2か月連続の上昇からの反動により、鉱工業生産、出荷ともに低下
2015.12.28
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平成27年11月の鉱工業生産指数の速報は、季節調整済指数97.8、前月比▲1.0%、出荷についても指数値96.3、同▲2.5%と、ともに3か月ぶりの低下となりました。一方、在庫は指数値111.8、同0.4%、在庫率は指数値115.2、同2.9%と、こちらはいずれも3か月ぶりの上昇となりました。
鉱工業生産は、9月、10月と2か月連続で1%を超える高めの伸びを示していましたが、今月はその反動減となったようです。
11月の鉱工業生産を業種別にみますと、15業種中、3分の2に当たる10業種で低下しており、このうち、はん用・生産用・業務用機械工業、化学工業(除.医薬品)の2業種の低下寄与が相対的に大きくなっています。
「はん用・生産用・業務用機械工業」は、10月に4か月ぶりに前月比上昇となったものの、その勢いは持続できませんでした。生産の低下に寄与した品目も、10月の上昇に寄与していた受注型製品が並んでおり、典型的な反動減となっています。
化学工業については、合成ゴム、化粧品といった品目群の生産が低下しています。合成ゴムについては、10月から急速に在庫水準が悪化(前年同月比が上昇)しています。11月は、この在庫圧力に加え、輸出の低下やトラック用タイヤ等の生産が大きく低下している影響が出たものと思われます。また、化粧品については、ここ数か月、生産、出荷の勢いが良かったのですが、さすがにここにきて出荷の勢いが弱くなっており、指数水準は高いものの、方向感が悪くなったということになります。
出荷については、15業種中、13業種が低下となっており、主要業種は軒並み低下しています。このうち、低下に寄与した上位7業種の寄与が高めであり、幅広い業種で、出荷が悪かったようです。
11月は輸出向け出荷も、国内向け出荷も芳しくないようですが、ウェイト差を考えれば、国内向け出荷の減少によって、出荷が低下したということになります。
なお、12月実施の製造工業生産予測調査の結果では、12月は情報通信機械工業等の増加により前月比0.9%の上昇、1月ははん用・生産用・業務用機械工業等の増加により前月比6.0%上昇という予測となっています。
このように、11月の鉱工業については、生産、出荷は3か月ぶりの低下、在庫、在庫率は3か月ぶりの上昇となり、9月、10月の生産、出荷の高い勢いからの反動減となった11月でした。しかし、12月以降は、2か月連続の上昇が予測されていますが、12月の上昇幅は0.9%と限定的であり、今までの平均的な実現率の下振れ幅からすると、マイナスになる可能性もあると思います。因みに、来年1月については実績時の下振れを加味しても、相当程度の上昇が見込めると思われ、こうした状況を踏まえ、11月の鉱工業生産の基調判断については、「一進一退」と、基調判断を据え置いています。
◎図表集へのURL

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/b2010_201511refsj.pdf
平成27年12月28日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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