平成27年7月の鉱工業指数は生産、出荷、在庫、在庫率ともに低下数
2015.8.31
平成27年7月の鉱工業生産指数の速報は、季節調整済指数97.7、前月比▲0.6%、出荷についても指数値96.3、前月比▲0.3%と、ともに2か月ぶりの低下となりました。また、生産の低下の方が出荷の低下よりも大きかったため、在庫についても指数値113.7、前月比▲0.8%と2か月ぶりの低下となり、在庫率については、指数値112.2、前月比▲1.1%と2か月連続の低下となりました。
7月の鉱工業生産を業種別にみますと、15業種中、低下10業種、上昇5業種となっており、このうち、生産の低下に寄与した上位3業種は、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業、情報通信機械工業となっています。
電子部品・デバイス工業については、スマートフォンやタブレット向けの部品の生産が停滞しており、これで3か月連続して生産・出荷は前月比低下しています。情報通信機械工業については、6月まで企業のIT投資向けに生産・出荷が好調だったパソコン等に一服感が出ているようです。
生産低下寄与2位の輸送機械工業については、乗用車関係はそれほど悪化している訳ではありません。乗用車の生産指数は前月比0.1%上昇でほぼ横ばい(「乗用車・バス・トラック」では、前月比0.5%上昇)です。つまり、通常、輸送機械工業の動きを司っている乗用車の動きが7月は小さいために、それ以外の品目の変動が目立っているということです。
出荷については、15業種中、低下8業種、上昇7業種となっていますが、出荷の業種別の動きは少し生産とは違っておりました。
出荷低下に最も影響を及ぼした電子部品・デバイス工業と、3番目に寄与した情報通信機械工業は、ほぼ生産と同様品目の出荷が低下したことによりますが、生産と違って出荷低下に2番目に寄与したのは石油・石炭製品工業でした。これは、(1)7月は降水量が多く、上旬は気温も低かったため、冷房需要がそれ程伸びず、結果、発電量も伸びなかったことにより、重油等の出荷が減少していること、(2)灯油については、不需要期であることに加え、ジェット燃料への生産転換が行われたために出荷が低下したということだそうです。
他方、生産低下寄与の大きかった輸送機械工業の7月の出荷は、乗用車や鋼船の出荷増加により、前月比で上昇していました。
在庫については、低下寄与の第1位は、輸送機械工業でした。軽乗用車の在庫は7月も増えているのですが、普通乗用車や小型乗用車の在庫が低下したため、輸送機械工業の7月の在庫は、前月比▲6.2%低下、前年同月比も▲5.2%と14か月ぶりに低下となり、輸送機械工業の在庫の天井が見えてきたようです。ちなみに、在庫率も7月に大きく改善し、前月比▲9.2%と大きく低下しています。
なお、8月実施の製造工業生産予測調査の結果では、8月は情報通信機械工業等の増加により前月比2.8%の上昇を見込んでいますが、9月についてははん用・生産用・業務用機械工業等の減少により前月比▲1.7%低下という予測となっており、先行きについても一進一退という結果となっています。
このように、7月の鉱工業については、生産、出荷、在庫、在庫率とも低下し、一言でいえば生産調整の月だったということになります。このような状況を踏まえ、7月の鉱工業生産の基調判断については、「一進一退」と、5月速報から変更した基調判断を据え置いています。
○結果の概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
平成27年8月31日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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