第4節 ASEAN・大洋州
1.総論
ロシアによるウクライナ侵略、米中対立の二極化、昨今のコロナ禍の長期化による各国経済への影響も相俟って、インド太平洋地域を含む世界の情勢は緊迫化し、気候変動等の社会問題や急激な経済成長に伴う経済格差も広がりを見せている。
こうした中で、今後の世界経済をけん引する活力あるASEANと日本が連携し、平和で繁栄した地域を作り出すことはインド太平洋地域の安定に大きく貢献するといえる。日本がASEANにとって、かつてのような大きな存在ではなく、ASEANに関与するパートナーの一つとなった今、現地に寄り添い共に育ち信頼関係を築いてきた日本の強みを再認識し、共に成長するパートナーとして未来を共に創ることが重要である。
さらに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、豪州、ニュージーランド及び太平洋島嶼国との連携強化に取り組むことが重要である。
こうした観点から、日本とASEAN・大洋州各国との間では二国間関係やAPEC、ASEAN経済大臣会合など様々な国際フォーラムの場を活用し、閣僚級のバイ会談などに精力的に取り組んだ。特に2022年度は、夏頃から新型コロナウイルス感染症拡大による渡航規制がかなり緩和されたこともあり、経済産業大臣は、ASEAN5か国と豪州を訪問し、各国との関係強化に努めた。
2.日ASEAN関係
(1)日ASEAN友好協力50周年を機とした経済共創へ向けた取組
2022年9月18日、経済産業省、ASEAN事務総長及びASEAN加盟国との間で第28回日ASEAN経済大臣会合が、カンボジアで開催され、日本から西村経済産業大臣が出席した。会合において、この1年間の日ASEAN経済協力の進捗・成果及び2023年の日ASEAN友好協力50周年を見据えた取組について議論を行った。西村大臣から、友好協力50周年に向けて、経済産業省が日ASEANの経済界と策定する「日ASEAN経済共創ビジョン」への協力を要請するとともに、このビジョンも踏まえ、政府ベースで、将来のあるべき姿「未来デザイン」と、その達成に向けた具体策「アクションプラン」の策定を提案し、賛同を得た。様々な経済界等へのヒアリングや、ビジョン策定に向けて立ち上げた検討委員会での議論の結果、2023年1月には「日ASEAN経済共創ビジョン」の中間整理を取りまとめた。
また、同会合に併せて開催された東アジア経済大臣会合において、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が、①インテグレーション、②イノベーション、③インクルーシブ、④サステナビリティの四つを柱とするデジタルを活用したアジア地域の総合開発計画を実践するための、産学官連携、ナレッジハブ、新規ビジネス創出のプラットフォームとなる、新センターの立ち上げを発表し、歓迎された。同年11月の東アジア首脳会議においても、議長声明の中で「デジタルイノベーション・サステナブルエコノミーセンター」の設置を改めて歓迎された。
(2)アジア未来投資イニシアティブについて
①ADX実証事業について
2021年に引き続き、日本企業が有する技術・ノウハウ等の強みを活かしながら、ASEAN各国やインドの企業との協働を通じ、現地の社会課題解決に貢献する実証事業を支援。今年度はASEAN地域を対象に28件採択を行った。
②日ASEANビジネスウィーク
2022年5月、昨年に引き続き、「イノベーション」と「サステナビリティ」をキーワードに、ASEANビジネスの現状と可能性を考察する機会として、第2回「日ASEANビジネスウィーク~toward Innovative and Sustainable Growth~」を開催した。日本及びASEANの企業や有識者等が登壇するウェビナーを集中的に開催。オープニングセッションにおいては、萩生田前経済産業大臣から、①2022年1月に発表したアジア未来投資イニシアティブアジア(AJIF)の具体的取組、②デジタル技術を活用したサプライチェーンの高度化、③2023年に迎える日ASEAN友好協力50周年を契機に、未来を切り開く共創パートナーとして、目指すべき方向性「日ASEAN経済共創ビジョン」を策定し、そこに向かって官民挙げて取り組んでいくことを発信した。
