平成27年3月速報の鉱工業生産はマイナス0.3%の低下ですが、1-3月期は前期比1.7%上昇となり、鉱工業生産の持ち直し傾向は続いています
2015.4.30
平成27年3月の「生産」は、季節調整済指数98.6で、前月比▲0.3%低下と2か月連続の低下とはなりましたが、低下幅自体は小幅なものとなりました。1月の大幅上昇、2月の大幅低下からすれば、横ばいと言っても過言ではないかと思います。
季節調整済指数の値も、昨年12月が98.1だったことに対し、3月が98.6ですので、年明け2か月間の変動を除けば、鉱工業生産は上昇していることになります。
また、3月の前年同月比は、▲1.2%です。駆け込み需要期で生産・出荷の水準の高かった時期との対比ですので、前年同月比がマイナスになるのは当然です。一昨年、2013年3月(2013年3月原指数102.4)との比較では、平成25年同月比プラス6.2%です(昨年3月の前年同月比7.4+今年3月の前年同月比▲1.2=6.2と一致)。2年前に比べて6%以上の伸びですので、3月の水準自体もそれ程低いということではありません。
そして、今年の第1四半期の鉱工業生産は、指数値99.9、前期比1.7%上昇で、これで2期連続の前期比上昇となりました。後方3か月移動平均で見ても3月までの鉱工業生産は7月を底に上昇基調となっています。このような面からも、3月は確かに2か月連続の前月比低下とはなりましたが、基調的に悪くなっているとは言えないと思います。
3月の鉱工業生産の前月比低下は、電気機械工業や石油・石炭製品工業、金属製品工業の前月比低下が中心的役割を果たしています。
他方、3月の生産上昇業種については、輸送機械工業、情報通信機械工業、「はん用・生産用・業務用機械工業」、電子部品・デバイス工業、パルプ・紙・紙加工品工業の5業種となっています。2月に低下した輸送機械工業、「はん用・生産用・業務用機械工業」、電子部品・デバイス工業という昨年後半の鉱工業生産の回復を先導した好調3業種が、3月に生産増に転じ、あわせて情報通信機械工業においては、通信事業者の設備投資需要によって押し上げられているということになります。パルプ・紙・紙加工品工業は、年明け2か月連続の上昇です。
4月の予測調査の先行きについては、3月実績が3月見込みを上回った上で、4月は前月比2.1%上昇となりますが、5月は▲0.3%低下と予測されています。
4月の上昇は海外からの発注や国内の大口案件による「はん用・生産用・業務用機械工業」や電気機械工業の生産増加によるものです。他方、5月の低下は、輸送機械工業の大幅な生産調整によるものです。輸送機械工業の生産計画の2か月連続の低下にもかかわらず、4月の見込みは上昇、5月の予測の低下幅が小幅にとどまっているのは、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、電気機械工業という電気・電子工業が2か月連続で増産を予定しているからです。
電気・電子工業の好調さが持続されている間に、是非とも輸送機械工業の在庫調整に目処がついて欲しいところです。
平成27年4月30日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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