軽乗用車と土木建設機械によって積み上がっている鉱工業在庫の動向
2015.7.27
消費税が引上げられた平成26年4月以降、在庫は上昇を続けています。生産と在庫の動きから評価を行う在庫循環図をみても、平成26年第1四半期以降は在庫積み上がり局面へ向けて推移しています。
この在庫の上昇について業種別にみると、微増、微減の業種がほとんどですが、はん用・生産用・業務用機械工業と輸送機械工業の2業種が、大幅に在庫を積み上げており、これが鉱工業全体の在庫を引き上げる要因となっています。さらに、この2業種の中でも、土木建設機械と乗用車が、大幅に在庫を積み上げています。
内訳品目をみると、ショベル系掘削機、小型乗用車、軽乗用車、建設用クレーンの4品目がその要因であることがわかります。
これらの在庫が積み上がっている背景をみてみます。
土木建設機械の場合、土木・建設機械レンタルが伸びていること、昨年末までは公共土木が堅調であったし、年明けからは民間の建築活動も回復していることから、土木建設機械に対する需要は堅調であることが見込まれます。
一方、乗用車、特に平成26年4月を境に急に在庫が積み増しされた軽乗用車をみると、平成26年を通しては過去最高の販売を記録しましたが、月次の季節調整値をみると、昨年7月には出荷が急落しています。確かに、その後出荷が回復するようにもみえましたが、平成27年に入ってから再び販売が急落し、その結果在庫が積み上がりました。
それぞれ品目の背景をみてもわかるとおり、在庫が積み上がっていても、品目によって需要や出荷の状況は一様ではありません。
こうした出荷と在庫の動きを整理し、連動させて指標化したのが“在庫率指数”です。
在庫率指数は、在庫/出荷で求めた在庫率を指数化したものです。
在庫水準が低い中での高在庫率、在庫水準が高い中での低在庫率は、在庫水準だけで経済状態を評価すべきでないことの「印」となります。こうした状況の時は、在庫率も併用して評価をすると、現状の把握に役立ちます。
現在の在庫水準は、歴史的にみて極端に高い状態ではありません。また、特殊要因のある土木建設機械を除外した在庫指数を試算すると、年明けから低下してきています。
ただし、在庫率は景気後退局面のレベルになってきていることに留意する必要があるでしょう。
こういった在庫指数の動きや在庫率指数についての説明を、一連のスライド資料としてまとめ、下記のURLにPDFファイルをアップしておりますので、是非お目通しください。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini027j.pdf
平成27年7月27日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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