鉱工業出荷をけん引した輸出・国内供給を補う輸入
2015.6.15
鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内向け出荷と輸出向け出荷、国産品供給と輸入品供給を比較できるようにした「鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表」の平成27年4月分についてお知らせしたいと思います。
平成27年4月の鉱工業出荷は前月比0.6%の上昇です。その内、輸出向け出荷は指数値102.6、前月比2.9%上昇と2か月連続の上昇です。他方、国内向け出荷は指数値96.2、前月比▲1.0%低下と3か月連続の低下となりました。
4月の国内向け出荷を低下させた業種は、輸送機械工業や情報通信機械工業でした。やはり、乗用車を中心とした耐久消費財の国内向け出荷が大きく全体を低下させています。他方、3月の建設業活動指数は前月比上昇に転じており、建設財の国内向け出荷は前月比6.9%上昇でした。
輸出向け出荷については、石油・石炭製品工業や鉄鋼業の輸出の増加が、輸出向け出荷の増加に寄与しています。石油・石炭製品工業は、3月の輸出向け出荷が前月比▲43.8%低下と大幅低下であったのが、この4月は前月比48.1%上昇ですので、ほぼ反動増ということかと思います。石油精製品については、日本企業は精製能力の過剰感などから、常に輸出志向を持たれているそうなので、4月は原油価格が多少戻り始める時期であったこともあり、石油精製品の輸出環境が良かったのかも知れません。鉄鋼業については、米国向けやASEAN向けの輸出が2か月ぶりに好転しており、輸出を押し上げたようです。この他にも、輸出については企業の部材や燃料として用いられる生産財の輸出向け出荷が4月は好調です。
輸入品と国産品を合算した総供給指数は、前月比0.7%上昇と3か月ぶりの上昇となりました。その中でも、輸入品供給指数は前月比6.2%上昇と2か月ぶりの上昇となり、水準も今年2月の高水準に次ぐレベルとなっています。
輸入品供給を上昇させているのは、原油などの鉱業と化学工業です。原油については、4月は石油・石炭製品工業の国内生産も多く、そもそも今年の2月、3月と輸入品供給が2か月連続で低下していましたので、需要が旺盛になっていたものと思われます。付け加えれば、原油を需要する石油・石炭製品工業の生産者在庫は、昨年12月から4月までの5か月連続、在庫率も4か月連続で前月比は低下しており、多少需給の逼迫感があったものと思われます。化学工業については、基礎化学品の輸入が4月に増加しています。4月の生産能力指数でも化学工業の能力低下は大きく出ていました。川下製品の廃業もありますが、川上製品の設備停止や能力見直しが生じており、政策的措置からも基礎化学品の国内生産は抑制される方向です。その分、基礎化学品の輸入供給が増える地合にはあります。
4月は耐久消費財の国内向け出荷は前月比低下でしたが、石油・石炭製品工業や鉄鋼業の輸出が好調で、鉱工業出荷全体は0.6%上昇でした。国内向けの国産品供給は低下しましたが、原油や基礎化学品の輸入品供給が増えたので、鉱工業総供給は前月比上昇となりました。ただ、今月の状況としましては、鉱工業生産も前月比増加、その活動を支える生産財の総供給もプラスではありますが、その生産財供給の増分が輸入品供給となっている点が多少気になるところです。
○データ公表冊子(このリンク先は最新の公表データに更新されています)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-2/pdf/b2010_blnc.pdf
○結果の概要(このリンク先は最新の公表データに更新されています)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-2/pdf/b2010_blnc_getsujigaiyo.pdf
○参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/sanko_201504.pdf
平成27年6月15日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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