3か月連続で低下するも、個人向けサービスは堅調だった第3次産業活動指数
2015.7.14
平成27年5月の第3次産業活動指数は、指数値98.6、前月比▲0.7%低下と3か月連続の低下となりました。昨年の5月から今年の2月まで、前月比がプラス、ないしは横ばいでしたが、ここに来て第3次産業の活動は停滞ぎみとなっています。
第3次産業活動を対事業所向けと対個人向けに分けてみると、「広義対事業所サービス」が前月比▲1.0%と大きく低下している一方で、「広義対個人サービス」は前月比0.1%上昇でした。特に、この個人向けサービスのうち、選択性の強い「し好的個人向けサービス」が前月比1.0%上昇と、個人向けサービスを押し上げています。「し好的個人向けサービス」は今年に入って上昇傾向となっており、指数水準も98.5と、昨年5月以降の1年間強の中では今年の3月に次いで2番目に高い水準です。
5月の「し好的個人向けサービス」の中で比較的好調であった個別系列を見てみると、外食関連、娯楽関連(スポーツ観戦)、そしてホームセンターやデパートでの買い物、服飾関係の買い物といったものが並んでいます。景気動向の影響を受けやすい「し好的個人向けサービス」は変動が大きく、3月は前月比上昇、4月は低下となっていましたので、6月以降も楽観できません。とはいえ、外食や娯楽関係を中心に、天候や曜日等の条件が揃うと、それなりにこれらのサービスビジネスの活動量は増えるような状況になっているのかも知れません。
翻って、多少調子に変調を来しているのが、事業所向けのサービスです。「広義対事業所サービス」は、第3次産業総合と同じく昨年の5月から今年の2月まで、前月比がプラス、ないしは横ばいでしたが、今年3月、そしてこの5月と、前月比が低下しています。昨年の消費増税後に第3次産業活動指数の回復をけん引したのは「対事業所サービス」なのですが、その事業所向けサービスの方向感が少し変わってきたように見えます。
確かに、4月の「広義対事業所向けサービス」は前月比プラスですが、プラス寄与の大部分は土木・建築サービス業で、この業種以外では事業所向けサービスも全体的に好調であったとは言いにくい面があります。5月の土木・建築サービスが低下に転じたことが、5月の対事業所サービスの前月比低下に作用していることは間違い有りませんが、その影響度は全体を通じて圧倒的ということでもなく、やはり事業所向けサービス全体の方向感が低調になっているようです。
鉱工業生産指数も5月は2か月ぶりの低下で、今年2月以降不調な国内向け出荷を補っていた輸出向け出荷が5月には大きく前月比低下となるなど、鉱工業の活動レベルが多少落ちてきています。この動きと併走する形で、サービスの分野においてもBtoBのサービスビジネスの勢いが少し落ちてきているようです。対事業所サービスから、個人向けサービスへのバトンタッチがうまく行くことを期待したいところです。
平成27年7月14日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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