(3)ASEAN事務局との関係
2022年5月、APEC貿易担当大臣会合にて、萩生田前経済産業大臣がリムASEAN事務総長と、2023年の日ASEAN友好協力50周年を契機とした日ASEAN関係の更なる深化に向けた取組について意見交換を行った。
9月、西村経済産業大臣はG20エネルギー移行大臣会合に際してインドネシアを訪問し、リムASEAN事務総長と会談を行った。会談では「日ASEAN経済共創ビジョン」、発効したRCEP協定の完全な履行の確保に向けて日本とASEAN事務局とで緊密に連携をしていく旨を改めて確認した。
11月のAPEC閣僚会議においては、西村経済産業大臣がリムASEAN事務総長の5年にわたる事務総長としての活動に敬意を表するとともに、日ASEAN友好協力50周年を見据え、RCEP協定やエネルギー分野を含めた日ASEAN経済関係の深化に向けた協力について議論を深めた。
3.ASEAN各国との関係
(1)インドネシア
2022年4月、日・インドネシア官民経済対話(トラック1.5)の第1回会合がジャカルタで開催され、デジタル、グリーン産業の振興、サプライチェーン、人材育成について議論を行った。
同月、萩生田前経済産業大臣が、アリフィン・エネルギー鉱物資源大臣とオンライン会談を行い、同年1月に両大臣が署名したエネルギー・トランジションの実現に関する協力覚書等に基づく両国間の協力をさらに深化させていくことで合意した。
5月に開催されたAPEC貿易担当大臣会合では、萩生田前経済産業大臣がルトフィ商業大臣とバイ会談を行い、G20、RCEP、IPEF、「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」に基づく日本としての取組等について意見交換を行った。
6月には、細田経済産業副大臣がアグス工業大臣とバイ会談を行い、インドネシアのサプライチェーンの強靱化等に向けて自動車産業や鉄鋼産業など個別の産業政策等について意見を交わした。
さらに7月には、萩生田前経済産業大臣がアイルランガ経済担当調整大臣及びアグス工業大臣とバイ会談を行った。会談では、自動車産業や鉄鋼産業など個別の産業政策や官民経済対話等について両国の経済関係を一層深化させていくことを確認した。
同月、萩生田前経済産業大臣がアリフィン大臣と会談を行い、AZEC構想の実現に向けた両国の連携の重要性を確認するとともに、特にアンモニアや再エネ分野における具体的な取組について議論を行った。
9月には、西村経済産業大臣がG20エネルギー移行大臣会合等に出席するため、バリ及びジャカルタへ出張し、ルフット海洋・投資担当調整大臣及びアリフィン・エネルギー鉱物資源大臣との会談、プアン国会下院議長との会談、さらにアイルランガ経済担当調整大臣及びアグス工業大臣との会談を行った。各会談では、日インドネシア両国のエネルギー協力や経済関係の強化等、幅広い議論を交わした。
また、同月に開催されたIPEF閣僚会合において、西村経済産業大臣はアイルランガ経済担当調整大臣およびアグス工業大臣と会談を行い、IPEF、鉄鋼輸入制限措置、日尼EPA、自動車分野等の幅広い政策について意見交換を行った。
さらに同月、西村経済産業大臣が来日したアリフィン大臣と会談を行い、AZECの実現に向けた協力や二国間における様々なエネルギー分野での協力について議論を行い、今後さらに協力関係を深化させていくことを確認した。
10月には、西村経済産業大臣はゴーベル国会副議長と会談し、日インドネシア二国間経済関係の強化について議論を行った。西村経済産業大臣とゴーベル国会副議長は、翌年の2023年3月にも会談を行い、日インドネシア国交樹立65周年、また日ASEAN友好協力50周年を踏まえ、両国の関係強化について改めて議論を深めた。
2023年3月には、AZEC閣僚会合に参加するために来日したアリフィン大臣と西村経済産業大臣が会談し、再エネ、燃料アンモニア、天然ガスを含む多くの二国間のプロジェクトが生成されていることを歓迎するとともに、それぞれの進捗確認を行い、引き続きコミュニケーションを取っていくことで一致した。
