民間企業の設備投資に関連する民間土木・非住宅が上昇した4月の建設業活動指数
2015.6.25
平成27年4月の建設業活動指数は、指数値86.1、前月比3.5%と2か月連続の前月比上昇となりました。前月比3.5%という上昇幅は、17年基準では5番目となる比較的大きなものです。
民間の建設活動の全体を表す「民間・建築・土木活動指数」は、前月比3.2%と4か月連続で前月比上昇となりました。民間の建設活動は、昨年1年間を通じて前月比マイナスで推移していましたが、年明け1月からは、前月比プラスが続いており、前月比上昇幅も拡大しています。今月は消費増税に伴う駆け込みの反動から緩やかに持ち直している住宅建設が引き続き前月比プラスとなったことに加えて、企業の設備投資に関連する民間土木と民間非住宅がそれぞれ前月比11.7%、4.2%と比較的大きな上昇となったのが目立ちます。
2桁の上昇となった民間土木について、国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」で受注状況を確認すると、民間等からの土木工事の請負金額は、今年1月から4か月連続で前年同月比増加となっています。年初来の民間企業の発注が、この4月に出来高という形で建設業活動指数に表れてきたということになります。
もう一方の、公共の建設活動を表す「公共・建築・土木活動指数」は、昨年5月から10月までは前月比プラスで推移した後11月から前月比マイナス基調に変化していましたが、今月は土木、建築ともに上昇したことから、5.8%の上昇と久々に大きな上昇となりました。先月のメルマガでは建設活動の先行きについて「昨年のように年度明け5月以降、今年度分の公共事業の発注が進めば、住宅建築の上昇と相まって、全体を押し上げてくれることを期待することができます」と申し上げましたが、予想より早く4月に公共が大きく上昇となりました。
4月は、公共部門の早めの上昇に加え、民間部門においても、住宅建築の持ち直しの動きが継続する中、企業の設備投資関連の民間土木と非住宅がそろって好調だったことから、建設業活動指数全体では比較的大きな上昇となりました。
この建設業活動指数と、既に公表している鉱工業生産指数、第3次産業活動指数などを加重平均した全産業活動指数の4月分も計算しています。
平成27年4月の全産業活動指数は、指数値96.6、前月比0.1%と2か月ぶりの上昇となりました。
全産業活動指数は、昨年8月から今年の2月まで7か月連続の前月比上昇と消費増税後の反動減から順調に回復し2月の指数水準は駆け込み需要期の一昨年12月に近いレベルに近づきましたが、3月は鉱工業生産、第3次産業ともに前月比マイナスとなり全産業活動指数は昨年6月以来の前月比低下となりました。
4月は、第3次産業の低下を建設業活動指数、鉱工業生産が補い、小幅ではありますが再び上昇に転じました。特に、4月は建設業活動指数の全体への寄与が、鉱工業生産指数の寄与に比べて多少小さいという程度で、全産業の活動状況を上にけん引していました。確かに、鉱工業では建設財の出荷が3か月ぶりに前月比上昇、それも6.5%上昇と大きく上昇していましたし、橋りょうや鉄骨、せっこうボードといった品目の生産も好調でした。サービスの面でも、土木・建築サービス業が4月に大きく前月比上昇したほか、建築材料卸売業も上昇していました。
全産業活動指数は足下で一服といった状況にみえますが、この建設投資の活発さが、鉱工業生産や第3次産業へと「飛び火」して、5月以降、継続的な回復へとつながるか、今後の動向を注視して参りたいと思います。
○データ公表冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2005_201504j.html
平成27年6月25日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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