輸出向け出荷の落ち込みにより8月の鉱工業出荷は低下
2015.10.16
鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内生産されたものが国内と輸出のどちらに向けられているか、そして国内市場にどれだけ国産品と輸入品が供給されているのかを示す指標として、「鉱工業出荷内訳表」と「鉱工業総供給表」を作成しています。このうち、平成27年8月の出荷内訳の状況についてお知らせします。
平成27年8月の鉱工業出荷は指数値95.5、前月比▲0.7%と2か月連続の低下となりました。うち輸出向け出荷は指数値97.4、前月比▲5.1%と3か月ぶりの低下、国内向け出荷は指数値94.9、前月比0.3%と2か月ぶりの上昇となりました。
8月は、輸出向け出荷が大きく落ち込んだことにより、国内向け出荷は上昇したものの、出荷全体としては前月比低下になったということです。
月々の変動を均して基調的な動きを把握するため、出荷内訳表の各指数の3か月移動平均を見てみると、鉱工業出荷の低下傾向は4月頃の落ち込みからは縮小してきています。
これを輸出向け、国内向けでみると、8月の輸出向け出荷は大きく低下しましたが、基調的には輸出の低下寄与は縮小しています。一方、年度明けの鉱工業出荷の低下は、国内向け出荷の寄与が大きかったのですが、こちらも基調的には着実に低下寄与が縮小してきている状況です。
8月の出荷内訳を需要用途別である「財別分類」で見てみます。
8月の輸出向け出荷を大きく引き下げたのは生産財で、電子部品や自動車部品の減少により前月比▲4.5%と3か月ぶりに低下しています。次いで低下に寄与しているのは、設備投資に向けられる資本財で、半導体・フラットパネル製造装置やボイラ・原動機といったはん用・生産用・業務用機械工業の輸出向け出荷の低下が主因となっています。
一方、国内向け出荷を見てみると、生産財、非耐久消費財の上昇寄与が大きくなっています。生産財の中では、電子部品・デバイス工業の集積回路や半導体部品、輸送機械工業の自動車部品などの増加が寄与しています。また、非耐久消費財は全体的に良くなっていますが、特にガソリンなどの国内向け出荷が良かったようです。
8月の鉱工業生産は前月比▲1.2%の低下、出荷も同▲0.7%の低下となりましたが、これは輸出向け出荷、特に生産財と資本財の輸出向け出荷の低下が主因です。ただし、国内向け出荷をみると、国内の生産活動に投入される生産財が増えています。つまり、国内事業者が原材料や部品を購入していたということなので、9月以降の生産についての好材料という解釈も可能です。また、非耐久消費財の国内向け出荷の指数値98.4も比較的高水準で、企業、家計のフローとしての需要が、輸出向け出荷の落ち込みを多少補ったということになると思います。
平成27年10月16日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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