(2)マレーシア
2022年5月、萩生田前経済産業大臣はアズミン国際貿易産業大臣とバイ会談を行った。会談では1月に提唱した「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」に基づくサプライチェーンの強靱化等において両国が協力していくことで一致し、産業界も交えた官民対話の設置に向けた検討を進めることで合意した。また、航空機分野での両国協力覚書に署名した。
8月には、岩田経済産業大臣政務官がマレーシアを訪問し「東方政策40周年記念セミナー」に出席、日本政府代表として挨拶を行った。現地ではアズミン国際貿易産業大臣と会談し、東方政策の更なる発展で一致、ムスタパ内閣府大臣との会談では水素・アンモニアの活用や省エネ分野での協力について意見を交わした。
また、9月、西村経済産業大臣がアズミン国際貿易産業大臣とバイ会談を行い、二国間経済関係の強化や、IPEF、CPTPPなど通商分野で協議を行った。
12月には、西村経済産業大臣がマレーシアを訪問し、12月の政権交代後に新たに着任したザフルル国際貿易産業大臣及びラフィジ経済大臣と会談を行った。ザフルル大臣との会談では航空機分野を含む二国間協力、CPTPP及びRCEP等の通商政策、日ASEAN友好協力50周年を機とした協力の推進等について、ラフィジ大臣との会談では「アジア・ゼロエミッション共同体」構想やLNGの安定供給を含むエネルギー分野における協力等について議論を深めた。
2023年3月には、AZEC閣僚会合に参加するために来日したラフィジ大臣と西村経済産業大臣が会談し、アジアの脱炭素化に向けて、AZECにおける両国の連携を確認するとともに、LNGの安定供給、マレーシアのカーボンニュートラルに向けたロードマップ策定支援や燃料アンモニア、CCSといった両国の脱炭素化に資するエネルギー協力について意見交換した。
(3)ブルネイ
2022年5月、APEC貿易担当大臣会合にて、萩生田前経済産業大臣はアミン首相府大臣兼第二財務・経済大臣と会談を行い、CPTPP、IPEF等の二国間経済関係について意見交換を行った。
また、9月のIPEF閣僚会合では、西村経済産業大臣とアミン首相府大臣兼第二財務経済大臣が、IPEF等の通商政策のほか、エネルギー安定供給やエネルギー・トランジションに関する協力について議論を交わした。
同月、中谷経済産業副大臣は来日したペヒン・ハルビ首相府大臣と会談し、中谷副大臣から、水素閣僚会議及びアジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合への出席を歓迎するとともに、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の実現に向けた協力を呼びかけつつ、LNGの安定供給を含む二国間のエネルギー協力について議論を行った。「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」に基づく、カーボンニュートラルに向けたロードマップ策定にかかる議論を開始する方針で合意した。
(4)フィリピン
2022年11月のAPEC閣僚会議に際し、西村経済産業大臣はASEANの対日調整国であるパスクアル貿易産業大臣とバイ会談を行った。会談では、日ASEAN友好協力50周年を機とした日ASEAN経済共創ビジョンの策定などの日ASEAN協力の深化について意見交換を行った。
翌2023年2月にはマルコス大統領が来日し、フィリピン経済フォーラムにて西村経済産業大臣とバイ会談を行った。会談ではIPEFやRCEPを通じた貿易・投資の強化と日ASEAN経済共創ビジョン策定にかかる連携を確認した。
さらに3月には、マニラで第5回日フィリピン産業協力対話が開催された。本対話では、日本とフィリピンのこれまでの協力の内容や今後の方向性、産業別の課題(自動車、エレクトロニクス・半導体産業、航空・宇宙産業、クリエイティブ産業)、フィリピンにおけるビジネス環境、スタートアップの振興や両国でのスタートアップの協業によるオープンイノベーションに向けたイベントの開催について議論し、さらに協力関係を強めていくことで一致した。
