企業間取引に関連するサービスビジネスが全体を押し上げた1月の第3次産業活動指数
2015.3.12
平成27年1月の第3次産業活動指数は,指数値100.4、前月比1.4%上昇となりました。昨年11月は0.1%上昇、12月は前月比横ばいでしたので、そこからすると大きな上昇幅となりました。
第3次産業活動指数が、100前後(コンマ1桁を四捨五入して100となる幅)となる月は、リーマンショックの発生した平成20年以降では決して多くはありません。
というよりは、リーマンショックの発生した2008年9月以降、同年12月に98.5と指数100を割り込んでからは、この100前後の水準に到達することなく、第3次産業活動指数は推移していました。
そして、ほぼ4年間の低迷期間を経て、平成25年、一昨年の2月に99.9という指数となり、そこから平成25年の年末まで100前後の水準で推移し、ご案内のように昨年、平成26年の1~3月には指数が急上昇し、増税後の4月に急落しました。
昨年4月から12月までは、緩やかに上昇しつつも、結局この100前後という水準には到達しませんでした。そこから、今年の1月は頭一つ抜け出したという様相です。
リーマンショック後、震災を挟んで、確実に回復してきた第3次産業活動指数も、消費増税という非常に大きな攪乱要因によって大きく上下動しましたが、巨視的にみたリーマンショック後の回復傾向の線上に復帰したような印象です。
1月の第3次産業活動指数の業種別の動きをみると、企業間取引の活発さを象徴する卸売業と運輸業が大きく伸び、個人消費を象徴する小売業と飲食関連が低下しているという構造になります。
また、1月の第3次産業総合の前月比1.4%上昇に対し、広義対個人サービスは前月比0.2%上昇と3ヶ月連続で上昇してはいますが、その上昇幅は小幅なものに留まっています。特に、選択性の強いし好的サービスでは、前月比▲0.4%低下と2か月連続低下となっています。
他方、広義対事業所サービスは、前月比2.3%上昇と、前月比横ばいの10月も含めて昨年の9月以来4か月ぶりの前月比上昇となりました。この対事業所サービスの上昇を牽引しているのは、卸売業の全般のほか、実質的には広告収入の割合が相当あるインターネット附随サービス業や「その他の広告」です。広告は、ビジネス活動に対する先行指標であるとか、統計的に検証すると遅行指標であるかと様々な評価はありますが、いずれにせよビジネスの活発化と連動していることは間違いありません。そのような広告の中でも、いわゆる4媒体広告でない広告関連が伸びているのが、1月の特徴かと思います。
このように1月は、商流、物流、ネット系広告といった、典型的なビジネスサポートサービスが伸張する一方で、対個人サービス、特に飲食、衣料品小売といった、個人消費を象徴するサービスが悪かったということになります。
全体的に言えば、本年1月の第3次産業活動指数は、持ち直し傾向にあったと言って良いと思います。昨年12月よりも持ち直しの勢いは多少増しているものと思います。
平成27年3月12日
経済産業省 経済解析室長 石塚
※結果概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/html/b2005_201501j.html
データ冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/pdf/hv37903_201501j.pdf
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