今年の第1四半期では、全産業活動指数の前期比は3期連続の上昇。事業向けの財やサービスが増税後の回復のけん引役だが、個人向けの耐久消費財は回復道半ば。
2015.6.5
平成27年第1四半期(1~3月期)の全産業活動指数は、前期比0.3%上昇となりました。増税直後の昨年第2四半期こそ前期比マイナスとなりましたが、それ以降は3期連続の前期比上昇です。産業別では、建設業活動は前期比低下となっていましたが、第3次産業、鉱工業ともに前期比で上昇しています。
鉱工業生産の動向を見ると、第1四半期の前期比は1.5%上昇で2期連続の上昇でした。財別(用途別)でみると、耐久消費財、資本財の前期比上昇の影響が大きくなっています。ただ、耐久消費財の生産水準は、昨年第2四半期も下回っている状態ですので、水準として高くなっているということではありません。業種別では、「はん用・生産用・業務用機械工業」を筆頭に全16業種のうち、12業種が前期比上昇となりました。
鉱工業出荷については、前期比1.7%上昇と、こちらは2期連続の上昇でした。内外需別にみると、国内向け出荷は前期比1.9%上昇と2期連続で、輸出向け出荷が前期比0.4%上昇と4期連続の上昇でした。今年の第1四半期の鉱工業出荷の上昇は、ほとんど国内向け出荷の増加によるものでした。とはいえ、輸出向け出荷の昨年第4四半期の前期比上昇幅は、4.1%と非常に高く、今年の第1四半期の輸出向け出荷は、その水準を維持しているので、高水準です。
鉱工業在庫については、前期末比1.0%上昇と5期連続の上昇となり、鉱工業全体の在庫増加の方向性は変わりませんでした。財別に見ると、資本財だけが在庫増加となっており、他の財別分類では、在庫は低下しています。土木建設機械において、特殊要因によって在庫が積み上がっている面があります。そのため、業種別にみても、土木建設機械を含む「はん用・生産用・業務用機械工業」の在庫上昇への影響が大きく、この業種を含む6業種で在庫が前期末比で上昇しています。在庫循環も、今年の第1四半期では、前期に引き続き「在庫積み上がり局面」にありました。
また、今年の第1四半期末の製造工業生産能力指数は、前期末比0.2%上昇と2期連続の上昇となっています。稼働率指数も前期比1.0%上昇と2期連続の上昇となっており、稼働率上昇、能力増強という動きが見え始めました。
第3次産業の活動動向をみると、前期比0.7%上昇と3期連続の上昇でした。業種別では「卸売業、小売業」が3期連続で上昇するなど、13業種のうち7業種が前期比で上昇しています。
第3次産業を「対事業所」「対個人」に分けて見てみると、「広義対事業所サービス」が前期比0.8%上昇、「広義対個人サービス」が0.6%上昇と、ともに3期連続の前期比上昇となっています。
昨年の第3四半期からの前期比上昇をけん引しているのは、「広義対事業所サービス」で、今年の第1四半期についても、「広義対事業所サービス」の上昇の寄与が大きくなっています。
概して言えば、昨年の増税後の回復を先導したのは、輸出や設備投資、そのための対事業所サービスで、個人消費については、いまだ道半ばという状態で、特に今年第1四半期の耐久消費財の生産は、増税直後の昨年第2四半期のレベルを割り込んでおり、気になるところです。
これらのデータをグラフ化した資料を「ミニ経済分析」として、アップしておりますので、是非お目通しください。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini021j.pdf
平成27年6月5日
経済産業省 経済解析室長 石塚
<おしらせ>
○本メールに記載された数値や内容は他に転載、引用していただいて構いません。また、クリエイティブコモンズCCBY( http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ )の条件でご利用ください。
○このメール自体を転送していただくことも歓迎します。
○問い合わせ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室 解析班
Tel : 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL:bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)