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3R政策
海外情報
■EUの取り組み事例
■製品別にみた各国の取り組み
●廃電気・電子機器リサイクル
EU廃電気・電子機器(WEEE)指令
ドイツ
1. 法制化状況
 ドイツ政府は2003年4月、廃電気・電子機器および有害化学物質に関するEU指令を国内法へ移行するための法規の骨格を示す方針案を発表した。この中では、
  • 自由競争による実施
  • 個人責任の活性化
  • 現状の処理・リサイクル環境の配慮
を国内法制化の基本にするとされている。
 2004年9月には連邦内閣が法案を承認し、承認に向けて議会で審議される。法制化は循環経済・廃棄物法の下で廃電気・電子機器令という1つの命令としてなされる。

2. 廃電気・電子機器令の概要
 現在のところ法案概要は以下のような特徴がある。

(1) 引取り
 ドイツでは既に廃電気・電子機器の引取りが自治体によって実施されており、自治体、機器の種類などにより引取りの有償/無償が異なる。このシステムを引き続き維持することを特徴としているため、EU指令で義務付けされている家庭からの全ての廃電気・電子機器の無償引取りにかかる財政負担は自治体に求められることとなる。また、流通販売業者は、自主的に無償引取りした廃電気・電子機器を無償で自治体の処理業者へ引渡すことができる。

(2) 自治体処理業者からの引取り
 自治体により回収された廃電気・電子機器は製造業者の財政負担により処理およびリサイクルを実施する。指令により2005年8月から廃電気・電子機器の回収が義務化されるが、それ以前に上市されていたものも対象となる。

(3) 調整機関
 自治体処理業者からの引取りが適切に実施され、自治体間に不公平が生じないようにするため、関連業界によって自治体向けに民間調整機関が設置される。ただし、システムの内容は業界に委ねられる。

(4) 新製品のリサイクル保証
 新製品がリサイクル保証されているかどうかは登録制で証明することとなっている。販売業者は登録されている製品だけを販売するよう義務付けられる。登録は関係業界の自主規制で実施され、業界が自己負担で登録の中央管理機関を設置・運営する。

スウェーデン
1. 国内法の法制化
 スウェーデンでは、廃電気・電子機器の無償引取りとリサイクルに関する条例が2000年4月に採択され、2001年7月発効した。本法が対象としているのは家電である。
 EU指令に準じた国内法は既存の法律が修正されることとなる。2004年5月に法令案が発表され、今後修正された法令案が提出される。

2. リサイクル実施状況
(1) リサイクルシステム
 スウェーデンで実施されているリサイクルシステムは下図のとおりとなっている。



 廃電気・電子機器は自治体と関連業界両者による協力をベースとしたシステムとなっている。家庭由来の廃電気・電子機器は自治体の責任で回収を行うことになっており、回収された機器は関連業界団体によって設立されたEl-Kretsenに引渡すこととなっている。家庭由来の廃電気・電子機器を対象とする自治体回収施設が約600ヶ所設置されている。
 El-Kretsenは処理業者と契約し、回収された廃電気・電子機器は契約処理業者により有害物質の除去、解体、処理、リサイクルを行う。
 以上の自治体と関係業界による共同回収・リサイクルシステムはELRETURという名称で、ELRETURシステムの運営資金は販売量や製品の種類に応じてメンバー間で分担される。新製品にリサイクル料金を上乗せすることでこれらの資金を調達する仕組みとなっており、ELRETURシステムが保証されている製品には「ELRETUR/El-Kretsen加入」の表示をすることとなっている。

(2) リサイクル状況
 2001年7月に開始されたELRETURシステムで回収された廃電気・電子機器は6万7,000トン/年(2001年7月~2002年6月)であった。一人あたりでみると7kgの廃電気・電子機器を回収したこととなり、EU指令で目標とされている一人あたりの回収量4kgを大きく上回る実績となっている。

オランダ
1. 国内法の法制化
 オランダは欧州で最も早く廃電気・電子機器の無償引取りとリサイクルに取り組んできた国である。廃電気・電子機器リサイクル法は98年4月に公表され、99年1月から大型機器とIT機器のリサイクル、2000年1月からその他機器のリサイクルが開始された。
 EU指令に準じた国内法は既存の法律をベースに調整され、2004年7月に法律並びに適用法令が採択された。

2. リサイクル実施状況
(1) リサイクルシステム(家電)



 廃家電品は、同類の新製品を購入する際、販売業者が無償引取りする。この場合、販売業者はその製品を第三者へ販売、市町村への譲渡あるいは製造業者・輸入業者へ返送などができることとなっている。新製品との交換をしない廃家電品は自治体の設置する回収施設で回収することとなっている。
 選別回収された廃家電品は関係業界により共同設立されたNVMP(Nederlandse vereniging Verwijdering Metalekro Producten) という非営利組織が委託運営する物流センターに搬入されて、別途NVMPと委託契約している処理業者により処理・リサイクルが行われる。製造業者・輸入業者は独自の回収リサイクルシステムを構築することもできるが、このような場合にはシステムの資金調達、全国で実施可能なこと、モニタリングの実施について環境省に対し説明する必要がある。
 廃電気・電子機器の分別、輸送、処理・リサイクルの実施は運営を委託することができるが、自治体回収施設あるいは販売業者による回収以降に関する法的な責任は製造業者と輸入業者が負うこととなっている。

(2) リサイクルシステム(IT機器など)
 情報通信機器の収集とリサイクルはICT-Milieuと呼ばれる組織が市場シェアに応じてメンバーから料金を徴収して回収リサイクルシステムを運営している。同社へは非公開で市場シェアに関する情報が通知され、支払いは回収された製品の加工後に行われる。

(3) リサイクル状況
 2001年の一人あたりの回収量は約4.1kgで、既にEU指令の要求を満たしている。
 1kgあたりの回収コストは0.42ユーロ(約57円)、事務コストは0.03ユーロ(約4円)であった。
最終更新日:2005.03.25
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