平成２７年２月速報の鉱工業生産はマイナス３．４％の低下ですが、１月、２月を均せば、持ち直し傾向は続いています

２０１５．３．３０

　平成２７年２月の「生産」は，季節調整済指数９８．９で，前月比▲３．４％低下と３ヶ月ぶりの低下で、かなり大きく低下することになりました。やはり、１月の生産水準が非常に高く反動減的な動きが生じたことになります。
　先月２月の生産予測調査における２月見込みの前月比は、０．２％上昇ということでほぼ横ばい見込みでした。通常、ここから２％ポイント以上、実績の伸び率は低下するので、２月実績はマイナスになる可能性が高いというご説明はしておりましが、やはり想定よりは少し大きめの低下が生じたことになります。
　確かに、２月の指数値９８．９に近い数値は、昨年１２月の９８．７がありますが、実は昨年の消費増税直後の４月や５月の水準よりも多少低くなっており、結果的に慎重な生産となったことになります。
　とはいえ、鉱工業生産指数を計算すると、昨年の７月、つまり６月、７月、８月の平均値を底として、持ち直しの傾向が続いており、１月、２月を均せば、生産の勢いが低下しているということでもありません。

　２月の生産では、低下業種１２業種、上昇業種２業種、横ばい１業種となっています。２月の上昇２業種とは、「パルプ・紙・紙加工品工業」と「石油・石炭製品工業」なのですが、この２業種は１月の生産低下２業種そのままです。
　１月の生産上昇業種は１３業種（確報の食料品・たばこ工業を除く）でしたが、この内、化学工業を除く１２業種が前月比で低下しています。
　まさに、２月は反動減ということができるでしょう。
　その中でも、「はん用・生産用・業務用機械工業」「輸送機械工業」「電子部品・デバイス工業」の３業種の低下が、２月の鉱工業全体の低下を引き起こしており、この３業種で２月の生産低下分の３分の２を説明してしまいます。
　受注型製品の生産・出荷が一巡して典型的な反動減が生じた「はん用・生産用・業務用機械工業」、小型乗用車を中心に在庫水準が高く生産調整気味となっている輸送機械工業、春節前出荷の一巡とデジタル機器のモデルサイクルの端境期の影響で生産・出荷に一服感のある電子部品・デバイス工業のように、三者三様の要因が作用しているようです。
　
　３月以降の製造業の生産計画ついて調査する予測調査の結果ですが、３月見込みの前月比は、▲２．０％低下が見込まれており、４月予測の前月比は３．６％上昇という予測となっています。つまり、年度内３月は前月比低下見込みですが、年度明けの４月は前月比で大きく上昇する予測あるいは計画となっています。
　予測調査の結果は、実際には下方修正されることが多いのですが、ここ１年ほどの予測と実績の関係からすると、さすがに４月は前月比で上昇するものと思われます。予測や計画がどこまで実現するのかという点に関して、最大の懸念は、受注型製品の納期遅れがどれ位発生するのかということになるかと思います。

　先行きについてはともかくも、足元の鉱工業生産の実績については、今年の１月と２月を均せば、足元上昇傾向であるということに変わりはなく、２月生産の基調判断については据え置きとし、「緩やかな持ち直しの動き」のままとしたいと思います。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成２７年３月３０日　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　経済産業省　経済解析室長　石塚



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