同月、AZEC閣僚会合に参加するために来日したロティリヤ・エネルギー大臣と西村経済産業大臣が会談し、LNGや燃料アンモニア分野における両国企業間の協力を歓迎するとともに、各国の事情に応じた脱炭素化の取組を進めること、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーの重要性を確認した。
(5)シンガポール
2022年5月、APEC貿易担当大臣会合にて萩生田前経済産業大臣がガン貿易産業大臣とバイ会談を行い、CPTPP、RCEP等の通商政策等、日・シンガポールの経済関係強化に向けて議論を交わした。
さらに同月、萩生田前経済産業大臣はタン第二貿易産業大臣兼人材開発大臣と会談を行い、就労ビザの発給要件やエネルギー分野での協力等、幅広い分野について意見交換を行った。また、同会談において、「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」の具体化に向けた日・シンガポール官民経済対話を立ち上げた。
9月には、西村経済産業大臣がG20エネルギー移行大臣会合等に出席し、タン第二貿易産業大臣兼人材開発大臣とエネルギー分野における協力やIPEF、CPTPP等の通商施策について議論を行った。
また、同月のIPEF閣僚会合において、西村経済産業大臣はガン貿易産業大臣と会談し、IPEF、CPTPP、RCEPを始めとした通商関係、日ASEAN経済共創ビジョンの策定やエネルギー分野における協力を通じ、二国間関係をさらに深化させていくことで合意した。
11月には、西村経済産業大臣がシンガポールを訪問し、ガン貿易産業大臣、ゴー・チョクトン名誉上級相兼通貨監督庁議長(前首相)、タン第二貿易産業大臣兼人材開発大臣とバイ会談を行い、通所政策等について意見交換を行った。また、Bloomberg New Economy Forumへ出席し、講演およびパネルディスカッションに参加した。
翌2023年2月には、上述した日・シンガポール官民経済対話の第1回がシンガポールで開催された。対話では、日・シンガポール双方において重要なテーマであるスタートアップ、サプライチェーン高度化、デジタル経済について、協業促進に向けた協力の在り方や、両国の取組をASEAN全体の経済関係深化にどのようにつなげていくか等意見を共有し、連携の方向性について共同声明を発表した。
また、2023年3月には、AZEC閣僚会合に参加するために来日したガン貿易産業大臣と西村経済産業大臣が会談し、水素・アンモニア分野における両国企業間の協力を歓迎するとともに、LNGのトランジション燃料としての重要性を確認するとともに、アジアにおけるカーボンニュートラル実現を支えるファイナンスの在り方について議論を行った。
(6)タイ
2022年4月20日、萩生田前経済産業大臣はタイのスパッタナポン副首相兼エネルギー大臣と会談を行い、1月に発表した「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」に基づく、サプライチェーンの強靱化に向けた取組や、デジタル技術を活用した社会課題の解決につながるプロジェクトの支援などの具体的な投資支援策について議論を行った。
5月には、タイにてAPEC貿易担当大臣会合が行われ、萩生田前経済産業大臣が出席、スパッタナポン副首相兼エネルギー大臣及びチュリン副首相兼商務大臣と会談を行い、IPEFやRCEP等について議論した。また、7月には、来日したアネーク高等教育・科学・研究・イノベーション大臣と萩生田前経済産業大臣が会談を行い、「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」に基づく具体的な取組として、日泰企業の共創によるイノベーション創出へ向けた連携を確認した。
2022年9月には、里見経済産業大臣政務官がAPEC中小企業大臣会合のためタイを訪問し、スパッタナポン副首相兼エネルギー大臣と「アジア・ゼロエミッション共同体」構想実現に向けたエネルギー協力等を中心に議論した。
