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飲食関連産業の動向(FBI 2020年);「飲食店,飲食サービス業」を筆頭に全3業種が揃って低下。4年ぶりの低下となった2020年のフード・ビジネス 2021年5月14日

フード・ビジネス・インデックス(FBI)とは、生活に身近な飲食料品に関連する「食料品工業」、「食料品流通業」、「飲食店,飲食サービス業」の活動状況を表す経済指標です。

今回は2020年のFBIの動きをグラフ化してご紹介しています。

2020年のFBIは、3業種全てが低下し4年ぶりの低下。特に「飲食店,飲食サービス業」が急落。

2020年のFBIは、指数値92.9、前年比マイナス8.2%と4年ぶりの低下となり、FBIを構成する内訳3業種も全て前年比低下となりました。食料品工業は前年比マイナス1.4%と7年ぶりの低下、食料品流通業は同マイナス0.7%と2年連続の低下、低下幅が最も大きかった「飲食店,飲食サービス業」は、同マイナス26.1%と2年ぶりの低下(2019年は前年比横ばい)となりました。

FBIの前年比マイナス8.2%の低下に対する3業種の影響度合い(寄与度)は、「飲食店,飲食サービス業」がマイナス7.6%ポイント、次いで食料品工業がマイナス0.4%ポイント、食料品流通業がマイナス0.3%ポイントの低下寄与でした。2020年は食料品工業や食料品流通業も低調であったものの、FBIの大幅低下は、「飲食店,飲食サービス業」の急落の影響が9割以上と圧倒的に大きかったことがわかります。

第2四半期に急落したFBI。特に「飲食店,飲食サービス業」に感染症の影響が大きく、下期も回復途上。

四半期毎のFBIの動きを見てみると、2019年下期からの低下が続き、2020年第2四半期には前期比マイナス12.0%と急落し、2015年基準(2013年~)で最低の指数値86.8となりました。続く第3四半期は、5四半期ぶりに前期比7.0%と反動増で大幅に上昇したものの、前期の急落幅の半分ほどの回復にとどまりました。第4四半期も前期比0.5%と2四半期連続の上昇となりましたが、回復の勢いは鈍化しています。

内訳3業種の動きを見てみると、2020年第1四半期は、食料品工業と食料品流通業は上昇したものの、「飲食店,飲食サービス業」の大幅低下が影響し、FBI全体は低下となりました。続く第2四半期は3業種ともに低下しましたが、特に「飲食店,飲食サービス業」が指数値52.9にまで急落したことが、FBI全体の急落に大きく影響しました。

第3四半期以降、「飲食店,飲食サービス業」は回復がみられましたが、第3四半期に比べ第4四半期は回復幅も鈍化し、指数値は2019年の8割弱の水準にとどまっています。一方、食料品工業と食料品流通業は、上昇と低下を交互に繰り返し、食料品工業はならしてみると低下傾向、食料品流通業はほぼ横ばいに推移しました。

四半期毎の動きをみても、2020年のFBIの動きは「飲食店,飲食サービス業」に左右されたところが大きく、新型コロナウイルス感染症の感染動向や感染拡大防止策等が、特に「飲食店,飲食サービス業」の活動に大きく影響したことの表れと考えられます。

業種により影響に差が出たが、多くの系列が最低水準を更新した「飲食店,飲食サービス業」

2020年のFBIの大幅低下はほぼ「飲食店,飲食サービス業」に影響を受けたものでした。そこで今度は、「飲食店,飲食サービス業」の内訳系列の動きについて、詳しく見ていきます。

内訳系列の指数の推移を見てみると、2019年までは業種によって、低下傾向や上昇傾向など、動きには違いがみられました。しかし、2020年上期は、低下の程度に差はあるものの、全系列が連続低下となり、その後下期は全系列が揃って連続上昇となりました。

これには先にも述べたように、新型コロナウイルス感染症の感染動向や、それに応じた外出自粛要請、時短営業要請等の感染拡大防止策等の動向が大きく影響したと考えられます。ただ、一見同じような動きのようにも見えますが、低下幅、指数水準、その後の回復幅などを比べると、系列間で大きな差があることが分かります。

ファーストフード店は、感染症の影響は小さく、第4四半期には前年同期の指数水準近くまで回復してきたものの、他の系列は感染症拡大前の水準には未だ戻れていません。特に「パブレストラン,居酒屋」は、第2四半期の低下幅が各業種のなかでも最も大きく、第4四半期においても2019年の5割程度の水準にとどまっています。

2020年FBIを動かしたのは「食堂,レストラン,専門店」、「パブレストラン,居酒屋」

次に、「飲食店,飲食サービス業」の内訳系列の影響度合いについて見てみると、影響度合いが大きかった系列は、低下時も上昇時も「食堂,レストラン,専門店」、次いで「パブレストラン,居酒屋」となっていました。

下のグラフからもわかるように、FBIの2020年第2四半期の大幅低下も第3四半期の上昇も、「飲食店,飲食サービス業」の寄与が大きかったことから、そのなかでも影響度合いが大きかった「食堂,レストラン,専門店」と「パブレストラン,居酒屋」の急落と反動増が、FBIを大きく動かしたことがわかります。

なお、2020年、「飲食店,飲食サービス業」のなかでも感染症の影響を最も大きく受けたのは先にみたように「パブレストラン,居酒屋」でしたが、FBIの算出にウエイトとして用いている2015年の付加価値額の割合は「食堂,レストラン,専門店」の方が「パブレストラン,居酒屋」の3倍近くあることから、FBIへの影響度合いは「食堂,レストラン,専門店」の方が大きくなっています。

2020年、新型コロナウイルス感染症の影響が最も大きかった「飲食店,飲食サービス業」も、第3、第4四半期は回復傾向がみられましたが、2020年秋以降の感染再拡大を受け、年末年始には会食を控えるなどの要請や、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、2021年に入り「飲食店,飲食サービス業」は再び大きな影響を受けています。

FBI総合の水準回復には、「飲食店,飲食サービス業」の回復が不可欠ですが、2021年5月現在、感染症の再拡大(いわゆる第4波)により3度目の緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が発出されていることを考えると、「飲食店,飲食サービス業」をめぐる厳しい状況はまだしばらく続くことが予想され、2021年上期のFBIは2020年下期より低下する可能性もあります。引き続き各業種の動きを注視していきたいと考えます。

今回ご紹介しきれなかったFBIの各業種別の指数、その内訳の動きや影響度合い(寄与度)、また、フード・ビジネスの名目事業規模などについても、下記リンク先のスライド資料に掲載しておりますので、是非お目通しください。

ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2020年);「飲食店,飲食サービス業」を筆頭に全3業種が揃って低下。4年ぶりの低下となった2020年のフード・ビジネス」のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20210514minikeizai.html

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