4か月ぶりの上昇だが高評価とはならず、基調的には足踏みがみられる ~6月の3次指数~
2015.8.14
平成27年6月の第3次産業活動指数は、指数値99.0、前月比0.3%上昇と4か月ぶりの上昇となりました。ただし、3か月連続で前月比マイナスが続いた後の上昇としてはいささか力強さに欠け、上昇幅としては小幅と言わざるを得ません。2月から5月までで指数値が▲1.6%低下しており、6月分の0.3%の上昇があっても、近時のピークである今年2月からはまだ1%以上も低い水準であるからです。4か月ぶりの上昇と言ってもあまり高く評価することはできないものと思います。
第3次産業活動を対事業所向けと対個人向けに分けてみてみると、「広義対事業所サービス」が2か月ぶりに0.3%上昇している一方で、「広義対個人サービス」は横ばいとなりました。さらに内訳をみると、生活必需的性格の強い「非選択的個人向けサービス」は上昇しましたが、所得環境や天候の影響を受けやすい「し好的個人サービス」は▲1.5%と大きく低下しています。天候不順(梅雨)で外食や観光・娯楽、ショッピングへの出足が鈍くなり、指数を押し下げました。低下寄与が大きかったのは、各種の小売業とスポーツ観戦関係の系列です。また、近時比較的良好に推移している観光関連産業も、6月は▲0.5%と3か月ぶりの低下となっています。7月は天候が回復しているようでしたし、百貨店の7月の売上げも良かったという報道もありましたので、7月に「し好的個人向けサービス」が回復していたかどうか、期待してみていきたいと思います。
業種別では、上昇寄与が最も高かったのは「情報通信業」、特に情報サービス業の寄与が大きくなっています。鉱工業生産においても情報通信機械工業が企業のIT投資の活発化を受け、企業向けのコンピュータの生産が好調でした。企業からのソフトウェア開発の発注も多く、情報サービス業は好調でした。他方、「卸売業、小売業」、特に小売業の低下寄与が大きくなっています。家電量販店に代表される機械器具小売業、ホームセンターなどに代表される「その他の小売業」の低下が影響しました。また、「飲食店、飲食サービス業」の低下寄与も大きくなっており、業種別に見ても、やはり天候の悪影響を受けた個人向けのサービス関連業種が全体を押し下げています。
四半期に目を向けると、今年の4-6月期の3次指数は、指数値99.0、前期比▲0.9%低下と4期ぶりの低下となりました。上昇が9業種、横ばいが1業種で、低下は3業種に留まります。その数少ない低下業種の中でも、低下寄与が圧倒的に大きいのが「卸売業、小売業」、特に卸売業です。対個人向けサービスは前期比▲0.3%でしたが、対事業所向けサービスは▲0.9%の低下で、1、2月の指数値97に近い水準から、足元の指数値95のレベルにまで、ここ数か月で下がってきています。国内拠点における鉱工業生産・メーカー出荷が停滞した第2四半期を反映して、卸売業、そして対事業所向けサービスが、4-6月期の3次指数を押し下げた格好になります。他方、企業のIT投資は活発で、情報サービス業が好調であるなど、技術サービス業や専門サービス業などが上昇していきています。7月の製造工業生産予測調査では、7、8月の生産は2か月連続の生産上昇予測になっていますので、再び対事業所サービスが上向いてくることを期待したいところです。
平成27年8月14日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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