さらに同月、西村経済産業大臣がタイを訪問した際には、スパッタナポン副首相兼エネルギー大臣と会談を行い、エネルギー分野における協力や「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」に基づく取組を推進することで一致した。
西村経済産業大臣は、APEC閣僚会議に際し11月にもタイへ出張し、スパッタナポン副首相兼エネルギー大臣とエネルギー分野における協力等について会談を行いLNG分野における協力覚書に署名した。また、スリヤ工業大臣との間でタイ製造業のデジタル化推進に向けた人材育成に関する協力枠組みの文書交換を行ったほか、APEC議長であるチュリン副首相兼商務大臣と、APECの成功への協力や、翌年の日ASEAN友好協力50周年に向けた協力について議論を深めた。また、本出張において、両国の官民「共創」に向けてタイ財閥との意見交換やスタートアップ企業と対財閥のピッチイベント「Rock Thailand」において挨拶した。
翌2023年1月にはスリヤ工業大臣が来日し、西村経済産業大臣とサプライチェーンの強靱化、新ビジネスの創出を担うスタートアップの育成、スマート保安、水素の生産・利用等の分野で議論を行った。
(7)ベトナム
2022年5月27日、萩生田前経済産業大臣はミン筆頭副首相と会談を行い、1月に発表した「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」について意見交換し、両国の経済関係を一層強化することで一致した。
8月には、第5回「日ベトナム産業・貿易・エネルギー協力委員会」を日本で開催し、共同議長である西村経済産業大臣及びジエン商工大臣は、サプライチェーンの強靱化、デジタル技術の活用、エネルギー・トランジションの実現等に向けた、二国間協力の方向性を確認した。また同委員会において、両国の協力を一層強化していくことを確認し、共同閣僚声明とファクトシートを発出した。
西村経済産業大臣とジエン商工大臣は、9月に行われたIPEF閣僚会議の際も会談を行い、IPEFを始めとした通商政策について議論、引き続き連携していくことを確認した。
2023年3月、AZEC閣僚会合に参加するために来日したハー副首相兼天然資源環境大臣と西村経済産業大臣が会談し、アジアの脱炭素化をAZECの枠組みの下、両国で連携し、さらに協力を進めていくことで一致した
(8)カンボジア
2022年9月、日ASEAN経済大臣会合へ出席した西村経済産業大臣は、カンボジアのパン・ソラサック商業大臣と会談を行い、翌年の日ASEAN友好協力50周年を機とした日ASEAN経済界による経済共創ビジョンの策定などについて意見交換を行い、日ASEAN協力の発展に向けて共に取組を進めることを確認した。また、サプライチェーン強靱化、デジタル技術の活用、人材育成などに関して意見交換を行い、翌年の日カンボジア外交関係樹立70周年に向けて両国の関係をより一層深めていくことで一致した。
2023年3月、ノリン鉱物エネルギー省長官が来日し、AZEC閣僚会合に参加した。
4.大洋州各国との関係
(1)豪州
2022年6月、WTO閣僚会議に出席した細田経済産業副大臣は、エアーズ貿易担当補佐大臣とバイ会談を行い、CPTPP等の通商分野での連携や水素等のエネルギー分野での協力について議論を行った。
7月には萩生田経済産業大臣がシドニーを訪れ、エネルギー大臣会合及びシドニー・エネルギーフォーラムに参加するとともに、ボーエン気候変動・エネルギー大臣およびキング資源大臣とバイ会談を行った。会談では、日本へのLNGの最大供給国である豪州に対するLNGの増産や安定供給について要請。また、資源分野における協力等についても議論を行った。
9月には、西村経済産業大臣がG20エネルギー移行大臣会合に出席し、ボーエン気候変動・エネルギー大臣と会談、両国のエネルギー協力について議論を深めた。
また、同じく9月に開催されたインド太平洋枠組み(IPEF)閣僚会合において、西村経済産業大臣はドン・ファレル貿易・観光大臣とバイ会談を行い、IPEFやCPTPP、RCEPやWTO等、主に通商分野について議論し、二国間の連携強化の重要性を確認した。
