55か月ぶりに前年同月比上昇となった4月の生産能力指数
2015.6.12
平成27年4月の製造工業稼働率指数は99.4で、前月比▲0.4%低下、同じく生産能力指数は95.4で、前月比▲0.1%低下でした。稼働率は3か月連続の低下となり、生産能力も2か月連続の低下となりました。
4月の稼働率は10業種で前月比低下、4業種で上昇となっています。
稼働率低下業種の中で、特に製造業全体の稼働率を引き下げているのは輸送機械工業、その他工業、情報通信機械工業です。その中でも輸送機械工業の影響が非常に大きくなっています。その他工業の生産を押し下げている品目も乗用車用タイヤであり、普通乗用車や軽乗用車の生産も4月は低下していましたので、4月の稼働率低下の要因は、乗用車関係の生産が落ち込んだことによります。
4月の生産能力は5業種で前月比低下、5業種で上昇、4業種は横ばいとなっています。
年度の切り替わりでは、素材系・プロセス系業種を中心に生産能力を引き下げるということが、ここ数年続いていましたが、今年も同様で、化学工業、鉄鋼業、石油・石炭製品工業といったプロセス系の業種の生産能力が前月との比較で低下していました。
とはいえ、生産能力の水準という意味では少し異なる動きが出ており、4月の生産能力は前年同月比がプラス0.2%と、55か月ぶりに前年同月比が上昇となりました。言い換えれば、昨年4月以降、国内製造業は傾向的には生産能力を増加させてきたということになります。この4月の生産能力が5月以降大きく低下することがなければ、来年1月までは、数値上は前年水準を上回ることとなりそうです。そうなると、能力増強投資に向けた勢いが増すのかどうか、方向感が重要になってくることになります。
昨年後半以降、生産能力の月々の動きを能力増加方向に牽引していたのは、機械工業であり、機械工業の生産能力は4月も横ばいに留まっています。機械工業以外の製造業には、引き続き設備廃棄や操業中止による国内生産能力の削減圧力がありますが、この圧力を好調なはん用・生産用・業務用機械工業等の機械工業の能力増強投資が上回るかが重要なところかと思います。
○データ公表冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2010_201504nj.pdf
○参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/sanko_201504.pdf
○鉱工業指数のしくみと見方
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/pdf/b2010_mechanism_iipj.pdf
平成27年6月12日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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