鉱工業生産の2期連続低下が響き、2期連続低下となった平成27年7-9月期の統合指数
2015.11.13
経済解析室では、毎月の第3次産業活動指数と鉱工業指数確報の公表時に、この2つの指数を、基準年(現在は平成22年、2010年)の付加価値発生割合で加重平均して、ほぼ産業活動の9割をカバーする「統合指数」を計算しています。
平成27年7-9月期の統合指数をご紹介しようと思います。
この7-9月期の第3次産業活動指数は前期比0.1%と2期ぶりの前期比プラスでしたが、鉱工業生産が前期比▲1.2%と2期連続の低下となったため、「統合指数」も前期比▲0.2%と、2期連続の前期比低下となりました。昨年同様に、夏場の鉱工業生産の停滞が繰り返され、サービスと製造業を合算した「統合指数」の7-9月期も停滞しました。
第3次産業活動指数の中身を細かくみていくと、卸売業、小売業を除いた第3次産業活動指数は、第3次産業総合の動きと異なり、前期比▲0.2%となっています。その分、実質化されている卸売業や小売業の活動指数は、ともに前期比プラスとなっています。つまり、輸出入を含む財の取引は相対的に好調だったということになります。卸売業、小売業以外では、「金融業,保険業」も前期比プラスでしたが、それら以外には特に好調という業種が見出しにくい結果となっています。第3次産業活動総合の指数値も103台の狭いレンジの中で動いている状況で、年初来の横ばいを打開する動きが見出しにくい状況でした。
鉱工業生産をみると、鉱工業生産が停滞しているので、その原材料や部品となる生産財の生産が7-9月期、前期比▲1.1%低下と2期連続の低下となり、全体を押し下げています(ただし、9月は前月比2.6%上昇と回復)。投資関係では、建設財生産は前期比0.7%上昇ですが、資本財生産は前期比▲4.2%低下と大きく低下しています。他方、消費関係では、非耐久消費財生産は前期比2.7%上昇ですが、耐久消費財生産は前期比1.8%低下と2期連続低下です。
8月までの建設業活動指数は、4-6月期に前期比2.6%上昇となった後、7、8月あまり指数水準を下げることなく推移していますので建設財生産が、多少消費増税による反動減の影響も大凡払拭され、化粧品や衣服といった非耐久消費財生産も堅調ですが、やはり企業の設備投資や家計の耐久消費財といった分野の需要が今一つです。
出荷面では、輸出向け出荷は前期比0.4%と2期ぶりに上昇しましたが、国内向け出荷は前期比▲0.8%と2期連続の低下となっており、内需が冴えない結果となっていました。
いずれにせよ、10月以降の生産、サービス供給の上昇を期待したいところです。
なお、11月19日に、この統合指数に建設業活動指数を加えた「全産業活動指数」を公表いたしますので、ご期待ください。
統合指数のデータについては、第3次産業活動指数の公表冊子の22ページに掲載されておりますので、お目通しください。
◎平成27年9月 第3次産業活動指数 データ公表冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/pdf/ITA_press_201509j.pdf
平成27年11月13日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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