1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. ニュースリリースアーカイブ
  4. 2025年度5月一覧
  5. 価値創造経営小委員会の中間報告を公表します

価値創造経営小委員会の中間報告を公表します

2025年5月30日

経済産業省では、産業構造審議会経済産業政策新機軸部会の下に価値創造経営小委員会を設置し、「企業の成長戦略を中心とする社会システム・政策体系」の構築に向けて、企業の成長戦略の構築・実行の支障となる社会システムの課題とその解決のための政策検討の方向性について議論を行ってきました。
今般、小委員会のこれまでの議論をとりまとめ、中間報告として公表します。

1.背景・問題意識

足下、我が国でもデフレ脱却に向けた歩みが着実に進み、国内外の原材料費や人件費の高騰に伴って、コストカット型経営のみでは、企業の持続的な収益拡大は期待できなくなっています。また、GXやDXといった不確実性の高い成長領域で主導権を握るためのグローバルな投資競争が激しくなる中で、企業には、新たな市場を切り拓く成長戦略の策定と実行が不可欠になっています。こうした中で、我が国の上場企業は、売上や利益、株主還元等を着実に伸ばす一方で、人材、研究開発、設備といった中長期の収益拡大に繋がる大胆な成長投資には十分に踏み切れていないとの指摘も存在します。

企業の多くが成長戦略を実行できない背景には、企業自身の努力のみならず、社会システムにおける様々な課題が企業のリスクテイクを阻んでいるからではないかという問題意識の下、本小委員会では、企業がリスクをとって持続的な成長を目指していく「攻めの経営」、すなわち、中長期目線の成長戦略によって成長期待を集め、事業ポートフォリオを最適化した上で、積極的な成長投資を実践する経営に踏み出せるよう、「企業の成長戦略を中心とする社会システム・政策体系」の構築に向けて、企業の成長戦略の構築・実行の支障となる社会システムの課題とその解決のための政策検討の方向性について議論を行いました。

※なお、本小委員会では、我が国の上場企業を念頭に議論を行いました。

画像1

2.概要

本中間報告では、「企業の成長戦略を中心とする社会システム」の実現に向けた政策検討の方向性を整理するにあたり、資本収益性(ROE等)と成長期待(PBR等)の2軸で上場企業全体を企業群①~④の4つの象限に分類した上で、企業が資本収益性や成長期待のより高いポジションへ移行しようとする際に優先順位が高いと思われる有効な企業の打ち手と、その打ち手の実行の支障となる社会システムの課題を「価値創造マップ」として整理しました。

例えば、企業群①(成長期待低・資本収益性低)から企業群②(成長期待低・資本収益性高)への移行においては、コア・コンピタンスを起点とした既存事業の収益力強化や事業・資産の組み替え等の構造改革等が優先順位の高い打ち手となり、その際に、事業再編手法の多様化や企業間連携の迅速化等が課題となります。また、企業群③(成長期待高・資本収益性低)が企業群④(成長期待高・資本収益性高)へと成長し、さらには、企業群④(成長期待高・資本収益性高)が更なる成長を続けるには、成長投資を継続・加速させ、株主還元に優先させることが有効な打ち手となり、大規模かつリスクの高い投資等の資金調達や、大学・スタートアップと連携した研究開発等が課題となります。

加えて、全経路共通の課題として、コーポレートガバナンスの実質化、企業と投資家の価値協創関係の構築に向けた株主還元・株主総会・議決権行使・開示、長期性のリスクマネーを供給するアセットオーナーの多様化等を取り上げました。

価値創造マップ

画像2

最後に、「打ち手の実行の支障となる社会システムの課題」を解決するための政策検討の方向性を整理しました。今回整理された課題や政策検討の方向性を踏まえ、経済産業省としては、今後、国内投資環境の整備等も含め、「企業の成長戦略を中心とする社会システム」を構築する上で必要な施策を具体化・実行・検証していきます。

政策検討の方向性

画像3
(出所)中間報告を基に経済産業省作成 

関連リンク

担当

経済産業政策局 産業創造課長 日野
担当者:髙谷、寺澤、鈴木、高橋
電話:03-3501-1511(内線 2691~3)
メール:bzl-t-kachisouzou★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。