第Ⅲ部 第2章 各国戦略

第9節 アフリカ

アフリカは、若年層を中心に13億人を超える人口を抱え、コロナ禍でも人口増加トレンドは変わっておらず、電力・運輸・港湾等のインフラ需要は引き続き大きい。資源・インフラを中心としていたアフリカビジネスは、各国の産業開発や、医療・食糧ニーズの増加、電子商取引の普及などを通じて、様々な分野で社会課題解決に向けた事業の展開など、多様化しつつある。また、2021年1月のアフリカ大陸自由貿易圏の運用開始の発表に伴い、アフリカ域内貿易の促進が具体的に進むことが期待される。

我が国は、質の高いインフラ整備の推進、投資協定や租税条約の締結促進などとともに、アフリカ開発会議(TICAD)や日アフリカ官民経済フォーラムなどの官民が一体となった対話の場を活用し、アフリカに加え第三国や国際機関との協力を強化することを通じて、日本企業のアフリカ進出を支援していくとともに、進出した企業のアフリカにおける円滑な業務遂行をサポートする。

1.進捗状況

官民一体でアフリカビジネスを継続的に議論するプラットフォームである「アフリカビジネス協議会」(2019年6月発足)では、官民の参加者間でアフリカビジネスに係る情報共有と意見交換を行い、関係省庁・政府機関による支援策の検討・実施・見直し等を実施している。具体的には、①アフリカ政府・企業とのネットワーキング・マッチング機会の提供、②アフリカ各国のビジネス環境改善の促進、③各省庁・機関横断による個別ビジネスの支援などを目標として掲げている。

同協議会には、経済産業省、外務省、日本経済団体連合会、経済同友会を始め、約320の企業・団体・官公庁・国際機関が所属しており(2021年3月時点)、中堅中小企業、農業、ヘルスケアなどをテーマとしたワーキング・グループが、現地事情などの関連調査や日本企業と現地経済団体・企業との関係構築・マッチング等を実施している。

コロナ禍の2020年度においては、民間企業と連携して同協議会事務局の強化を図るとともに、日本貿易振興機構(JETRO)も通じて、デジタルツールを活用した現地最新情報等の提供、アフリカ進出支援策の情報共有、オンライン商談会(医療機器、環境機械、農業資機材等の分野)等を実施した。

また第7回TICAD(2019年)において、民間資金の活用によるアフリカ支援の拡充が掲げられている中、日本貿易保険(NEXI)は、アフリカ貿易保険機構(ATI)等における日本企業向け窓口の設置、また2020年12月の「アフリカ輸出入銀行向け融資保険(5.2億ドル)」の引受決定等、現地のリスクを熟知する現地公的金融機関との協業を通じて、民間だけでは対応できない資金リスクを低減させることで、本邦企業のアフリカ市場参画を促し、日本の顔が見える民間経済協力の推進を図っている。

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