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平成27年10月の鉱工業生産は2か月連続の上昇

2015.11.30


 平成27年10月の「生産」は、季節調整済指数98.8、前月比1.4%上昇と2か月連続の上昇となりました。鉱工業生産が2か月連続で前月比上昇となったのは、昨年12月、1月と連続上昇となって以来です。ただし、前年同月比は▲1.4%と3か月連続の低下となっており、10月の生産は前月比上昇したものの、なかなか前年水準を上回る状態に転換できていません。
 一方、出荷は指数値98.8、前月比2.1%と2か月連続の上昇となりました。前月比は2%超えということで比較的大きめの上昇幅を見せ、指数水準も平成25年度の指数値98.7のレベルまで回復しました。
 この出荷好調のため、生産は増加していても、在庫は2か月連続の前月比低下で、季節調整済指数値も今年最も低い水準となっています。また、在庫率も2か月連続前月比低下で、前年同月比も久方ぶりにマイナスとなりました。

 10月の動向を業種別にみますと、生産は15業種中、上昇7業種、低下7業種、横ばい1業種、出荷については、上昇11業種、低下4業種となっています。業種の動向をみても、10月は出荷の勢いが強い割には、生産の増産がそれ程でもないという評価ができます。
 まず、生産の上昇に大きく寄与した業種は、はん用・生産用・業務用機械工業と輸送機械工業の2業種です。はん用・生産用・業務用機械工業では、一般用蒸気タービンはサウジアラビア等、中東向け輸出の増加が影響していますが、半導体製造装置を始め、全般的には輸出以上に国内向け出荷の増加に支えられて生産が良かったといえます。一方、輸送機械工業では、普通乗用車やシャシー・車体部品といった自動車関連、加えて、鉄道車両の生産が好調でした。普通乗用車については、輸出も増えてはいましたが、国内向け出荷の増加が生産の上昇に大きく影響したようです。
 このように、輸出に支えられた品目もありますが、国内向け出荷が好調だったはん用・生産用・業務用機械工業と輸送機械工業に先導された生産であったといえます。

 今後の動向については、11月は前月比0.2%の上昇が見込まれていますが、12月は同▲0.9%と低下予測となっており、11月、12月を通してみると、低下の方向になります。この結果からも、向こう2か月の生産は、決して強いという評価はできないと考えます。

 以上、10月の生産、出荷は前月比で2か月連続の上昇、在庫、在庫率も2か月連続の低下となり、9月の生産・出荷の勢いが10月まで継続され、在庫圧力も軽減されてきています。ただし、業種的には、生産増加の動きに業種的な広がりはなく、はん用・生産用・業務用機械工業と輸送機械工業の増加だけが目立つという結果になりました。
 また、向こう2か月の予測調査では、生産の勢いは多少弱まる見通しです。
 このような状況を踏まえ、10月の鉱工業生産の基調については「一進一退」と、基調判断を維持しました。

○公表冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2010_201510sj.pdf

○図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/b2010_201510refsj.pdf

                    平成27年11月30日          
                    経済産業省 経済解析室長 石塚

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