11か月ぶりに前月比低下となった3月の第3次産業活動指数
2015.5.18
平成27年3月の第3次産業活動指数は、指数値99.5、前月比▲1.0%低下となりました。これは昨年4月に前月比低下となって以来の11か月ぶりの前月比低下です。
3月の第3次産業活動指数の業種別の動きをみると、「卸売業、小売業」の低下寄与が非常に大きく、特に卸売業の低下幅が全体を押し下げています。卸売業の低下については、公共工事などの建設活動などに一服感が出てきた「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」や「飲食料品卸売業」の低下が目立ちます。
第3次産業活動指数を、対個人サービスと対事業所サービスに分けた系列で比較すると、両系列とも前月比低下なのですが、対個人が前月比▲0.2%低下に留まる一方で、対事業所が前月比▲1.8%低下となっています。対事業所は、昨年5月以降今年2月まで前月比上昇が続いていましたが、3次総合と同様に、11か月ぶりの前月比低下となりました。他方、対個人は2か月連続の低下となりました。
対個人サービスの内訳をみると、生活必需的性格の強い非選択的サービスの系列が前月比▲0.2%低下と2か月連続で低下している一方で、景気への感応が高いと思われるし好的サービスの系列は前月比0.8%上昇と2か月連続の上昇となっています。3月のし好的サービスの系列を牽引したのは、「食堂、レストラン、専門店」や機械器具小売業でした。また、3次指数に占めるウェイトが高い主要業種のうち、3月は「情報通信業」と「生活関連サービス業、娯楽業」が前月比上昇でしたが、ここでも生活を楽しむための消費行動に関連する系列が好調で、ゲームソフトの販売が好調なソフトウエア業や、好調なシーズンインとなったスポーツ関連の「興行団」が上昇しています。総じて言うと、生活必需的な個人サービスや企業の生産活動を支えるサービス産業活動に一服感は見られるものの、選択性の高い個人サービスは今年に入って引き続き順調といえます。
他方、対事業所サービスが11か月ぶりに低下したことが、3次総合の11か月ぶりの前月比低下に響いています。輸出や更新投資が活発化して、金融取引や企業間の卸取引が上昇していたため、昨年の消費増税後の第3次産業活動指数の回復を牽引してきたのが、対事業所サービスでした。それゆえ、3月の対事業所サービスの久々の前月比低下が、何らかの転換点を意味しているのか、4月以降の数値を注視していくことが必要です。また、事業活動、企業間取引から、個人のサービス消費へのバトンタッチがうまくいくかも観察してきたいと思います。
全体的に言えば、本年3月の第3次産業活動指数は、引き続き持ち直し傾向にあったと言えると思います。
ちなみに、この第3次産業活動指数と、鉱工業指数を、基準年(2005年)の付加価値発生割合で加重平均した産業活動統合指数(日本の産業活動に対するカバレッジ約8割)の平成27年3月分は、前月比▲0.9%低下と2か月連続の低下となりました。2か月連続前月比低下とはいえ、指数水準は、昨年4月から11月までの水準は超えており、12月の水準と同じレベルですので、それ程下がっているということではありません。また、今年1―3月期は3期連続の前期比上昇、上昇幅も昨年の第4四半期の上昇幅と同じで、回復の勢いが衰えているということではありません。
平成27年5月18日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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