10月には、第4回日豪経済閣僚対話が開催され、西村経済産業大臣とドン・ファレル貿易・観光大臣が対面で参加したほか、エアーズ貿易担当補佐大臣がオンラインで参加した。閣僚対話では、民主主義的な価値観や「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを共有する、「特別な戦略的パートナー」である豪州と、IPEF、CPTPP、RCEP、WTO、サプライチェーンの強靱化等について共に取組み、インド太平洋地域において連携していくことで一致した。また、LNGを始めとした資源・エネルギーの安定供給確保について理解を求めるとともに、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想、水素・アンモニアといったクリーンエネルギー分野における協力について議論を行った。 11月には、長峯経済産業大臣政務官がアダムソン南オーストラリア州総督とバイ会談を行い、主に水素協力等のエネルギー分野での連携について議論を行った。
同月、西村経済産業大臣が来日したキング大臣と会談を行い、石炭・LNGの安定供給や、重要鉱物に関するパートナーシップ等に基づく鉱物資源分野における日豪連携の方向性等について、議論・確認を行った。
また翌2023年1月24日、西村経済産業大臣はマガウワン西オーストラリア州首相とバイ会談を行い、LNGや鉱物資源などエネルギー分野での協力に関して意見を交わし、今後の更なる進展を期待することで一致した。
3月にはAZEC閣僚会合に参加するために来日したマクアリスター気候変動・エネルギー補佐大臣と中谷経済産業副大臣が会談し、LNGや石炭の安定供給確保について理解を求めるとともに、「アジア・ゼロエミッション共同体」構想、水素・合成メタン・アンモニア・CCUSといったクリーンエネルギー分野における協力について議論した。
(2)ニュージーランド
2022年4月、萩生田前経済産業大臣はオコナー貿易・輸出振興大臣とバイ会談を行った。会談では、戦略的協力パートナーである両国関係を踏まえつつ、APECやCPTPP、RCEP等での協力の在り方や、地域の諸課題について意見交換を行った。
9月のIPEF閣僚会合に出席した西村経済産業大臣がオコナー貿易・輸出振興担当大臣とバイ会談を行い、IPEFやCPTPP等の通商分野に加え、デジタル分野などにおいても、引き続き緊密に連携することで一致した。
同月、西村経済産業大臣が来日したウッズエネルギー・資源大臣と会談し、水素や地熱、洋上風力などエネルギー分野での協力や排出権取引の取組について議論を行い、今後、さらに協力関係を深化させていくことを確認した。
さらに11月のAPEC閣僚会合においても、西村経済産業大臣とオコナー貿易・輸出振興担当大臣はバイ会談を行い、翌年ニュージーランドが議長を務めるCPTPPでの今後の交渉等、通商分野での協力について改めて議論を深めた。
翌2023年2月には、オコナー貿易・輸出振興担当大臣が来日し、西村経済産業大臣とCPTPPや、IPEF、RCEP等での協力の在り方について意見交換を行った。
(3)島嶼国
2022年9月、IPEF閣僚会合に出席した西村経済産業大臣は、フィジーのファイヤズ・シディック・コヤ産業・貿易・観光・土地・鉱物資源大臣とバイ会談を行った。会談では、IPEFを始めとした通商政策のほか、人材育成やデジタル化について議論し、引き続き二国間関係を強化していくことを確認した。
また、11月のAPEC閣僚会議に際し、西村大臣はパプアニューギニア独立国のリチャード・マル国際貿易投資大臣とバイ会談を行った。会談では、島嶼国との今後の連携の在り方や、LNGの安定供給等について議論し、両国の経済関係を一層深化させていくことを確認した。
2月には、西村経済産業大臣がクック諸島のブラウン首相を始めとする太平洋諸島フォーラム(PIF)代表団と会談、プナPIF事務局長も同席した。西村経済産業大臣は、太平洋島嶼国・地域から表明された懸念を真摯に受け止め、第9回太平洋・島サミットで菅前総理大臣が約束したとおり、引き続き、IAEAによる客観的な確認を受け、太平洋島嶼国・地域に対し、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく説明を誠実に行っていくことを再確認した。