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平成27年5月速報の鉱工業生産は前月比▲2.2%低下、基調判断を「一進一退」に引き下げ

2015.6.29


 平成27年5月の「生産」は、季節調整済指数97.1で、前月比▲2.2%低下と2か月ぶりの低下、「出荷」についても、指数値96.0、前月比▲1.9%低下と生産と同様に2か月ぶりの低下となりました。一方、「在庫」は生産に比べて出荷の低下幅が小さかったために前月比▲0.8%低下となりましたが、在庫過剰感は解消されておらず、「在庫率」は上昇しています。
 このように、5月の生産活動はあまり良い状況とは言えません。よって、鉱工業生産の基調判断については「一進一退」と、4月までの「緩やかな持ち直し」から一段引き下げました。

 5月の生産について業種別に見ますと、15業種のうち、低下12業種、上昇3業種となっています。また、出荷についても、低下13業種、上昇2業種と、こちらも多くの業種で低下となっています。
 生産低下の主因は、寄与1位の輸送機械工業で、5月の鉱工業生産の低下のほぼ半分を説明しています。この要因は普通乗用車で、5月の国内販売も4月との比較で今一つ伸びておらず、この普通乗用車の生産抑制が鮮明になってきています。出荷を下押ししているのも、輸送機械工業、普通乗用車でした。5月のアメリカ向け輸出はそこそこでしたが、全体的には今一つで、特にアメリカ向けに次ぐシェアの欧州向けが大分悪くなっています。
 出荷低下の主因も輸送機械工業ですが、その中でも船舶や鉄道車両などを除いた自動車関連で計算すると、5月の出荷低下の70%以上を説明できることからも、自動車関連出荷の低下寄与が非常に大きかったことがうかがえます。
 5月については、普通乗用車の出荷の落ち込みが大きくなっていますが、軽乗用車や小型乗用車も前月比マイナスとなっており、乗用車については全般的に出荷が悪い状況となっています。

 このように生産、出荷ともに、輸送機械工業の低迷の影響が大きくなっています。また、春節の影響で2月に生産が一時的に低下するということはありましたが、昨年の8月以降高い生産、出荷の水準を維持していた電子部品・デバイス工業の生産が、スマホ需要の鈍化等から大きめの低下を見せているのも5月の特徴です。

 なお、6月の予測調査の結果を見ますと、6月の生産は前月比1.5%上昇が見込まれ、7月も前月比0.6%上昇という予測になっています。しかし、これらの予測は、2%程下方修正されることが常であることを考えると、6月の生産実績が前月比プラスを維持するかどうかは、予断を許さないものと思っています。


                    平成27年6月29日     
                    経済産業省 経済解析室長 石塚


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