平成27年8月の鉱工業生産は輸出の影響により2か月連続低下
2015.10.1
平成27年8月の鉱工業生産指数の速報は、季節調整済指数97.0、前月比▲0.5%、出荷についても指数値95.7、同▲0.5%と、ともに2か月連続の低下となりました。また、在庫は指数値114.1、同0.4%と2か月ぶり、在庫率は指数値119.1、同6.1%と3か月ぶりの上昇となりました。
8月初旬に実施した生産予測調査では、8月生産見込みが前月比2.8%上昇でした。しかし、中国経済の減速イメージの世界への波及などもあって、貿易統計でみる限り、輸出は中国のみならず、北米向け、欧州向けも悪く、低下していると思われます。また、設備関連機械の輸出向けを中心に納期の先送りや発注のキャンセルも発生しており、こうした要因から当初の強気の生産予測が実現されず、今回の同▲0.5%低下という結果になったと考えています。
なお、生産の前年同月比は、かろうじて0.2%の上昇とはなりましたが、昨年8月は消費増税の影響で低水準の時でしたので、増税の影響のない平成25年8月と比較すると▲2.8%低下となり、生産水準は大分低い状態になってしまっています。
一方、8月の出荷についても、生産と同じく2か月連続の低下となりました。前年同月比は0.8%上昇ではありますが、一昨年の平成25年8月との比較では▲3.3%低下となりますので、出荷水準もあまり良くありません。
8月の生産、出荷の状況を業種別にみると、生産は15業種のうち、低下10業種、上昇5業種となっています。同じく出荷についても、低下10業種、上昇5業種でした。
生産と出荷の低下に大きく寄与したのは、はん用・生産用・業務用機械工業です。ショベル系掘削機械については、排ガス規制変更の経過措置が終了するため、「作りだめ」から「取り崩し」へ移行となり生産が低下しました。このほか、生産における専用機やマシニングセンタ等の加工機械、出荷における一般用蒸気タービンや水管ボイラについては、先月大幅に上昇した反動減という面もありますが、中国、北米向けを中心に輸出の低下も響いており、これは電気機械工業の開閉制御装置なども同様の状況です。ただし、エアコンについては、出荷は出ているものの、在庫水準が高いため、その取り崩しで対応し、生産自体は抑制しています。
今後の動向ですが、9月の予測調査の結果では、9月見込みの前月比は0.1%上昇、10月予測の前月比は4.4%上昇を見込んでいます。
9月の見込みについては、かろうじて前月比プラスではありますが、前回調査からは▲2.4%マイナスとなっているので、水準としては高くありません。通例では、ここから更に実績で下方修正されますので、そうすると9月の実績はマイナスになる公算が大きいと思います。
10月の予測については、前月比4.4%上昇と前回の8月分の見込みにも増して大きな上昇予測になっていますが、これらが本当に実現するかどうかは慎重にみていった方が良いと思います。
以上、8月の鉱工業については、生産、出荷は前月比で2か月連続低下、在庫、在庫率は上昇となりました。想定外に出荷が悪く、在庫も上昇しています。また、予測調査の8月の実績及び9月の見込みを使って試算してみると、7-9月期の鉱工業生産の前期比は2期連続のマイナスとなる公算が大きいです。3か月移動平均でみても低下傾向が明確になってきています。
このような状況を踏まえ、8月の鉱工業生産の基調については「弱含み」と、基調判断を引き下げました。鉱工業生産の基調判断については、5月分において下方に引き下げましたが、さらにそこからの引き下げということになります。
基調判断の表現としては、昨年の6月から8月にかけて「弱含み」としていましたが、そのレベルに引き下げられることになります。約1年ぶりの低い基調判断となります。
○結果の概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
平成27年10月1日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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