はん用・生産用・業務用機械工業の影響により稼働率・能力指数とも低下
2015.10.19
平成27年8月の製造工業稼働率指数は96.0で、前月比▲0.9%と2か月連続の低下となりました。8月の鉱工業生産指数が、前月比で▲1.2%の低下となっていますので、生産の低下、すなわち稼働率の低下ということになっています。
稼働率指数を機械工業と非機械工業(製造工業から機械工業を除いたもの)でみると、機械工業の稼働率が前月比▲1.9%と全体の低下幅よりも大きく低下しています。非機械工業の稼働率も前月比▲0.9%の低下ではありますが、8月の稼働率の低下は機械工業の稼働率の低下による部分が大きいということになります。機械工業の稼働状況は、昨年後半から年初までの高い状態からは様変わりです。
稼働率指数を業種別にみると、12業種で前月比低下、横ばい、上昇がそれぞれ1業種と、ほとんどの業種で低下という状況です。なかでも製造業全体の稼働率を引き下げた業種は、はん用・生産用・業務用機械工業で、これは鉱工業生産と同様、いわゆるオフロード規制の経過措置期間が終了し、ショベル系掘削機械等の生産・出荷が「作りだめ」の段階から「在庫取り崩し」の段階に移行したことによって生産低下となっていることが大きく影響しています。次いで低下寄与が大きいのが、輸送機械工業です。普通乗用車や普通トラックの生産が低下している影響が、稼働率にもそのまま反映された格好です。
8月の生産能力指数は95.1で、前月比▲0.2%と3か月連続の低下でした。
生産能力指数は、昨年の8月以降、今年の2月まで前月比でマイナスのない月が続いていましたが、3月以降はマイナス基調に変化しています。この生産能力の低下は、非機械工業の生産能力の低下によるものでした。しかし、こと8月については、非機械工業の生産能力は前月比横ばいで、機械工業の生産能力指数が前月比▲0.4%と今年の3月以来の低下ということになっています。つまり、3月以降のマイナス基調の中で下支えしていた機械工業が、8月は生産能力全体を低下させてしまったということです。
8月の生産能力指数の業種別の動きをみると、4業種で低下、3業種で上昇、7業種が横ばいとなっています。生産能力低下業種の中で、最も低下に寄与した業種ははん用・生産用・業務用機械工業で、8月の生産能力の低下は、ほぼこの業種に属する事業における能力低下によるものと言っても過言ではありません。
稼働率のところで触れたように、はん用・生産用・業務用機械工業では、建機類の生産が当面低下する見込みで、その影響が生産能力の面でも出てきているという状況です。
他方、電気機械工業や電子部品・デバイス工業では、生産能力を増強する動きが続いており、生産予測調査では9月、10月と2か月連続上昇の予測となっており、この2業種においては、足元で生産基盤の強化がなされているようです。
平成27年10月19日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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