耐久消費財の出荷低迷により前回よりも大きくなった消費増税の影響
2015.3.20
平成26年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられてから約1年を迎えようとしており、増税による日本の産業活動への影響が引き続き注目されています。
そこで、前回の消費増税時(平成9年)における産業活動への影響と今回(平成26年)を比較しながら、平成26年4月に実施された増税の影響について確認してみました。
最初に、全産業活動指数を用いて、前回の消費増税時(平成9年4~6月期、以下、前回と表記)と今回(平成26年4~6月期、以下、今回と表記)、リーマンショック後のボトム(平成21年1~3月期)の3時点を比較しますと、消費増税時は内需型ビジネスである第3次産業の落ち込みが相対的に大きくなっています。
一方、同じ消費増税の影響を受けた前回と今回の2時点を比較しますと、今回は鉱工業生産の低下幅が相対的に大きく、回復の勢いも弱くなっています。
そこで、増税前前年の年間平均を100とした鉱工業出荷指数の動きを、前回と今回で比較してみますと、今回は増税が開始された4月から低下幅が大きく、前回より鉱工業出荷の落ち込みが大きくなっています。
さらにこれを国内向け、輸出向けにわけて前回との乖離の内訳を確認しますと、輸出向けは円安が進行しているにもかかわらず、平成26年を通じて出荷全体を押し下げていることがわかります。また、国内向けは増税から夏場までは前回との下方乖離を広げていましたが、9月以降は徐々に乖離幅を縮小させていることがわかります。
消費増税の影響をダイレクトに受ける国内向け出荷について、どのような財の出荷が前回より低下しているのかについて確認しますと、「耐久消費財」の出荷が落ち込んでいることがわかります。主にテレビなどの教養・娯楽用や、乗用車・二輪車の出荷が低迷しています。
一方、平成26年10月以降は「資本財」や「非耐久消費財」の出荷が持ち直し始めていることもわかり、特に「資本財」では「電力用」や「輸送用」を中心に出荷の持ち直しが感じられていることがわかります。
各種のグラフや内容をまとめたスライド資料をこちらにアップしておりますので、ご活用ください。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h26/h4a1502cs2.pdf
平成27年3月20日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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