国内向けの勢いが増す一方で、輸出向けの鈍化がみえる10月の鉱工業出荷
2015.12.15
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鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内拠点から出荷されたものが国内、輸出のどちらに向けられているか、そして国内市場にどれだけ国産品と輸入品が供給されているのかを示す指標として、「鉱工業出荷内訳表」と「鉱工業総供給表」を作成しています。このうち、平成27年10月の出荷内訳の状況についてお知らせします。
平成27年10月の鉱工業出荷は96.8、前月比2.1%と2か月連続の上昇となりました。
このうち、国内向け出荷は、指数値98.7、前月比2.9%と3か月連続の上昇となり、その伸び幅もかなり大きなものとなりました。このため、指数水準も今年1月に続く2番目の高さであり、月々の指数値のグラフをみても、3か月(後方)移動平均で前月比寄与をみても、国内向け出荷の基調が良くなっていることがうかがえると思います。
また、四半期ベースでは、4-6月期の落ち込み程ではありませんが、7-9月期も低下となり、2期連続で前期比マイナスとなっていました。しかしながら、7-9月期を月別でみると、7月こそ前月比▲1.6%の低下となりましたが、8、9月は前月比上昇となっており、方向感は良くなっていました。その勢いが10月に更に加速され、水準としても高いレベルに到達しています。
他方、輸出向け出荷も、指数値100.3、前月比1.8%と2か月連続の上昇となりました。輸出向け出荷は、このところ四半期の中央月(2、5、8月)に大きなマイナスを示し、その後2か月連続上昇となるパターンを繰り返していますが、このパターンを当てはめれば、10月は8月の大幅低下後の2か月目に該当するため、上昇する月ということになります。確かに、8月の前月比は▲5.1%の低下となり、その後、9月に1.1%、10月も1.8%と2か月連続で上昇しましたが、8月の低下分を補うまでには到っておりません。このため、10月の輸出向け出荷の水準は、7月(102.6)までには戻っておらず、水準としては必ずしも高いとは言えない状況です。
また、後方3か月移動平均で前月比寄与をみても、9月まではマイナス寄与の度合いが小さくなる傾向にありましたが、10月は再びマイナス寄与が拡大しています。よって、2か月連続の前月比上昇ではありますが、輸出向け出荷の勢い自体は、それほど良いとは言えないようです。
このように、10月は国内向け出荷の回復の勢いが明確化した一方で、輸出向け出荷の勢いの弱さがみえてきた月と整理できるようです。
平成27年12月15日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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