9月の鉱工業出荷は輸出向け・国内向けともに上昇
2015.11.17
鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内生産されたものが国内と輸出のどちらに向けられているか、そして国内市場にどれだけ国産品と輸入品が供給されているのかを示す指標として、「鉱工業出荷内訳表」と「鉱工業総供給表」を作成しています。このうち、平成27年9月の出荷内訳の状況について、お知らせします。
平成27年9月の鉱工業出荷は96.8、前月比1.4%と3か月ぶりの上昇となりました。うち、輸出向け出荷は指数値98.5、前月比1.1%で2か月ぶりの上昇、国内向け出荷は指数値95.9、前月比1.1%で2か月連続の上昇となりました。
このように、輸出向け出荷については、今月は前月比で上昇となりました。しかし、月々の変動をならした後方3か月移動平均で前月比寄与をみると、まだ明瞭にプラス方向に転じる兆候までは見いだせませんが、出荷全体に対する低下寄与は縮小してきている状況かと思います。一方、国内向け出荷については、連続で上昇するのは今年初めてであり、1月から7月まで低下傾向が続きましたが、8月、9月と上昇し、9月の伸び幅も比較的大きめでした。
次に9月の出荷内訳を需要用途別の財別分類でみますと、輸出向け出荷を大きく引き上げたのは生産財で、電子部品・デバイス工業の集積回路や電子部品が伸びたことが大きく影響しています。逆に、輸出向け出荷の低下に寄与したのは資本財で、これは輸送機械工業(船舶)の低下によるものです。なお、資本財の中でも、はん用・生産用・業務用機械工業や電気機械工業は、一時期の好調はありませんが、9月も堅調に推移しています。 一方、国内向け出荷をみると、生産財、建設財の上昇寄与が大きくなっています。生産財はやはり電子部品・デバイス工業関係の財が伸びているほか、鉄鋼業関係の財も伸びていました。
国内向け出荷、輸出向け出荷とも、9月は電子部品・デバイス工業を中心とする生産財の出荷が好調で、逆に資本財の勢いが悪いという結果になっています。
他方、7-9月期の指数値がまとまりましたのでこれをみると、国内向け出荷は前期比▲0.8%と2期連続の低下、一方、輸出向け出荷は前期比0.4%と2期ぶりの上昇です。
輸出向け出荷指数は、四半期の最初の月の指数値が高く、その次の月に大きく低下し、最後の月に上がるというパターンを繰り返しています。そこで、4-6月期と7-9月期の各月の動きを比較してみると、「4月:102.6、7月:102.6」、「5月:96.4、8月:97.4」、「6月:98.4、9月:98.5」となっています。つまり、この7-9月期の上昇は、中間月の落ち込みが4-6月期に比べて小さかったことによるものであり、四半期の最初の月と最後の月の指数水準はほぼ同じであったということから考えれば、輸出向け出荷は安定していたと評価できます。
国内向け出荷については、起点となる7月の水準が昨年の8月並の低い水準となっているので、四半期として合計すると水準も低くなってしまいます。とはいえ、先ほども述べたように、8、9月は今年初めて2か月連続上昇となりましたので、方向感は良くなっていると評価できます。
◎図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/sanko_201509.pdf
平成27年11月17日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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