きが行われないような不適正な行為があった場合は、市町村の関係部署と連携して対処する。
(7) 最終所有者
・認定引取所または認定解体業者への確実な引渡し
・解体証明書発行依頼、または、所在証明書の発行
・98年3月以前に販売された車輌で車齢12年以上のものの引取り、処理に必要となるコストの負担
・受領した解体証明書を登録庁に提出、登録抹消手続きの実施
スウェーデン
スウェーデンでは、欧州でも早い段階から廃車のリサイクルに取り組んでいた。1975年の”Motor Vehicle Scrapping Act(廃車リサイクル法)”によって廃車回収奨励金制度(デポジット制度)が導入されてきたが、1998年の生産者責任法に基づき、1998年以降に販売された自動車は最終ユーザーが廃棄する時点で製造業者による無償回収することとなった。

1. リサイクルシステム
 スウェーデンでは、廃車のリサイクルシステムは下図のとおりとなっている。



 1998年1月から新車購入時に購入者が処理・リサイクルに関する費用を販売業者に支払うこととなっている。この費用は政府管理基金と車両が廃棄されるときに処理する費用として自動車製造販売者協会(BIL)に支払われる。
 BILと契約する解体業者は、廃棄時点で最終所有者から無償で引取り、処理・リサイクルを行う。最終所有者は解体業者に引渡すことにより廃車処理プレミアムとして新車購入時に支払ったうちの一部を受け取ることができる仕組みとなっている。
 1998年以降に販売された車両の場合には最終所有者は独自に解体業者へ引渡し、解体証明書を受け取る。この後、解体証明書と引き換えに廃車処理プレミアムを基金から受領できることができるのは1998年以降に販売された新車同様の仕組みである。
 ただし、廃車処理プレミアムの金額は古い車両ほど高く設定されている。これは、車両によって処理・リサイクル費用が異なるからである。また、古い車両ほどプレミアムを高く設定することにより最終所有者にとって廃車リサイクルがしやすい仕組みとなっている。

2. リサイクル目標
 ・2002年に達成するリカバリー率:85%
 ・2015年に達成するリカバリー率:95%以上

 2000年におけるリサイクル率は81%(重量比)であり、2002年には85%に達したと考えられる。

オランダ
 オランダでは、1992年に廃車リサイクルの促進を目的とした車両廃車対策計画が作成された。本計画を実施するにあたり、1993年にAuto Recycling Nederland B.V.(ARN社)が設立された。ARNは、自動車製造業者、輸入業者、解体業者、修理を行うガソリンスタンドを含めた修理業者、処理業者が参加している。
 EU指令を受け、2002年7月には廃車管理令が成立し、リサイクル率に関してはEU指令以上に厳しい目標が設定された。

1. リサイクルシステム
 新規購入者は販売業者に廃棄料(Waste disposal fee)を支払う。この処理料金は3年後とに更新されることとなっており、2003年では45ユーロ(約6,000円)であった。販売業者はこの料金をオランダ自動車リサイクル基金財団へ引渡す。
 オランダ自動車リサイクル財団(SAR, Stichting Autoℜcycling)では、この廃棄料の積み立て管理を行い、ARNに対してARN指定品目の処理費用としてプレミアムを引渡すこととなっている。ARN者では優良解体業者を選定し契約を行う。
 一方、廃車は最終所有者が解体業者へ引渡されるが、契約解体業者では廃車を無償回収が義務付けられており、ARN指定品目の適正処理を行うことでARNからプレミアムを受け取る仕組みとなっている。




2. リサイクル目標
 ・2002年に達成するリカバリー率:85%
 ・2007年に達成するリカバリー率:95%以上
最終更新日:2005.05.10
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