経済産業省
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第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第3節 価値創出に向けた Connected Industries の推進

1.我が国が目指す将来の産業の姿 “Connected Industries”

ドイツの“インダストリー4.0”、フランスの“未来の産業(Industrie du Futur)”、中国の“製造2025”など、世界の主要各国はそれぞれの明確な旗を立て、産業における第四次産業革命への対応を進めてきている。一方、日本では、目指す“社会の姿”としての“Society 5.0”を打ち出しているものの、目指す“産業の姿”に関しての明確な旗印を決めないまま政策を進めてきた。そうした中、関係者が一体となった取組を一層加速すべく、2017年3月にドイツで開催された国際情報通信技術の見本市であるCeBITへの参加のため安倍内閣総理大臣と世耕経済産業大臣が訪独する機会に合わせ、我が国の産業が目指す姿として“Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ)”というコンセプトを世界に向けて発信した(図131-1)。

図131-1 Connected Industriesとは

備考:経済産業省プレスリリース

“Connected Industries”とは、データを介して、機械、技術、人など様々なものがつながることで、新たな付加価値創出と社会課題の解決を目指す産業のあり方である。モノとモノがつながるIoTによる付加価値だけではなく、人と機械・システムの協働・共創による付加価値、技術が人とつながることで人の知恵・創意がさらに引き出される付加価値、さらには、国境を越えて企業と企業がつながることによる付加価値、世代を超えて人と人がつながることで技能や知恵を継承する付加価値など、様々なつながりによる価値創出が実現する産業の姿を目指すことをコンセプトとしている。その際、我が国の強みである高い「技術力」や高度な「現場力」を活かした「ソリューション志向」で新たな産業社会を目指すこと、さらには、現場を熟知する知見に裏付けられた臨機応変な課題解決力や継続的なカイゼン活動などを活かせる“人間本位”の産業社会を創り上げていくことが重要となる。

よく耳にする“第四次産業革命”や“Society 5.0”との関係に関しては、大きな「技術の変化」である“第四次産業革命”を、最も大きな概念である「社会の変化」、すなわち“Society 5.0”につなげることが最終的に重要となるが、その間に産業は存在し、その「産業の在り方の変化」としては“Connected Industries”のコンセプトである“様々なつながりにより新たな付加価値創出と社会課題の解決”が鍵を握ると考えるものである(図131-2)。

図131-2 第四次産業革命をSociety 5.0につなげるConnected Industries

資料:経済産業省作成

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