経済産業省
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輸出向け出荷の大きな低下が主因となって、2月の鉱工業出荷は前月比大きく低下。国内向け出荷の2月前月比低下幅は、相対的に小幅にとどまる。

2015.4.7


 経済解析室では、鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内向け出荷と輸出向け出荷、国産品供給と輸入品供給を比較できるようにした「鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表」を毎月作成公表しております。今回は、これらの経済指標の平成27年2月分について簡単に説明いたします。

 平成27年2月の鉱工業出荷は1月と打って変わって、前月比▲3.4%低下となりましたが、その出荷の低下の主因は輸出向け出荷の低下で、前月比▲9.7%低下と1割近い低下となっています。
 輸出向け出荷が特に低下したのは、財別(需要先)分類では生産財と資本財で、業種別では輸送機械工業、「はん用・生産用・業務用機械工業」、そして電子部品・デバイス工業でした。北米の港湾ストや寒波の影響で荷揚げや輸送に支障が出て輸出が滞った面がある輸送機械工業、受注製品の輸出向け出荷が一巡し、年度明けに納期ズレが生じた「はん用・生産用・業務用機械工業」の資本財、春節前の東アジア向け出荷が一服した電子部品・デバイス工業の生産財が2月の輸出を押し下げていました。
 国内向け出荷は、「はん用・生産用・業務用機械工業」と電子部品・デバイス工業については前月比低下ですが、輸送機械工業については、前月比横ばいを維持しています。
 これらの機械工業の2月の不調とは裏腹に、鉄鋼業、化学工業、石油・石炭製品工業といった素材系の業種は前月比上昇となっており、重要な生産財である電子部品・デバイス工業の国内向け出荷が低下しているにもかかわらず、この素材系の3業種の前月比上昇によって、生産財の2月の国内向け出荷は上昇しており、けん引役が交代しつつも生産財の国内向け出荷は4か月連続の上昇となりました。

 一方、総供給を見てみると、前月比▲0.1%低下に留まっており、国内向け出荷の低下に比べると低下幅は小さくなっています。これは、2月の輸入品供給が前月比2.7%と上昇していることによります。2月の輸入品供給の増加の主因は、繊維工業のほぼ1.5倍という前月比急上昇です。
 繊維工業の2月の輸入浸透度(総供給に占める輸入比率)は6割となっています。同時に、2月の衣料関係品の名目販売額は前月比で大きく上昇しています。よって、輸入品が増加することも頷けるところではあります。
 なお、2月の輸入品供給においては、鉱業の原油や天然ガス、石油・石炭製品工業のナフサやB・C重油といったエネルギー源となる財の輸入が低下する一方で、石油・石炭製品工業の国産品供給が増加しています。石油・石炭製品工業については、全体的に不調であった鉱工業生産・出荷に対し、生産も出荷も前月比上昇、在庫は低下させており、生産活動が旺盛な状況となっています。

 この面からも、2月の国内取引では素材系やエネルギー系の業種は好調で、2月の機械工業は内外の取引で不調ということが分かるかと思います。


                    平成27年4月7日  
                    経済産業省 経済解析室長 石塚


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