経済産業省
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平成27年9月の鉱工業生産の基調判断は「一進一退」と一段引き上げ

2015.10.29

 


 平成27年9月の生産は、季節調整済指数97.3、前月比1.0%の上昇、出荷についても指数値96.7、同1.3%の上昇と、いずれも3か月ぶりの上昇となりました。一方、在庫は指数値113.5、同▲0.4%の低下、在庫率は指数値115.8、同▲2.9%の低下と、こちらはいずれも2か月ぶりの低下となりました。

 先月(9月初旬)実施した生産予測調査では、9月の生産見込みが前月比0.1%の上昇にとどまっていたので、9月の生産実績は前月比マイナスになるのではないかと懸念されましたが、実績ではプラスを確保したという状況です。
 ただ、前月比1.0%という上昇幅は、8月の前月比低下幅▲1.2%に見合うものとなっていますが、生産指数の水準は緩やかに下がっていましたので、8月の低下分を取り返しても、指数水準は決して高いとは言えません。このため、9月速報値で今年の7-9月期を計算すると、指数値97.0、前期比▲1.3%と2期連続の前期比低下となり、前年同期比も▲0.4%の低下となります。指数水準としては、平成25年並みになってしまい、昨年1年間の四半期で最も指数水準が低かった7-9月期の97.4よりも今年の7-9月期は低いということになります。
 一方、出荷についても、生産と同様に3か月ぶりの上昇となり、7、8月の落ち込みを払拭して、出荷は第2四半期並みのレベルに回復しました。しかし、生産はこの2か月の落ち込みを払拭しきれてはいませんが、3か月ぶりに前期比上昇となりました。

 9月の生産、出荷の状況を業種別にみると、生産は15業種のうち、上昇8業種、低下7業種となっています。出荷は、上昇8業種、低下6業種、横ばい1業種でした。
 9月の上昇には、化学工業、電子部品・デバイス工業などの寄与が大きくなっています。化学工業では、いわゆる爆買いや家計の非耐久消費支出が緩んできた影響などから化粧品の生産上昇寄与が大きくなっています。次いで、電子部品・デバイス工業ですが、スマホ向け部品類の生産、出荷がようやく出ました。昨年は、8月に生産の増加が始まりましたが、今年は9月が着火点となったようです。
 翻って、9月の低下業種ですが、生産・出荷ともはん用・生産用・業務用機械工業の寄与が最も大きくなっています。これは半導体製造装置を始めとした生産用機械の減少が影響しており、昨年後半から今年上期の生産好調から多少停滞モードに入ってきているようです。

 今後の動向についてひと言触れますが、予測調査の結果では、10月見込みの前月比は4.1%上昇、11月予測の前月比は▲0.3%低下を見込んでいます。前回調査における10月予測(+4.4%)からほとんど生産計画は下がっておらず、11月についても10月に対して微減の生産計画になっています。

 以上、9月の鉱工業については、生産、出荷は前月比で3か月ぶりに上昇、在庫、在庫率も2か月ぶりに低下となりました。8月とは逆に9月は「想定外」に生産、出荷が上昇しました。
 生産財、消費財全般の生産、出荷は、軽自動車や化粧品、橋りょうなど内需型の財を中心に生産、出荷が回復していますが、設備投資に向かう資本財は生産、出荷ともにマイナスです。
 このような状況を踏まえ、9月の鉱工業生産の基調については「一進一退」と、基調判断を引き上げました。鉱工業生産の基調判断については、8月に基調判断を引き下げ、「弱含み」としましたが、このままずるずると鉱工業生産が停滞していく懸念は1か月で払拭されました。
 この「一進一退」という基調判断は、今年の5月~7月の判断と同じです。また、基調判断を上方修正するのは、昨年の12月以来、9か月ぶりとなります。

                    平成27年10月29日          
                    経済産業省 経済解析室長 石塚

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