経済産業省
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対個人サービスが低下するも、方向感は「横ばい傾向」を持続 ~8月の3次指数~

2015.10.15

 


 平成27年8月の第3次産業活動指数総合は、季節調整済指数103.3、前月比0.1%上昇と2か月ぶりの前月比小幅上昇となりました。2か月ぶりとは言っても、7月は前月比横ばいでしたので、6月の前月比プラスから、前月比でマイナスのない状態が3か月続いています。今年の4月の指数値103.3から、5月に一回低下しましたが、概ね103台前半で指数が推移しています。増税前の水準と比較すると、既に増税直後の落ち込みを払拭してそれなりに高い水準となっており、方向感としては「横ばい」と言えます。

 第3次産業活動指数を対個人/対事業所のサービスの別についてみていきますと、8月の「広義対個人サービス」指数は、指数値104.7、前月比▲0.3%低下と2か月連続の低下でした。同じく「広義対事業所サービス」指数は、指数値101.6、前月比0.5%上昇と2か月ぶりの上昇でした。2か月ぶりとは言っても、7月の対事業所サービスは前月比横ばいですので、この3か月間はマイナスなしで推移していることになります。対事業者サービスが春先の落ち込みから回復路線にあった一方で、対個人サービスは5月、6月の前月比上昇を挟んで、ここ2か月勢いが弱くなっています。特に、所得環境や天候等の要因で変動しがちな「し好的個人向けサービス」が、6、7月を挟んで再び8月に前月比低下になってきていることが気になります。

 8月の第3次産業活動指数を業種別にみると、11大分類業種のうち、上昇業種が4業種、低下業種が7業種でした。
 上昇4業種の中では、「金融業,保険業」「事業者向け関連サービス」の上昇寄与が同程度に大きく、それ以外の2業種はほぼ横ばいという状況です。7月の第3次産業活動指数をけん引した卸売業はほぼ横ばい、小売業は前月比マイナスということで、この2分類の寄与は目立ちません。「金融業,保険業」では株の取引高である流通業務の影響が大きく、この流通業務の指数値257.9は平成22年基準(2008年以降)で最高値となっています。株価は下落方向でしたが、相場が大きく動き、取引高も膨らんだようです。「事業者向け関連サービス」の上昇は広告業や技術サービスといった分野ですが、これらは7月に少し目立つ形で落ち込んでおり、その反動で前月比上昇という面が強いようです。
 一方、低下業種の中では「生活娯楽関連サービス」の全体に対する低下寄与が目立ちます。先ほど対個人サービスが前月比マイナスであることをご紹介していますが、この典型的な個人、家計向けのサービスである「生活娯楽関連サービス」の低下が影響していることになります。内訳では宿泊業の低下寄与が大きく、8月はお盆などで稼ぎ時のはずですが、今年は9月のシルバーウィークの連休に旅行需要が分散し、例年ほどの際だって高い稼働状況にはなっていないようです。また、娯楽業においても「遊園地・テーマパーク」が8月後半の天候不順の影響などで例年に比べると調子が良くなかったようです。次いで影響が大きかったのは「情報通信業」で、法人需要にけん引された情報サービス業も2か月連続の前月比低下となり、多少一服感が出てきているようにも見受けられます。

 鉱工業生産指数と第3次産業活動指数を加重平均して作られる統合指数(産業活動のほぼ9割をカバー)では、第3次産業活動が前月比上昇、鉱工業生産指数が前月比で大きめの低下となったため、全体としては▲0.1%低下と2か月連続の低下となりました。7月に続いて、相対的に、鉱工業生産が第3次産業よりも弱含んでいます。製造工業予測調査の9月の見込み値の上昇幅が0.1%上昇に留まっており、前月比マイナスの可能性も高いという状況の下で、第3次産業活動指数の方向感が良くなって、統合指数の方向感が良くなるか注視かと思います。

                    平成27年10月15日          
                    経済産業省 経済解析室長 石塚

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